水窪街中まで1時間余、そこから大嵐(おおぞれ)まで細い舗装道路を30分、さらにダートで駐車場まで20分ほど。意外とかかる。
水窪川沿いに車をやりながら、今回はあちこちを眺めていく。
標高400mほどのところで、山側斜面にアマヅルの群落。もともと葉の変化に富む種で、大きく切れ込んでキレハノブドウ風、三角形やハート型、3裂などいろいろある。が、星型の葉は初めて見た。残念ながら実りは確認できず。
……と信じて疑わなかったが、これはツヅラフジだったようだ。低地で普通のアオツヅラフジとは、雰囲気がぜんぜん違う。

これを食うというネット情報もあるが、その気は起きない。


何度見ても「食べ応えのありそうなレタス」に見えてしまう。その気になって触ると、硬く鋭い鋸歯に拒絶され血を見るのだが……でもいつか食ってみよう。
畑が放置されたもののよう。近くの車庫には、フロンテハッチの廃車が「埃」高く眠っていた。20年ぐらい前までは営農していたか。摘果してないとこんなにも生る。遠目には大振りなサルナシにも見えた。
ひとつ齧ってみたかったが、山の実りの例に倣って、手の届く範囲だけには生っていない。
周辺は重機で整地され、この樹だけ無理やり残されたよう。なんとなく痛々しい雰囲気。この地に生を受けて幾百年。この状況に何を想う。
時期的に遅いが、木天蓼があるか探してみた。やや変形しかけた実もあったが、割ってみたら単に種の入りが悪いだけだった。前回、木天蓼が生っていた木は、すでにすべて落ちていた。

ぱっくり割れたほうが見栄えはいいが、持ち帰るには割れ始めぐらいがちょうどいい。中はちゃんと空洞になり、甘く熟している。
登山ポスト、登山者心得、発破作業中注意、一般車両通行止め、などなど看板多数。水窪川起点の標識もここにある。

チドリノキは、大振りで格好のいい翼果をさりげなく。
樹下を歩くと、やや植物性の雰囲気のあるカラメルの香り。梅雨時のホオノキのような、匂いの塊に頭を突っ込んだようなそれとは違う、さりげないさわやかな心地よさ。

粉のように見えても、実際は油分を含んで少しべとつく。白い正体は、リンゴ酸カルシウムの結晶とのこと。舐めてみると、柔らかいしょっぱさと程よい酸っぱさ。なんとなく旨みも感じられる。ウルシの仲間であることを忘れて、何度もお代わりをしてしまった。歩き疲れた体には、イタドリ以上に美味く感じられる。

考えてみると、このへんの山で出会う哺乳動物はシカばかり。クマでもタヌキでもイノシシでもなくシカ。警戒しつつも意外とフレンドリーなのか。ときどきコウモリも飛んではいるが。
よく見かける木。バッコヤナギとのこと。
表は特に特徴のない緑の葉だが、裏は白い毛で覆われる。葉柄や芽は、透明感のある黄緑色でプラスチックのよう。
樹皮は縦に裂けるが、菱目模様が出ることもある。

ビワのような大きな葉で、高木。赤い実を大量に着けている。小振りな樹も見られた。

その先には、ヤマブドウの大群落。谷底までの崖にこんもり。どうやっても行けない。

この時点で既に16:00。6km/hなら1時間強、暗くなるまでに車まで戻れるか……などと計算しながら急ぎ折り返す。

機械的にすら感じられる、整った卵形、きれいに揃った平行な葉脈。緑の葉に真っ赤な葉柄。黒く焦げたような蔓。調べてみると、クマヤナギらしい。実は生っていなかった。
駐車場に付く頃には既に薄暗く、際どいタイミングだった。途中、谷底で斫っていた業者らの車に抜かれる。山で歩いている人に会うと、たいてい一声二声かけあうものだが、一目もくれず。
そんなもんか……。
Special thanks to 樹木鑑定サイト「このきなんのき」、のりもの@ふたば
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