旧来の衛星は、等間隔3方向に40°持ち上げた、大きなアンテナパネルを持っている。MMA(Main Mission Antenna)と呼ばれるこれが、-8等にもなるイリジウムフレアを起こしていた。
左の検索結果の、トップにある機体がそれ。フレア予報では、進む方向にあるのをフロント、斜め後方にあるものをレフト/ライトアンテナなどと呼んでいる。
現在進められている交換作業により、Iridium-NEXTという新型に置き換わる。
この衛星は、羽の生えた金のインゴットのような形をしており、アンテナはインゴットの腹に貼りついている。かつてのような大きなパネルは無く、フレアは期待できない。
衛星名としては、100番以降(故障機の900番台を除く)の番号が振られている。
予備の9機を含む75機が、ファルコン9ロケットで打ち上げられる予定。全8回で、2018年7月には7回目が成功している(Iridium プレスリリース、SpaceXプレスリリース)。
衛星の概要については、総務省のサイトで検索をかけると日本語のざっくりした解説PDFが見つかる。
新しい衛星が打ちあがると、旧型機は不要になる。それらは順次、軌道高度を下げ、大気圏で燃やされる。
ざっと見たところでは、南緯45°あたりに近地点を置くらしい。日本で流れ星を見ることはなさそう。ただしタイミングによっては、かなり低高度のパスを眺めることができる。
姿勢制御をしているのかは不明だが、ゆっくりとした光度変化がある。フレアが起きることもある。
2018年7月1日。Iridium81のパスがあった。
画像は、Heavens-above予報、撮りっぱなし、RAW画像をバックグラウンド補正したのち、強烈に階調補正をかけたもの、の順。
「予報」はブラウザのキャプチャ。「撮りっぱなし」は、1600pxに縮小だけしたもの。高速な2~3等星なので写りはよくない。JPEGで消えてしまうときはPNG画像にしてある。
画像の加工は、Yimgを使っている。
カメラはカシオEX-10。28mmF1.8にワイコンを装着。ISO80で125秒露出。
Heavens-above予報によれば、通過時の高度は360km余で4等クラス。薄明中で、しかも部分的に薄曇。条件はさほど良くない。
画角左上に北斗七星。右上の輝星がアークツルス擁するうしかい座、その下にかんむり座。左辺中央にこぐま座があり、すぐ外に北極星、という構図。
眼視観測では、うしかい座付近で2等級。これが最大で、他はせいぜい3等星。20~30秒ぐらいの間隔で増減光していた。
写真では、アークツルスの下、かんむり座の右に、最も明るいタイミングの光跡が写っている。さらに中央やや左寄りにも、かすかな痕跡が見られる。
この衛星は、撮影時の軌道の近地点は160km。半月後の7月17日に大気圏に突入している。
2018年9月16日。Iridium96のパスがあった。
画像順などは上に同じ。
撮影条件も、ワイコン無し、100秒露出、以外は同じ。
近地点は現在も282kmあり、まだしばらくは見られそうな衛星。
通過時の高度は450kmとISSより高いが、通常のイリジウム(780km)を思えばだいぶ低い。
画角左下に南斗六星。左上に火星を擁するやぎ座。中央にわし座、その右上にはいるか座がある。
予報では4等星だが、明るいタイミングには2等級に見えた。増減光は、おおむね20秒間隔か。
さらに、アルタイル付近、アルタイルと火星間で2回の計3回、1等級のフラッシュも見られた。
一瞬だったため、光跡の中に認められなくはないが判りづらい。
つい先日のクリスマス。Iridium46のパスがあった。
画像順などは上に同じ。
撮影条件は、ワイコンを装着しての100秒露出、だけの違い。
この衛星も近地点は254kmあり、今しばらく楽しめそう。
通過時の高度は400km弱。4等級予報。
透明度はいいが月があるので、建物の月陰に入りつつ撮影。
最高で2等星にはいかない程度。やはり20~30秒間隔での増減光。フレアは無し。
よく見ると、減光中の真ん中あたりに、暗く短い光跡が見えるような気もする。
また増光時も、ちょっと途切れて見える部分もある。もっとも、背景ノイズとの区別が難しいが。
いずれの衛星も、20~30秒サイクルで、ゆったり回っている模様。実際にフラッシュした衛星もあり、予測不能なところもある。
通常軌道にはまだ半数の旧衛星が残っているので、しばらくは楽しめそうだ。
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