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あれから9年も経ったのか……

匿名でコメントをいただいたあの時はまだ、初期メンバーの黒井沢株も生き残っていた。翌年には旅立ってしまい、僅かに出た自家授粉と思われる実生も絶えてしてしまった。
このハスノハイチゴRubus peltatusを片親とする雑種が、浜松の酷暑にも耐えて開花に至った。生存はひと株のみ。

ちなみに花粉親は、秋葉山第2駐車場向かい(標高840m)に自生していたモミジイチゴR. palmatus。このあたりの季節は、平地よりひと月あまり遅い。


4/14 ハスノハモミジの開花

4/14 開花の様子

4/14 開花の様子

4/19 開花直後の様子

4/24 左端の葉身は15cm

4/24 花後の萼裏と托葉

4/24 若実?

遠目に眺めれば、なんか微妙に雰囲気が違うなぁ……という程度にモミジイチゴに似ている。ただし大振り。毛ぼったい感じもある。

花を見れば「違う何か」であることは判る。蕾はモミジイチゴに似るが異様にデカい。花も大きく、径は測り忘れたが萼の広がりが約3cmなので4cm前後はありそう。
雌蕊は突出し太い。雄蕊は短く数も少ない。必ず下を向いて咲く。4/24現在も、花弁は落ちたがそのまま枯れずに残っている。

なお、初年茎はまだ出ない。


そういえば以前、神坂峠に散策に行った際、何か変だな、と思ったモミジイチゴがあった。思い過ごしかもしれないが、とりあえず貼っておく。
その後出向いた際には見つけられなかった。草に埋もれたか、草刈りに遭ったか……道脇の自生なので、無事に生きられる可能性は高くないかも。

このほかにも、ほぼほぼ2果ずつ生る株もあった。そこそこ眺めてきたつもりだが、そんなモミジイチゴは見たことがない。


2024/5/24 神坂峠P裏株(フキの手前)

2024/5/24 神坂峠P裏株の葉裏

2024/5/24 神坂峠P裏株の葉表

2024/6/1 神坂峠2コーナ株

2024/6/1 神坂峠2コーナ株

あらためて、件の雑種についておさらいしておく。

ハスノハイチゴ×モミジイチゴ(父母の組み合わせは不明)の雑種は、コメントによれば、オオミネキイチゴ日本産キイチゴ属に関する報告2大阪市立自然史博物館 収蔵資料目録 第 51 集・図版25ページ)、マルヤマイチゴ日本産キイチゴ属に関する報告1大阪市立自然史博物館 収蔵資料目録 第 51 集・図版26ページ?)、オニモミジイチゴ(未発表)の3形態である。現在では、オオミネキイチゴが基本(雑)種で、マルヤマイチゴは別名扱いになっている。
……とのこと。ただしYListでは、標準和名をオオミネイチゴ、別名としてオオミネキイチゴ、マルヤマイチゴ、としている。

写真のある前者2形態の標本からすると、やはり血が濃い方の雰囲気が強く出ているように見える。作出した株は、かなりモミジイチゴに似ているので、これがオニモミジイチゴなのかもしれない。
2020年の記事でも触れているが、ゴショモミジイチゴ論文には、モミジイチゴ+ハスノハイチゴの半分が入った雑種、として記載がある。実は生るらしい。


ちなみにYListによれば、原記載文献は「A. P. G. 1(1): 17 (1932)」とある。おそらくこのpdfの17ページなのだが……読めないので、Gemini 3 Flashの思考モードに頼んでみた。
Rubus ohmineanus Koidz. nov. sp.
和名:オオミネキイチゴ(大峰木苺)

【ラテン語の翻訳】

形態: 枝は円柱状で刺(とげ)があり、無毛で栗色。葉柄は長さ2.5〜4.5cmで無毛、2〜5個の鉤状(かぎ状)の刺がある。葉は倒卵形で手のひら状に3裂し(まれに5裂)、基部は心形、先端は長く尖る。縁には鋭い重鋸歯がある。

花: 花は白く、単生(ひとつずつ咲く)で非常に大きく、直径は約5cm。下向きに咲く(nutantibus)。花柄は長さ10〜17mmで無毛。萼は無毛で、萼片は卵状に尖り、開花時には開出する。花弁は萼片よりも長く、倒卵状楕円形で、縁は波打つ(repanda)。雄しべは直立し、萼片より短いが花柱よりは長い。心皮(将来の実になる部分)には白い毛がある。

産地(Distr.): 日本、本州:大和(奈良県)、吉野郡、川上村、伯母子峠から山上ヶ岳の間(阪口総一郎氏採集)。

……微妙なところは判らないか。
萼は有毛で、雄蕊より雌蕊が長いところは違うかな。





【 和名、学名の出典等について 】
  • 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
  • Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
  • 交雑種名は、特に著名なものはそれを使うことがある。それ以外は、和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先にする。(参考1/参考2
    • 例:カジイチゴR. trifidusを母体にコジキイチゴR. sumatranusの花粉を付けたもの → カジコジキR. trifidus × R. sumatranus
  • 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
  • 同種が複数株あって区別を要する場合は、和名の後に#番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。株分けなど栄養繁殖個体は枝番号を付し、#1-1などとする。

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