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最近はググるとAIが回答もしてくれる。Gemini 3 Flashが集めてきた情報によれば……
AI による概要
キイチゴ属(Rubus)の系統解析において、核ITS領域(ITS1-5.8S-ITS2)葉緑体DNA(trnL-trnF、matKなど)は、その進化の歴史や多様化の過程を解明するために頻繁に用いられています。キイチゴ属は世界中に数百~数千種が存在し、倍数性や雑種形成が活発であるため、これらの分子マーカーを用いた系統解析は分類・進化研究に不可欠です。

系統解析のマーカーと役割
  • 核ITS領域 (ITS DNA):
    • 特徴: 核内のリボソームRNA遺伝子の一部で、進化速度が速く、近縁種間や種内の系統関係を解析するのに適しています。
    • 用途: 日本産キイチゴ属の多様化過程や、種間の分化を解析するために主に用いられます。
  • 葉緑体DNA (chloroplast DNA, cpDNA):
    • 特徴: 母系遺伝(種子で伝播)することが多く、ITSとは異なる進化の歴史(系統)を示すことがあります。特に trnL-trnF や matK 領域が利用されます。
    • 用途: キイチゴ属の系統関係や、分布域の拡大(生物地理)の解析に使われます。
キイチゴ属の系統樹に見られる特徴

日本産キイチゴ属の系統解析では、以下の傾向が示されています。
  • 北方系と南方系の分岐: ゴヨウイチゴやベニバナイチゴなどの北方系と、それ以外の温暖な地域に分布するグループとで異なる系統を形成する傾向があります。
  • 雑種形成と系統の不一致: キイチゴ属では雑種が形成されやすいため、核ITS(両親由来)と葉緑体DNA(母系のみ)の系統樹で、異なる系統関係を示すことがあります。
研究例
  • 日本産キイチゴ属の解明: 核ITSと葉緑体DNAの配列を基に、日本産キイチゴ属の生物地理学的起源や進化の過程が研究されています。(一部のみ、WebPDF
  • ナワシロイチゴの研究: 葉緑体DNAの matK 領域などを用いて、ナワシロイチゴの分子系統解析が行われています。
  • アポイの森のキイチゴ: trnL-trnF 領域と核ITSを用いて、北海道アポイ岳周辺のキイチゴ属の系統が調査されました。(PDF
キイチゴ属は形態が多様で同定が難しいため、これらの分子的なアプローチにより、形態特徴だけでは分からなかった正確な系統関係が明らかになりつつあります。

少しキーワードを変えると、研究例として、
雑種の検証: ゴショイチゴと他のキイチゴ(モミジイチゴ、ビロードイチゴ、クサイチゴなど)の推定雑種において、ITS領域で雑種であることを裏付け、葉緑体領域で母系親を特定する研究が行われている。(WebPDFへのリンク
なども掛かる。
興味深い研究結果もある。
在来野生種ナワシロイチゴのラズベリー育種への利用に関する研究PDF):ナワシロイチゴを遺伝子解析してみたら従前の出自の説は違うかも/ラズベリーと交配してみた/4倍体を作ってみた、など。
近縁な種間でみられる収斂進化の遺伝的基盤PDF):キイチゴ類は分化した各群それぞれが南進を試みているようだ。
Phylogenetic inferences using nuclear ribosomal ITS and~PDFへのリンクページ英語版PDF):キイチゴ類の遺伝情報を網羅的に解析。




遺伝子解析をすると、それを元に系統樹(種ごとの家系図的なもの)が描ける。
森林総合研究所の紹介ページでは、論文の一部を抜粋改変して、各々の種はどのくらい昔に分化したものかを推定している。


