カシオのHIGH SPEED EXILIM EX-10を入手して1年が過ぎた。メーカページでは早くもディスコン扱いだが、まだまだ働いてもらわねば。
アマゾンにはまだ新品も置いてあり、現行商品の模様。
一番のウリらしい「ある意味、9眼。」は一度も使ったことがないが、1000fps撮影とか、フィルムでは考えられない高感度なISO80とか、ぱっと焦点が合ってキレイに撮れるとか、なかなかどうして結構使えている。
一方で、インターバル撮影ができないとか、レリーズが付かないとか、動画の扱いがお座なりだとか、ちょっと残念な点もある。兄弟機のOLYMPUS XZ-2やPENTAX MX-1も同様ということは、それが世の流れなんだろう。
それなりに露出も掛けられ、固定撮影でも肉眼等級以上に写る。ただ、ちょっと甘いかなぁ……と思うこともあった。症状は不定期に現れるので、原因がつかめない。
コンデジのレンズ性能の限界か、と諦めていたのだが、冒頭の写真を撮ってやっと判明した。
11/20、18:00ごろ。SKYMED3のフレアを撮った直後におきたKOMPSAT-5(39227、2013-042-A)フレア。この衛星は、아리랑 5호ともいう(HEAVENS-ABOVE/Wikipedia)。
28mm相当、F1.8、ISO400。8秒露出を繰り返し、9枚をYimgで比較明合成。輝線の隙間は、メモリ書き込み時間+手動反応時間+シャッタの2秒タイマ(手ブレ防止)=2.7秒ぐらい。
写真中央にいるか座、右下にはくちょう座、左下にわし座。KOMPSATは、ペガスス座の鼻先を切り取るように飛んでいる。
SKYMED3フレアを撮り終え、余裕をみて前後数枚撮っておいたのだが、ふと撮像を確認したところ明るい線が写っていた。見上げると、何かがフレアを起こしている。慌てて再び撮影に入る。この慌てていた時間が、真ん中にぽっかり空いた隙間にあたる。
写角はおおむね、下が西、右が北。衛星は南行している。飛行機は下から上。「慌てていた時間」の前後で、星像がすっかり変わっているのが判る。
普段、広角で星野を撮る場合、ルーチーンは次のようにしている。
目的焦点距離にした後、MFで輝星(2等星程度以上)でピントを合わせる。このとき、輝星は写角中央に置く必要がある。
大雑把に構図を決め、必要であれば超高感度で短時間露出(ISO6400で2秒、など)をして、撮像確認、構図修正をする。
構図が追い込めたら感度、露出時間、F値を所定の値に設定し、本番撮影を行う。
EX-10では、再生モードにして10秒経つとレンズが格納されてしまう。キャンセルする設定はない。
レンズが動けば、ピントもずれる可能性が高い。レンズが引っ込まない程度に、テンポよい作業を心がけてもいた。
ところがとんでもないことに、ピンボケになる原因は、構図決めで行っていた撮像確認にあった。
レンズが格納されたかどうかは関係ない。レンズが動く様子も、動く必要も無いのだが、ともかく再生モードにした時点でピントがずれてしまう。わずか3~4クリック分だが、星像にはかなり効いてくる。
これはつまり、ここ一番で気合を入れて構図を精査して……撮ったときに限って被るトラブルだったということ。無念としか言いようがない。
たとえば「イプシロン打ち上げ」などは、サインペンでなぞったような光跡になっている。
ちなみに、兄弟機XZ-2では起きていないとの報告を受けている。また、広角端で起こる現象であり、35mmなど焦点距離が長くなると影響はほとんど見られなくなる。
EX-10には、2014/4/21付でVer.1.01というファームウェアが提供されている。
当機は1.00だったので更新してみたが、特に変化は見られなかった。なお、ファームのアップデートは、約1分で終了した。
実はこの他にもトラブルがあった。一度、大病を患って入院している。
購入当初から、なにかプラスチックが引っかかるような音がしていた。
そういう製品なんだろうとそのまま使っていたのだが、ひと月も経たないうちに本格的に壊れ始める。
ズームをすると、レンズが「カタン!」。覗いてみると、ズーム用の内部レンズが「持ち上がって落ちている」様子。
サポートとやり取りしつつ、様子を映像に録っていたところ、ついにはレンズエラーが出るまでになってしまった。
保証修理扱いでは、その箇所の保証は3ヶ月に縮んでしまう。泣きを入れたところ、初期不良扱いで処理してもらえた。レンズユニット交換、とのこと。
1年を経過したので、そもそもの保証ももう切れてしまったが、現在までなんの問題もない。快調そのもの。
トラブル例の参考として、以下にサポートに見てもらった映像を貼っておく。
EX-10 レンズ不具合映像
2018/1/23追記。
この際なので、不具合を発見し次第、この記事に追記することとする。
● フロントシャッタの2秒タイマが利かない
(手動)インターバル撮影では、フロントシャッタボタンに2秒タイマを設定し、三脚に乗せた状態でこのボタンでシャッタを切っている。
