since 2007.8 by K-ichi

すっきり晴れないくせに、昼も夜もどかーんと蒸し暑い日が続いた8月。夏の星空は何回拝めたんだろう。9月に入ると、台風15号のおかげもあって気温も湿度もようやく一息。


9/4 カジビロード実生
去年仲間入りのビロードイチゴRubus corchorifolius花だけは大量に咲いたので、最後の一花をカジイチゴR. trifidusに掛けてみた。

4月16日に施術、5月に収穫し、6月4日に播種。1果133粒。7月9日には3つほど発芽。その後10前後に増加。
腰水から半日陰での潅水に切り替えたが、9月に入ると30余に一気に増えた。気温か水管理か遮光管理か、何が気に入ったんだろう。
現在も発根、発芽が続々と。もっとも大きな葉は約1cm。以降、カジビロードR. trifidus × R. corchorifoliusと呼ぶこととする。

通常キイチゴは、採り播き後越年、翌春に芽が出るのだが、カジイチゴは当年に出るものも多い。いま出ているのは、母体であるカジイチゴの影響と思われる。


6/1 建築1ヶ月余
すでに反り始めている

9/7 建築4ヶ月余
だいぶ無残になってきた
ちなみに遮光は、簡易的に材木で組んでみた。屋根には無垢の床板を奢り、スノコ状にしている。
日周運動で影が動いて満遍なく遮光されるよう、床板は南北に流す。遮光面積比は50%としている。水切れと簡便さのため、北面への片流れ。

一般的なフローリング材のような合板ではないので、上に下に好き勝手に反っくり返っている。無垢材では、ひと夏過ごすのが限界。
鉄製の軽天材の方が軽く、屋外暴露による劣化もおとなしいので、来年はそちらを考えている。もちろん、すべて廃材にて。

ここには、ハスノハイチゴR. peltatusやミヤマニガイチゴR. subcrataegifolius、ミヤマモミジイチゴR. pseudoacerなど高山性のものも置いている。
高山性ではないが、コジキイチゴR. sumatranusも直射に弱い。それを考慮してコジキカジF2R. sumatranus × R. trifidusもここに入れておいたのだが、えらく徒長してしまった。コジキカジは遮光なしで問題ない。


9/7 コジキカジF2
以前の記事では、コジキカジなどの実生はコジキに戻ると書いたことがあった。

つつましい状態の葉では、小葉も細身、基部小葉の片割れも無く、コジキイチゴの小ぶりな葉そのものだった。
実の生り方も、ちょっと粒が大きめな気はするが、鉢植えによる根域制限や受粉具合で説明がつくものと思っていた。
徒長してデカい葉になって改めて気づいたのだが、羽状ではなく鳥足状になっている。これは単葉×羽状複葉の掛け合わせで出る形状。つまり、雑種の子も雑種のままだった。

当時のメモ書きを読み返すと「羽状だけど2対までしか無い」など書いたものもあった。安易な思い込みはいけない。


カジコジキ

トヨラクサイチゴF3の葉表

トヨラクサイチゴF3の葉裏

トヨラクサイチゴF2#2

今年のカジコジキR. trifidus × R. sumatranus、トヨラクサイチゴR. × toyorensisなどには、変形葉が多く出た。上の4枚は9月4日のもの。

虫害としては、新芽が綴られて食い荒らされるハマキムシ類や、茎に産卵してパックリ割れるチュウレンジハバチが定番。若実が吸われて色が抜ける、カメムシの害もある。
今年のものは毛色が違う。ウイルスだと困るなぁ……と調べてみたところ、どうやらダニ害らしい。

葉が表側に凸に変形し、ひどくなれば縮れ、患部には毛が生える。茎にも症状が出る。
キイチゴハケフシなどと呼ぶようだが、要はフシダニ類による吸汁被害のよう。
キイチゴの葉に出る毛のあるフシ(虫こぶ)、とそのまんま。正式な名称なのかは知らないが、虫癭ちゅうえいの類は、だいたいそんな名がつけられる。

思い起こせば、自生のクサイチゴなどにも、こんなボコボコ病巣がよく見られた。そう珍しいものではなさそう。
種の維持に関わるクリティカルな病虫害ではなさそうなので、とりあえずベニカXスプレー(ペルメトリン・ピレスロイド系)をかけておいた。





【 和名、学名の出典等について 】
  • 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
  • Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
  • 交雑種は、種レベルの扱いがあり特に著名と判断したものはそれを使う。それ以外は独自名を付す。和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先頭にする。
    • 例:カジイチゴR. trifidusを母体にコジキイチゴR. sumatranusの花粉を付けたもの → カジコジキR. trifidus × R. sumatranus
  • 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
  • 同種が複数株ある場合は、和名の後に番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。

2 件のコメント:

ルブス さんのコメント...

2017年にカジイチゴ X ビロウゴイチゴの作成、コジキイチゴ X カジイチゴの作成が書かれていましたが、現在でもそれらの雑種は健在でしょうか。

K-ichi さんのコメント...

カジコジキ、コジキカジは、ひと株ずつ残してあります。カジビロードは、'21、'22のものが成功しているっぽいです。'17のは失敗で、トヨラになってしまいました。

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