since 2007.8 by K-ichi

今年の夏は、平年より2~3℃暑かったらしい。そのせいか、畑の実りも1週間ぐらい遅れている雰囲気。いつも秋分はてんてこ舞いなのだが、今年は穏やかな中気となった。
もっとも、縮伐の失敗で収量が減っている可能性もあるが……

先々代より引き継いだ畑だが、品種が判らない。
特徴的な銀寄を基準に、色、形、時期などから見当をつけようと試みているが、3種類なのか4種類なのかそれ以上なのか、そのレベルで判っていない。

誰か教えてください。


(9/28) 銀寄にしては、毬が爆ぜて熟期も萌芽も遅めの株

引き継いだのをいいことに、その片隅では手に余った株を野放しにしている。

現在は、モミジイチゴRubus palmatus、ビロードイチゴR. corchorifoliusがひと株ずつ、ニガイチゴR. microphyllus、ニガクマイチゴR. × nigakuma、クマイチゴR. crataegifoliusあたりは複数株、そして畑全体には野良クサイチゴR. hirsutusがはびこっている。いずれも実生株になる。
なお、周辺は住宅工場わずかに畑なので、逸出による環境汚染のようなことは考えづらい状況である。
以前、鳴橋先生に教えを乞う機会に恵まれ、その際自家不和合性の有無についても聞いている。モミジイチゴ、ビロードイチゴ、ニガイチゴなどにはあるとのこと。であれば、この片隅ではモミジイチゴもビロードイチゴも、栄養繁殖クローン以外では増えることは難しい、種子による拡散のような悲劇もおきにくい、ということになる。

かつて雑種ができるか等の実験もしたが、ほとんど実らなかった。
同時並行で、いつもの鉢置き場(授粉相手が屋内退避でいなくなった株)や前述畑での結実も観察していた。ミツバチなどの来訪昆虫はそれなりにいるのだが、モミジイチゴ、ビロードイチゴともに実りは少なく、結実しても種子は多くなかった。
しかしこの希少なタネを播いて出れば、自家不和合性はあっても子はできることがある、もしくは雑種ができた、ということになる。ビロードモミジイチゴなる交雑種は自然界にあるようなので、それが手に入るかもしれない。

そんな目論見で、畑のビロードイチゴ(自家授粉or雑種)84粒、畑モミジイチゴ(自家or雑種)50粒以上、屋内モミジイチゴ(自家)11粒、鉢置き場で相方のいなくなったモミジイチゴ(自家or雑種)24粒を播いてみた。
結果、モミジイチゴは一切発芽しなかった。ビロードイチゴはパラパラと、延べでは10株程度は芽が出たと思われるが、双葉の次の5mm内外の本葉の段階で成長が止まり全て枯死した。
キイチゴ類の発芽傾向には癖があるが、モミジイチゴやビロードイチゴはほとんどが翌春に発芽する。ということはおそらく、自家授粉では子孫は増やせないのだろう。また雑種だったとしても、これらを母体にしたものは稀であり発芽しても育たないのが普通、基本的にレアな存在、ということがいえそう。


(9/6) 想定外に雑キイチゴ鉢になった2鉢と……

(9/6) 右端の「畑のビロードイチゴ」の最後の生き残り

普通に成長すれば、雑キイチゴ鉢並に育ってもよさそうなもの。
周辺環境がよくないのかもしれないが……それでも冷涼な地に生えるこれらの実生を、40℃の浜松でなんとか生きながらえさせるぐらいの努力はしている。


(9/27) 40℃でも遮光すれば生きてはいける

余談ではあるが、休眠状態で発芽しづらいキイチゴ類の種子を発芽させるにはどうすればよいか、という実験論文を紹介してもらっているので記しておく。
昔からこの手の実験は数多くなされているが、その一例とのこと。以下のリンクから英文pdfがダウンロードできる。

Scarification and stratification protocols for breaking dormancy of Rubus (Rosaceae) species in Korea




【 和名、学名の出典等について 】
  • 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
  • YListに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
  • 交雑種名は、特に著名なものはそれを使うことがある。それ以外は、和名は両親から「イチゴ」を除いた合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先にする。(参考1/参考2
    • 例:カジイチゴR. trifidusを母体にコジキイチゴR. sumatranusの花粉を付けたもの → カジコジキR. trifidus × R. sumatranus
  • 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
  • 同種が複数株あって区別を要する場合は、和名の後に#番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。株分けなど栄養繁殖個体は枝番号を付し、#1-1などとする。
  • この稿末記載は、記事毎に上位互換を意識しつつ改変される可能性があるので注意されたい。

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