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ショートアンテナ(自作)に換装した

構成図 (2017/11追記)
ホンダ・インテグラ(HONDA INTEGRA)にショートアンテナを載せてみた。

丸目から移行したこの車種。タマとしては、初めて設定されたタイプR(typeR)がよく出ていたようだが、どのグレードも基本構造は同じ。
ちなみにうちの型式もE-DC2なので、保険料はちょっとお高い。

アンテナはもともと、自動でにゅ~っと伸びるロッドアンテナ(オートアンテナ)がついている。以前書いたとおり、伸縮がうまくいかなくなっていた。
S2000ほか市販アンテナを載せる記事は散見されるが、結局はすべて自作することにした。


せっかくなので、あまり記事になってないことをしてみたい……ということで、目論み成就のためショートアンテナを物色してみる。アマゾンでも、まぁまぁそこそこ安く買える。
こういう場合はeBayあたりを覗くと、さらに安く買えたりする。ただしすべて英語。いずれにしても中国製、中国発送が中心になる。

こだわらなければ、大陸から買えば200円(送込)でお釣りがくる。純正パーツと比べるとゼロがひとつ違う。1セント開始のオークションもあったので入札してみた。
……のだが、何度やってもoutbid。商品カテゴリによって文化は違うが、ここでは互助会デキレースめいたものを感じた。

まぁ、そういうことなら、こしらえるから要りませんよ。

法律を調べる

つまるところ法的には、常識的に「危ねぇな!」というものはダメ、と言っているだけのよう。

車載するとなると、いろいろ法律が絡みそうなので、まとめてみた。
法曹の人間ではないので漏れはあるかもしれない。ネットを見回して挙げられているものは網羅できていると思う。

法律、政令などに関しては、e-Gov法令検索(旧版:法令データ提供システム)、それより下位の国土交通省の告示などは、告示・通達データベースシステムで調べられる。

そもそも自動車は、すべてひっくるめて高さ3.8m以下(道路法第四十七条車両制限令第三条三号道路運送車両法第四十条道路運送車両の保安基準第二条など)でないと公道を走れない。まずこれは大前提。
アンテナ設置の細かな規定については、国交省の告示という形で出されている。道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(PDF)からリンクされた別添22 外装の電波送受信用アンテナの技術基準(PDF)から、関係しそうな部分を抜粋要約してみた。
  • 床下、2m以上の高さ、10cmより小さな窪みの中に設置なら告示の対象外
  • 外向きに鋭く尖っていてはダメ
  • ぶつかったときに危ないのはダメ
  • 外向きで接触しそうな形もダメ
  • R<2.5mmのとんがりはダメ、ただし60ショア(A)以下ならそれでも可
  • 車側面から10cm以上内側に取り付けなさい
  • アンテナ一切は車幅からはみ出してはいけない
  • アンテナは細くてもいいが、先端はR≧2.5mmのキャップをつけなさい
  • アンテナ台座は高さ4cm以下
ちなみに60ショア(A)とは弾性固さのことで、ドアシールのゴムより少し固いぐらいらしい。(参考:Wikipedia「Shore durometer」)。

アンテナ台座をこしらえる

セレート無しのM5フランジナット2つを、フランジ合わせにして使った。下側になるナットの穴には、念のため防水として接着剤で蓋をしておいた。
ナット2つではガタつくので、上側ナットの上に外径12mmのO-リングを咬ました。これは防水の用も兼ねる。
仕上がりは、キャップ上面より微妙に引っ込んでいる。


アンテナ台座をこしらえる
以前の記事の段階で、上面キャップは外し、アンテナも引き抜いてある。

ショートアンテナを取り付けるには、アンテナが収まっていた真鍮パイプ内に「アンテナ設置ベース」的なものを装着する必要がある。
ビート用として1500円で出回っているようだが、せっかく採寸もしたことだし、上手い手はないものかとあれこれ考えてみた。

○ ボードアンカーを使った人もいたが、ナット部をもうちょっと出っ張らせたい。コンクリートアンカーやリベットナット(ブラインドナット、エビナット)あたりは使えないだろうか。
● 寸法も構造も、合ったものがなかった。
○ 高ナットや丸ナット(ねじ付管筒)の円周にスリットを入れて、サークリップ(Cリング、Eリングなど)で引っ掛けたら格好良いかも。
● 加工は手間も金もかかるし、再現性は低いし、旋盤ないし、中途半端にするぐらいなら出来合い買った方が確実で安上がり。
○ 六角スペーサを2連にして、間にワッシャをかませば、まったく加工不要でいけそう。
● M5で特定の長さで材質も考えると、入手性が悪く価格もどえらい高くつく。
○ フランジナイロンナットの寸法が絶妙。ナイロンリングで、抜け止め効果もあって厚さも稼げて格好も良いかも。
● フランジナット、ナイロンナットはあるが、兼ねているものは入手性が良くない。アンテナは手で着脱したいが、ナイロンナットは固すぎる。

