口にすると、野生のキイチゴの香りとしっかりした甘酸っぱさがあって美味しい。……のだがその後から、ふわっと苦味が感じられる。唾液では感じにくく、口をすすいで水っぽい状態にしておくとよく判る。山登りの合間につまむなどする場合は、気にしないと判らないかもしれない。
ニガイチゴが絡む株がたくさんあるので、手持ちのいくつかを食べ比べてみた。
種 | 雑種 | 自生種 | 苦味 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ニガイチゴ | ○ | ○ | 標準株、多花株いずれも | |
キミノニガイチゴ | ○ | ○ | ||
ミヤマニガイチゴ | ○ | 結実なし | ||
ミヤマニガクマ(仮) | ○? | ○ | 結実なし | |
クマミヤマニガ | ○ | 結実なし | ||
ヒメカジイチゴ | ○ | ○ | × | |
ヒメカジイチゴF2 | ○ | ○ | ニガ相当 | |
カジキミノニガ | ○ | × | ヒメカジ相当、赤実 | |
カジキミノニガ | ○ | × | ヒメカジ相当、カジ風の実 | |
カジイチゴ | ○ | × | ヒメカジの片親 | |
ニガクマイチゴ | ○ | ○ | ○ | |
ニガクマイチゴF2 | ○ | ○ | ニガ相当か | |
クマイチゴ | ○ | × | ニガクマの片親 | |
キミノニガモミジ | ○ | ○ | ただのニガイチゴっぽい |
苦くないカジイチゴ(R. trifidus)が絡むと苦味が出ないが、その子がニガに戻ると苦くなる。
苦くないクマイチゴ(R. crataegifolius)が絡んでも苦い。その子も苦い。
何かの指標に使えるかと調べてみたのだが、とりあえずは何も見えなかった。
目新しいところでは、カジキミノニガ('15播種)にカジイチゴ風のオレンジ色に紅点のある実が出てきた(冒頭写真、左側)。
これのF2は普通のニガイチゴっぽく赤実が生っている(冒頭2枚目)。ただしおそらくそれは、赤実のカジキミノニガを播いたもの。
なんで黄実どうしなのに赤実なんだ、というところに変わった実が出てきて、味をみて、この冬植え替えておこうと株にマーキングして……採種して播くところまで気が回らなかった。
F2も、写真をよく見るとニガというよりヒメカジに近い気もしてきた。知的リソースが逼迫してきたかもしれない。判断がよくない。
【 和名、学名の出典等について 】
- 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
- Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
- 交雑種名は、特に著名と判断したものはそれを使う。それ以外は独自名を付す。和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先頭にする。
- 例:カジイチゴ(R. trifidus)を母体にコジキイチゴ(R. sumatranus)の花粉を付けたもの → カジコジキ(R. trifidus × R. sumatranus)
- 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
- 同種が複数株ある場合は、和名の後に番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。
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