ホロムイイチゴなど普通には見られない連中は、3000万年以上昔に分化した古株であり、逆に普通に見かけるモミジイチゴとニガイチゴの分化は、半分の1500万年余と推定している。
ナワシロイチゴやエビガライチゴらは互いに近しいが、モミジイチゴあたりとはかなり遠縁であることも判る。果床の抜けないハスノハイチゴ、ビロードイチゴ、ゴショイチゴがひとかたまり、羽状複葉のバライチゴ、クサイチゴらもまとまっている。風貌イメージとかなり一致する。
一方で、普通は思いつかない、カジイチゴとミヤマモミジイチゴも近い。方や海岸性で数mにもなる種、此方山深い木陰でこじんまりとなよっと生える種。ただ、大きさや生育地など余計な情報を排して、純粋に個体のナリを見比べてみれば、なるほど似ている、と思わせる。




近縁な種間でみられる収斂進化の遺伝的基盤という研究(PDF)では、生育地の平均気温に着目している。


1枚目の系統樹に合わせて、反転、和名追記をしてある。
もともと冷涼な地での生まれで、本当は涼しく生きたい。でも進出先が暑ければ対応はする。どこかの時点で暑いの大好きに変身したわけではなく、郷に入れば従うまで、という風に見える。
ツリー形状が微妙に違うのは、調べたDNA領域の違いだろうか。




多くの論文で参照されている「Phylogenetic inferences using nuclear ribosomal ITS and~」という英語論文(PDF)には、ITS領域からの系統樹、葉緑体DNAからのそれとともに、それらを組み合わせて作ったコンセンサスネットワークの図がある。
基本的にはツリーなのだが、矛盾するデータがあるところは網目になっている。つまりそのあたりでは、単純に分化進化したのではなく、交雑などが考えられる……らしい。


学名だけでは判りづらいので、和名を追記してある。
中央右寄りに「ヨーロッパキイチゴ」とあるが、この学名を持つ種は所謂ラズベリーのほか、ミヤマウラジロイチゴ、エゾイチゴなど多くあるため、それで代表している。

右下にモッコウバラとエゾヘビイチゴがあるが、実際にはこのラインはうんと長いらしい。ここで表しているのは、「これらとホロムイイチゴらとの交点がキイチゴ属発祥のポイントである」とのこと。
論文を読むにあたっては、Google翻訳でPDFをまるごと日本語にしてもらい、知識の至らないところはGeminiに尋ねた。

図を眺めてみる。
ホロムイイチゴら、初期に分化した古株は、いまもその形をとどめている。匍匐性、蔓性の地上ワープ型が右に進化し、地下茎型が左側を占めているようだ。

右側どうしの雑種、例えばラズベリー×ナワシロイチゴなどは、上記論文以外でも耳にする。
オオフユイチゴ(図に記載なし)はホウロクイチゴとフユイチゴとの雑種とされる。この両者は、花期も染色体数も違う。マヤイチゴ(マヤキイチゴ)も、ホウロクイチゴ×ナワシロイチゴという。これも染色体数が違う。

左どうしも当然たくさんあるが、左右は聞かない。
カジイチゴはなんでも容易に混ざる印象だったので、ナワシロイチゴで試したことがある。が、2度は実が着かず、3度目は着いたものの発芽は僅かにひとつ。それも、小さな本葉2枚で成長が止まって終わっている。

裏山では、ニガイチゴとモミジイチゴが隣り合って咲いている。花期のズレはあるもののオーバーラップはある。でも雑種は聞かない。
ネットワーク図の中央横線から、左上に飛び出たモミジイチゴと、左に飛び出たニガイチゴは、結構遠いのかもしれない。逆にカジイチゴは、横線からろくに伸びていない。共通祖先に近いわけで、いろんな種と混ざりやすい性質があるのかもしれない。

ニシムラキイチゴ(ニシムライチゴ、ハチジョウクサイチゴ)は、結構複雑な様子が見て取れる。
トヨラクサイチゴ(カジイチゴ×クサイチゴ)の自然発生株を採収、栽培し、わずかに実った種を播いて、そこからわずかに育った株がニシムラキイチゴ(のような株)だった。2年続けて毎年1株得られ、いずれも正常に実る個体だった。そのうちひと株の実生を育ててみたが、正常に実っており、種として確立している。
ここ数年はヒヨドリがすっかり味を占め、熟すやいなや全て啄ばんでいってしまう。いつぞや「浜松で一大群落が発見」される日が来てしまうかもしれない。

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