そんなこんなで結局、普通のフランジナットを使うことにした。フランジナットとは、ナットとワッシャが一体になった形状のもの
一般的にM5のフランジナットは、フランジ径が12mm前後。ちょうど真鍮パイプに乗っかるサイズで、手が滑っても中に落とす心配はない。値段も安いし、ホームセンターでも買える。

今回は、たまたま手に取った八幡ねじの「くさびロックナット」を使った。
セレート(裏面のギザ)無しなので、傷もつかないしガタも出にくい。裏表にして2枚使えば、パイプとキャップとの空隙も埋まりそう。ゆるみ止めを謳っているぐらいなので、使用中のアンテナの緩みも防げそう……

さっそく嵌めてみたが、空隙は埋まりきらず。ガタが出たので、O-リングを咬ますことにした。シリコン製φ2.0、外径12mmというものを使ったが、これは少々柔らかめ。断面も丸いので変に動きやすい。
ホームセンターの水周りコーナーには、パッキン類が置いてある。カクダイの平パッキン(\90-\96-など)あたりは寸法がぴったり。NBRなので丈夫だし、断面が角形で使いやすそう。入手性もいい。

ちなみにこのフランジナットは、ナット高4.80mm、フランジ径φ11.5mm。フランジ厚は勾配になっており、中央側は約1.6mm、端部は1.3mm程度だった。

ナットの材質には、鉄を選んだ。アンテナ側のボルトも同様。それぞれ、三価クロメートメッキ、ユニクロメッキは施されている。当初はステンレスを考えていたが、敢えてこちらにした。
外で使うので必ず濡れる。濡れれば電食が起こる。アンテナ周りは、内部は真鍮パイプ、キャップはなんらかの銅合金っぽい。錆びるときは工作物から錆びてほしいのでこのようにした。
ただ、もともとのロッドアンテナはステンレス(若しくは黄銅クロムメッキ)あたりと思われるので、余計な心配だったかもしれない。

電食にはイオン化傾向が深く関わる。
合金を含めた表はあまり見当たらないが、『「サビ」の雑学 異種金属接触腐食』、「ステンレス配管との異種金属接合」あたりは参考になりそう。

アンテナ本体をこしらえる

グルースティックにラッピングワイヤを巻きつけ、端部はM5ボルト+フランジナットとしてワイヤを接続。
必要に応じて各部はテープなどで固定し、補強、防水のために全体を熱縮チューブで覆った。

所謂ショートアンテナは、ヘリカルアンテナ、ヘリカルホイップアンテナなどともいう。
内部はコイル状になっており、本来必要な長さ分の導体を、くるくる丸めてコンパクトにしたもの。Wikipediaにあるノーマルモードがそれ。

アンテナに関して検索すると、微調整をしてマッチングを取るとか小難しいことをいろいろ言っている。ただしこれらは、決まった周波数で大電力を食わせる送信アンテナでの話。受信アンテナではあまり意味がない。
そもそも受信側は、対象周波数が広いので合わせようがない。ましてやカーアンテナでは、AM帯まで受けるわけで話にならない。


アンテナ本体をこしらえる
自作した記事はいくつかあり、基本的にdemi蔵氏の記事パクらせて大いに参考にさせてもらった。

導体線を巻きつける不導体の棒は、先達に倣いグルースティック(ホットメルト)を使用した。φ7mm、10cm長のものがストックにあったのでそれを使った。
導体線には、不良在庫となっていたラッピングワイヤ(ジュンフロン線)を使った。AWG28(0.32mm)でETFE皮膜つき。
ジュンフロン線は、基板配線に最適、とダマされて購入したもの。剥皮は面倒だし、ハンダの乗りは悪いし、バネ性も強いし、で使いづらいことこの上ない。ラッピングでない基板配線には使えない。
ボルトは、M5で長さ15mmのありふれた六角ボルト。導体を挟み込むナットには、台座にも使ったフランジナットを使用。このフランジ部が、アンテナ台座の防水に一役買っている。

まず、グルースティックの端に千枚通しなどで穴を開ける。そこに線の端を挿し込む。グルースティックは弾性があるので、これで結構固定される。ありすぎて挿し込みづらいかもしれない。
線は3周ぐらいは垂直を気にしながら、あとは巻いた線に沿わせていけばきれいに仕上がる。巻きを均等間隔にしたければ、巻いた後でしごけば如何様にもなる。
巻く向きは、ナットで締め付けるときに引っ張り方向になるようにした。ちなみにFitのアンテナは逆巻きだった。
導体線端部は剥皮し、ボルトに1周絡ませて、ナットで締め上げる。ここは電気的に接続する。

