植物の養分は日光とばかりにガンガンに日に当てたら、葉が焼けて坊主になってしまった。浜松の直射は厳しいかと格子で遮光('17版/'18-20版)してみたが、それでもやはり葉は傷む。
今年は、カキノキの緑の日傘の下に退避。強めの遮光と生体からの湿度補填など何らかの効果を期待したのだが、残念な結果が出つつある。
様子を観察すると、緑の葉になんとなく白っぽい部分が発生し、進むと全体に黄色味がかり、やがて枯れ始めている。
葉裏を見ると、枯れ始めた葉にはカビのようなものも見える。ウドンコ病というより、腐植一歩手前に生えたカビ、のような感じ。
症状の軽い葉を見ると、小芋虫の糞のようなものが散らばっている。でも芋虫は見当たらない。
芋虫を探していると、動いた。「糞」が。
糞はハダニだった。ネット情報からすると、おそらくカンザワハダニ。肉眼では黒い小さな点にしか見えない。ときどき動く。息を吹きかけるなどすれば、より活発になる。撮って確認してみると、赤黒いずんぐり胴体に白っぽい足。駆け出すと、王蟲が荒野を進むが如し。
いくつかの葉を撮影してみた。各3枚。全体像、葉表拡大、葉裏拡大の順。
カメラはカシオのEX-10。28mm広角端では1cmまで寄れる、いわゆる1cmマクロ機。一部画像は、さらに拡大している。
だいぶ枯れが進んだ葉。
葉裏の棘には、糸が張っているのが見える。白っぽいゴミとあいまって、肉眼ではカビの菌糸のようにも見える。
ダニっぽい姿も確認できる。
枯れ込みはないものの、全体に黄変、褐変が進んだ葉。
葉表にも葉裏にも、かなりのダニが見える。白いゴミもある。
一部枯れてきた葉。
葉表は白変しているだけで虫は見えないが、葉裏がすごいことになっている。
かなり糸が張られ、空中遊泳しているダニもいる。白いゴミは、脱皮殻ではないかと思われる。
卵らしきものも見える。ピンボケの棘と画像下端の中間あたりに、黄色味がかった透明な粒が3つ。ピントをずらした別の画像では、同様のものが他にも確認できている。
株元に近い健康そうな葉。
多少の白化はあるものの、全体に緑濃く健康そう。葉表にもダニの姿は無い。
ところがひっくり返してみると、うじゃうじゃだった。糸やゴミが見当たらないので、移住してきて間もない葉なのかもしれない。
この葉は映像でも撮ってみた。
原因は判ったので防除する。
ハダニは過湿、水濡れに弱いと聞く。試しに弱い水流を当てたところ、あらかたが流れ落ちた。
葉を透いて重なりをなくし、朝晩、葉裏に散水してみたところ、2~3日で見当たらなくなった。濡れ残りがあると生き残るので、丁寧に満遍なく濡らすのが重要と思われる。「吹き飛ばす」ような水勢は必要ない。如雨露で十分。
カンザワハダニの生育期間は10日余という。とりあえず2週間ぐらい葉水を続ければ、全世代を通して一掃できるのではないかと考える。
ハダニは、薬剤耐性がつきやすいともいう。一掃できれば、耐性もリセットされるのではないかと想像する。
同様のハダニは他のキイチゴにもいた。
とくにトヨラクサイチゴ(R. × toyorensis)系は、強健ながら葉が枯れることも多かった。これにも同様のものが付いていた。
コジキ(R. sumatranus)雑種などにもおり、「大きめ」「柔らかめ」な種に付きやすい気がする。ニガ(R. microphyllus)には、着く気配もなかった。
夏越しのために、件のハスノハ以外にも、高山性のミヤマニガ(R. subcrataegifolius)、ミヤマニガクマ(仮)、ヒメクマ(R. × geraniifolius)なども同居させている。
奥地で見つけたものにはクロイチゴ(R. mesogaeus)もあるが、これは直射でも平気なよう。ヒメクマも徒長気味で、日光をほしがっているように見える。
挙げたうちの残り3者は、自生地での姿に近くなったように見えるので、いい塩梅と思われる。
日の当て方ひとつも、なかなか難しい。
【 和名、学名の出典等について 】
- 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
- Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
- 交雑種名は、特に著名と判断したものはそれを使う。それ以外は独自名を付す。和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先頭にする。
- 例:カジイチゴ(R. trifidus)を母体にコジキイチゴ(R. sumatranus)の花粉を付けたもの → カジコジキ(R. trifidus × R. sumatranus)
- 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
- 同種が複数株ある場合は、和名の後に番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。
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