小止みになって外を眺めると、赤やオレンジが煌いている。赤は消防の赤色回転灯、オレンジは電柱の放電だった。
電柱や鉄塔の碍子近辺から、ジリジリという音とともに、オレンジ色の火花が見える。1時間もすると治まったが、塩水をかぶるとそういうことが起きるらしい。
吹く風は重く暖かい。ぱらつく雨に当たると、ベトついた。
翌朝、窓ガラスには水滴のようなものが残っていた。なぜか晩になっても乾かない。舐めてみると、しょっぱい。
金星の太陽面通過などを、いっしょに眺めた庭のニガウリ。これも塩揉みされていた。
海から20km、汽水・浜名湖からも5kmあるが、舐めて判るほどだから、やはり飛んできている。ヨレたところは後に褐変した。
畑の被害も結構あったらしい。小学校のヒマワリも、頭こそ飛ばなかったものの、葉は軒並みしおしお。数日後にはすっかり茶色になっていた。
街路樹もだいぶやられている。
柔らかいナンキンハゼは、枝がみな北を向き、葉は濃い緑に変色して、ちりちりになっている。翌日には干からび、緑色のままカラカラと音を立てて散っていた。ケヤキなどは、多少傷んでも葉を残そうとするが、こちらは諦めがいい。
ひと月ほど経ったいま、枝は垂直近くまで持ち直し、葉が散った枝には黄緑の新芽、散らなかった枝には花穂が出ている。
ケヤキ、カツラ、モミジバフウなどは、半分茶色いものがまだ見られる。新葉が出てきているものも結構ある。
姫街道のアカマツ並木などには、まったく変化は見られない。防風林に使われるだけあって、マツは潮風をなんとも思わないよう。
ふと眺めると、風車も止まってる。引佐~滝沢にかかる浜松風力発電所は、10機全部止まった。
いつからかは不明だが、台風のころからとすればひと月あまり。見た目ではトラブってる様子は伺えない。運営会社、運用会社のページには、この件に関する記述はなし。台風のためか、それ以外の理由かは判らない。
一昨日あたりから、徐行運転が始まった模様。まだブレーキがかかった状態が、遠目にも判る。
停止状態のときのブレードは、風が当たりにくいように角度調整される。正面から見ると細く薄く見える。これを「フェザリング」しているといい、速度調整やフェザリングのためにブレードの角度を変えることを「ピッチ制御」という。また、風向に合わせてナセルの向き(風車全体の向き)を変えることを「ヨー制御」というらしい。
4号機もフェザリング状態。ブレードは、矢印方向に、矢印分まで動かせる。
風力発電といえば、竜頭山周辺の計画。電源開発(J-POWER)によるもので、2.2MW 41基という話があったが、現在は2MW 28基にまで縮減されたらしい。
右の設置計画地図の写真は、くまもりNewsにあったもの。
第7回佐久間地域協議会の議事要点から、縮減の理由などが読み取れる。地図写真と付き合わせてみると、おおむね次のよう。
当初の計画は、竜頭山の南北に伸びるゆるい尾根の上に、41基並べるものだった。
南端は、現在廃屋になっている、お食事処「一本杉」南の864ピーク。ここから8基を連ね、少し離れてさらに4基が並ぶ。この北端は、グライダーのランチャー台(飛び立つ場所)あたり。
北上して竜頭山を超え、福沢線分岐南、三角点1183.5(-)付近のなだらかな丘には3基並ぶ。
少し北へ行って道路東側の尾根、三角点1296.2(1295.8)より南のピークから1201ピークまでに9基並ぶ。
井戸口山は、山頂を避けて北西1184点までに8基並ぶ。
山住峠を越え、三角点1107.6(1107.6)から常光寺山登山道がスーパー林道と別れるあたりまでに9基並ぶ。野鳥の森までは達しない。
以上、計41基。なお、三角点のカッコ内は、25000分の1地図表記の数値。
このうち次のものが削減された。
風が弱いことやイヌワシの生息などのため、山住峠以北の9基。地権者不同意のため、山住峠南の2基。静岡県の不許可により、福沢線分岐南のうちの2基。以上、計13基。
この佐久間の協議会では賛成の流れが感じられるが、一方で尾根東側の春野地区自治会連合会は、今年2月に「不同意」の回答をしているという。また、地図の写真を置いている日本熊森協会は、地権者になってまでの反対。
議事要旨によれば、着工予定は昨年8月。始まった話も聞かなければ、今年になっての不同意回答もある。はたして、どうなることやら。
建設に当たっては、長大な資材を運び上げなくてはならない。新居港から麓までは道は良いが、林道はそうはいかない。これについての質疑もある。
浜松風力発電所では、尾根北側の道路を相当に拡幅することで、40mものブレードを運んでいた。竜頭山計画では、春野側から林道久保田線を使うという。険しさには雲泥の差があり、拡幅だけでは限界があるため、適宜荷物を立ち上げるなどして運ぶらしい。
どんな機材か、ちょっと見てみたい気もする。
反対派の急先鋒である熊森協会は、以下のような反対論を述べている。
山の命である尾根をつぶして、100m×100mのコンクリートの風車土台を41基造れば、山は万里の長城のように永久に破壊されて取り返しのつかないことになってしまいます。騒音公害などで、森の生き物たちも生きられなくなってしまいます。尾根での風力発電はエコなんかではなく、大自然破壊なのです。現状を見ると、山頂付近まで植林され、尾根伝いに舗装路が通っている。公園整備がなされ、大きな建物もある。法面にはコンクリ吹き付け、谷には橋。既に「大自然破壊」されているところで、風車だけを敵にするのは筋が通らない。
また、風車を地域活性化の看板のひとつに利用したい、という声もある。人が生きていく以上、経済活動は止められない。
一方で、野鳥の森をはじめ、一部には天然の森も残る。神秘そのものの巨大ブナなども、一度切ったらそれで終わり。こういうものは残さなければいけない。
騒音もある。民家への影響は無さそうだが、状況によっては、妙に響くこともある。
風車の下へ行けば80mを振り下ろす、大迫力のスペクタクルが味わえる。1秒ごとに空を切るブレードは、遠目にはゆったりとして「飛ぶ鳥を落とす勢い」には見えないが、叩き落とす事故は起こっている。刃先は最高で300km/hを超える。
環境省も、ようやくバードストライク等に対応する指針を発表した。風力発電の環境評価などについては、まだまだ現在進行形のよう。
反捕鯨のような、宗教じみた、そして金と組織維持のための反対にはいい加減うんざり。原発ムラにあるような、現法に触れなければなんでもアリ、の無責任も困りもの。
可能な限りの科学的な検証の下、子孫に対して恥かしくない判断をし、そして自然には畏れを持って行動してもらいたい。
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