アンテナの仕上がり投影長は、長ければ長いだけ受信には有利なはず。その成れの果てに、純正のロッドアンテナがある。巻き線の位置は、グラウンドより遠い方が有利ではないかと考えたが、本当のところはよく判らない。Fitのアンテナは均等巻きのようだった。
導体線をコンパクトにまとめる方法はいろいろ考えられるが、電波を受信して電流が流れることを考えると、無誘導巻きや畳んで束ねるなどは適さないと思われる。多段にしたりバイファイラで巻いたり、といったあたりは問題無さそうだが確信はない。


アンテナ本体をこしらえる
巻き線の固定、およびスティックとボルトとの固定は、アルミテープを使った。手持ちでもっとも丈夫そうなテープがこれだったというだけで、アルミである意味は無い。むしろ金属でない方がよいハズ。

仕上げは熱縮チューブで保護、固定する。スティック~ボルト間が弱いので、ここは2重にしておく。ナットのフランジ部は防水も兼ねるので、ここまでしっかり被せる。
たまたま端部キャップ(長巻アンテナ線などの端部についてくるキャップ)が転がっていたので、2重目を被せる前にスティック先端に取り付けておいた。熱縮チューブだけでも、水が入ることはないと思う。

熱縮チューブは、ポリオレフィン、φ14mmというものを使った。アマゾンにも似たサイズのものはある
熱縮チューブには、PVCでできたものもある。こちらはバッテリパックを包むようなパリパリのやつなので適さない。ポリオレフィンはゴムっぽく弾力がある。

通常の熱縮チューブは、直径が1/2に縮む。1/3、1/4というものもあるが、特殊品で値も張るので必ず謳ってある。
7mmのスティックに線を巻いているので、7mm程度に縮まれば用を成す。目いっぱい縮ませることで仕上がりは厚くなるので、より保護、補強になると考えたが、もう少し細めでもよかった。

チューブの加熱には、ハンダ鏝の胴部を使った。配線保護程度の太さならこれで十分だが、アンテナクラスになるとヒートガンが欲しい。鏝ではどうしても不均一になり、直に撫でるので表面も荒れる。
ヒートガンに似ているが、ヘアドライヤでは温度が足らないことが多く、かなり難しい(写真・左列中央)。
加熱は片方から順に行った方がいい。縮んでズレるのを恐れて、両端を閉じてから全体を加熱していったら、空気の逃げ場がなくなってしまった(写真・右列)。逆にいえば、それだけの気密、水密は保てるということでもある。

柔軟性、気密性は確保できたが、問題は耐候性。
基本的には丈夫なものらしいが、特に耐候性を謳った製品も存在する。成分比によっては多少劣る場合もあるのかもしれない。


アンテナ試作2種
アンテナとして巻く導体線は、70cmと225cmの2種類を試した。

そもそものロッドアンテナは、1/4波長(λらむだ)の長さになっている。1/4λは、76MHzで98.6cm、108MHzで69.4cm。
1/4λにするのは、基本形の1/2λダイポールの片方をアースに落とした形であるため。「アンテナの基礎から応用まで」あたりを見ると、なんとなく解った気になれる。
それをコイル状にすると容量成分などが発生し、「短縮率」というものが出てくる。電流が遅くなるので、波長が短くなるのと同じ効果が出る。「だれでもわかる波長短縮率」あたりを見ると、なんとなく解った気になれる。

そもそも受信周波数帯が広く、またグルースティック素材(EVA)の比誘電率も代表値がない。一般的に用いられる短縮率は0.6~0.7らしいので、まずは76MHzの7掛け、108MHzで定価の70cmで試すことにした。
アンテナを外した状態では、ラジオは一切入らない。試作アンテナを装着してみたが、感度がまったくもって低い。定量的には示せないが、ノイズまみれで実用にならない。AMは局の確認すら難しい。
そのアンテナを人が触ると、抜群の感度になる。根本的に長さが足りてなさそう。

AM帯受信を考えれば、より長い方がいい。残ったワイヤ全部の225cmで再試作した。これで試すと、FMはかなりクリアに、AMも実用レベルで受信できた。理論的説明はできないが、ともかく長くした方がよさそうな雰囲気。
Fit純正のアンテナを借りて試したところ、同レベルの感度があった。投影サイズは試作アンテナの倍ぐらいある。