最短時間で連写するときは、シャッタ音、撮像確認画面の直後にシャッタを押す。これでコマ間「2秒+α」で手ブレなく撮影できる。
撮像の確認表示には、右下にすっと現れるモードを使っている。設定項目でいうと、[撮影レビュー]-[タイプ2]というもの。
表示なしでも不便だし、全画面のタイプ1では表示中に操作を受け付けないし、ほかのモードはともかく邪魔くさい。
インターバル間隔を極力2秒に近づけようとすると、シャッタ音で押す準備をし表示とともに押す、という感じになる。
ただ、反射神経はそれほどよろしくないので、シャッタ音が鳴り終わる直前ぐらいに押してしまうことがある。これをやると、2秒タイマは無視され、即座にシャッタが切られてしまう。
撮影レビュー・タイプ1の場合は、レビュー表示が消える瞬間がそのタイミングなので、つまりはボタン操作を受け付け始めるその瞬間にフロントシャッタを押すと起きる現象らしい。コマ間は2.5秒ないし3秒は空ける、ぐらいの心のゆとりが必要。
ちなみにタイマのカウント中に再度フロントシャッタを押すと、タイマー撮影はキャンセル、停止される。
● 絞りがなぜか開放になる
上記インターバル撮影でイプシロン打上げを撮っていたときに起きた現象。
薄明が進むために、だいぶアンダー気味の設定とし、レンズも絞ってF2.5としていた。撮れたものを確認すると、50コマ余のうちの3コマが妙に明るい。
EXIFを見る限りでは特に問題ない。ちゃんとF2.5になっている。でも画像には、サジタルフレアが見える。絞り開放で出る、鳥が羽を広げたアレ。
左の画像は、12M画像の右下隅を縮小無しで並べたもの。
上半分は開放状態とみられる。EXIFではF2.5とあるが、サジタルコマフレアが顕著。
下半分にはダブった6本の光条が見える。EX-10で絞った際に出る、独特の回折光。
このトラブルは、条件を変えての再現実験では発現せず。まったく同条件では、再現できたとしても原因はつかめそうもない。いまのところ原因は判らない。
例えばAFの動作中にシャッタを切れば、ピンボケでも撮影は行われる。例えばタイマの準備が整わなくても、シャッタが押されれば切られる(上記フロントシャッタの件)。基本的に、シャッタ最優先の設計思想。
カメラはアイドル状態ではレンズは開放状態。シャッタ半押しで、レンズが絞られるとともに撮れそうな画像の雰囲気を表示する。
何らかの問題でレンズ絞りの物理的な動作が間に合わず、でもシャッタが押されたために撮影を強行した、という状況ではないかと想像する。
そしてEXIFには、撮るつもりだった設定値が記録される。
原因が判らないので対策も打ちようがないが、タイマの件もあることだし、焦らず撮るようにして様子をみたい。
● 手動連写には限界がある
2018/5/17追記。
カメラの、というよりは、記録媒体側の問題と思われるが、記しておく。
暗い人工衛星などを撮る場合、対象が動いてしまうので露出をかけても意味がない。高感度、短時間露出での、撮像素子の実力を試す撮影となる。
端的なものが動画撮影になるわけだが、残念ながらその性能はあまり高くない。
映像で撮ってしまうと、解像度がフルHDまで落ちてしまう。また、ゆっくり目の衛星なら少しは露出もかけてやりたいし、位置確認には背景の星がある程度写る必要もある。
そんなとき、ISO6400、1s、の手動連写、などをするのだが、連写中に反応しなくなることがある。
結論としては、SDカードの速度限界と思われる。
400xの表記がある、Transcendの32GBを使っているが、これは読み出し60MB/sを意味する。書き込みに関しては、Class10、UHS-Iらにより10MB/sは保証されているが、それ以外の記載はない。
他社、他製品を眺めてみても、読み書き同レベルのものもあれば、書き込みは半分以下のものもある。
実際に連写を試みると、RAWを含む高速手動連写(RAW+「高精細-F」12M JPEGで24MB前後)だと5枚程度で詰まってしまう。1秒インターバルでは10枚が限界。1.5秒ぐらいまで空けると、ずっと間に合うようになる。高精細JPEG(~6MB程度)のみの撮影であれば、1秒インターバルならずっといける。
詰まったところで放置すると、背面LEDが5秒程度点滅(=作業中を表す)している。
動作の様子から、カメラのバッファは100MB程度、SDカードの書き込みは20MB/s程度かな、と想像する。値段相応といったところか。
ちなみにEX-10には連写機能もある。ただし、細かい設定はできない。
画質は「標準-N」に固定される。最大30枚までなので、3fpsとしても10秒間まで。撮影中は、シャッタを押し続けなければならない。撮影後は、30枚分をSDカードに保存するまで待たされる。
星撮りには使いづらい。
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