装着する

調整しながらの取り付けが必要だった。

台座をセットし、アンテナを作り、普通にねじ込めば良さそうだが、そうは問屋が卸さなかった。

台座は、フランジナット2つとO-リングを重ねた上にキャップをねじ込む。ガタがあるため、キャップを締めているうちに動いてしまう。O-リングも、断面が円で下手に柔軟性があるせいで、ナットの脇からはみ出てくる。
まっすぐ装着しておかないと、アンテナが垂直にならないだけでなく、下側のナットに食っていかないために浮いてしまう。

試行錯誤の結果、次のようにして装着した。
ナットが簡単に動かない程度までキャップをねじ込み、ここでアンテナを奥まで装着。その状態でキャップをさらに締めこんでいき、曲がったと思ったらアンテナ(のボルト部)を持ってグリグリ。コジてまっすぐに直しつつ、キャップをいっぱいまで〆込み、アンテナも同様にねじ込む。水が入らないように、隙間、浮き、ガタつきがないか、しっかり確認しておく。

ちょっと面倒だが、一旦これでしっかり固定してしまえば、以降アンテナの着脱は素手で普通にできるようになった。
アンテナの代わりに長めのボルトを使えば、安心してグリグリできたかもしれない。またO-リングに、シリコーン潤滑スプレーのようなものを吹いておいた方が、作業性や予後がよかったかもしれない。

モータ電気配線を改造

モータの配線を解析、グラウンド線を切ることで無駄なモータ動作を止めた。


側面内張りを剥がした様子

配線加工など

回路

ショートアンテナに替えた記事を見ると、アンテナのモータの無駄な動作には、目をつぶっておくか、内張りまで剥がしてコネクタを抜くか、のどちらか。
せっかくなので内張りを剥がしてみたが、これがかなり面倒だった。

後面の内張りは、7個のプッシュリベットだけなので、取り外しは容易。ランプ交換などはこれでOK。
ところが側面は、上辺に金属製クリップ(写真2枚目左上)多数、床面にスクリベットが2箇所、壁面にボルト2種各1箇所、しかも1本はタイヤハウスの窓の中で、そこにもまたクリップ……
この側面内張りは後部座席の壁にもつながっており、そちらにはグレーのプラスチックファスナも使われている。正直、二度と剥がしたくない。

コネクタを外すと、嵌めたいときにまた剥がさなくてはならない。後面から側面へ這わせてある、4本の配線をいじって何とかならないか……追ってみたところ、モータのGNDラインでオンオフできそうなことが判った。
このラインを含めて、この付近の電装のGNDらは、まとめて後面パネルの中央付近でボディアースに落としている(写真2枚目右列、左下隅あたり)。実に都合がいい。

配線はすべて色分けとドット打ちがされ、どれがどの線かすぐ判るようになっている。
モータのGND線(黒線ドット1点)だけをカットすれば、モータは動かない。クワ形端子を取り付けておいて、戻したいときにボディアースにつないでやれば元通り。

圧着端子は持ってないので、今回はモータのGNDラインを途中でカットし、ギボシ線を取り付け(熱縮チューブ保護)、インシュロックで束ねておくことにした。
モータを活かしたければ、後面内張りを剥がしてギボシをつなげばよい。ギボシは、ボディアース側をオスにしておくことで、ショートの危険を回避できる。

ちなみにこのギボシは、以前もらっておいたハイマウントの一部。悔しい2万円の1%ぐらいは取り返した。

ついでにFitのアンテナも修理


Fit純正アンテナも補修
当記事でたびたび登場するFitのアンテナ。外皮、特に基部の中空になっている部分が崩壊していたので、補修しておいた。

バラけたガワをパズルのように組み合わせ、セロハンテープで仮固定していく。全体にも曲がっていたので、それも補正しつつテープで仮矯正。
熱縮チューブは、基部側半分程度にまず施工。先端部にキャップを着けたら、こんどは全体に施工。バラバラの基部側は2重にしておいた。

チューブ分太くなったわけだが、普段使いに支障はなく、ぱっと見にも違和感は無い。
ただ前方に倒そうとすると、アンテナ台座に干渉してしまう。無理に倒すと、せっかくのチューブが剥けてしまう。ついで修理なのでヨシとしたい。

採寸にはないが、ボルト先端は外皮先端より2mmほど引っ込んでいる。今回のアンテナ台座には、そのままでは付かない。
ネットで見かけるS2000などのアンテナは、ボルトが飛び出しているのでそのまま着くと思われる。

バラけついでに導体線長も測ってみた。
巻きの直径を6mm、7巻き/cm、仕上がり長167mmとすると、導体線長は約2.2mと計算できた。図らずも、自作アンテナと同等の長さだった。

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