行くたびに発見はあるのだが、片道3時間以上、ハイオクが半タンク消える。楽しいが腰も重い、そんな神坂峠へ今年は3度も向かってしまった。背負ったミッションは達せられなかったが、眺める分にはやっぱり面白い。
比較的複雑で見所が多いと思われる、神坂大檜への分岐(大檜駐車場などと呼ばれる)あたりから峠までを散策した。峠まではヘアピンが8つ、九十九に登っていく。8月分を中心に振り返る。
まず出迎えてくれるのは、いつものメンバー、ミヤマニガイチゴ(Rubus subcrataegifolius)。
そして、モミジイチゴ(R. palmatus)にクマイチゴ(R. crataegifolius)。
よく見て歩くと、ミヤマモミジイチゴ(R. pseudoacer)……と見せかけてのヒメクマイチゴ(R. × geraniifolius)がいたりもする。
少なくとも中央やや上の個体(草刈りに遭っている)は、トゲも多くヒメクマで間違いない。複数写っている他の個体は、どっちとも見えるものもある。
道路で佇むノウサギ。
中央には、ぱっと見クマの葉に見えるけどクマじゃないミヤマニガ(?)も。かつて別の駐車場で見かけたようなタイプ。
ふと見上げると、サルナシが爆生り。ただし8月なのでまだ食えない。
キミノ……と言いたくなるような優しいクマイチゴ。
バライチゴ(R. illecebrosus)の群落。「登山道」は、強清水から神坂峠まで続いている。
ツルアジサイは花が終わり。低山では1弁のイワガラミが多い。
ツリフネソウにはマルハナバチ。
あまり黄色くないが、距の形からキツリフネらしい。エンドウの鞘のようなのは、ツリフネソウハオレタマゴフシらしい。
黒井沢ルートにはツリフネソウもいたが、こちらでは見当たらず。
ハスノハイチゴ(R. peltatus)は雑草の如し。
ぱっと見クマの葉に見えるけどクネクネ軟弱で、でもおそらくクマ。……難しいなぁ。
これもクマのような気もするけど……うーむ。
真夏のネジバナ、しかも満開前。
今年のミヤマモミジは豊作。若実から食われたあとまで揃った、ちょうどいいタイミング。同居するのは、ツルアジサイとツタウルシ。
以前、ここで2粒ほどもらって播いてみたが、クマに犯されていた。
ふたたび大豊作のサルナシ……と思ったが、どうも筋張っている。よくよく探すとピンクの葉の残骸も見つけた。
浜松の平地でミヤママタタビを栽培すると、8月ごろには実が軟化して落ちてしまう。こちらのはまだ堅かった。
モミジイチゴ。うまく説明できないけど、モミジイチゴだと脳内に訴えかけてきた。
路傍のところどころには、ツルニンジンが絡んでいる。
蕾から花後まで揃ったいいタイミング。
変わったモミジイチゴもあった。小枝に2花(2果)ずつ着いている。先生には一蹴されてしまったが、植物分類学的には重要視されない話なのかもしれない。
モミジイチゴは、元気のいい株は人の背丈を越えるものもある。そんなイキのいいやつでは、勢い余って小ぶりな2花目を着けることもある。ただしその程度であって、満遍なく2花ずつ着くものは見たことがない。
低地ほど冬芽からの枝は短い傾向がある。庭先では芽吹くと同時に幹生花のごとく咲くが、山地では枝を伸ばしてから咲く。この株も、しっかり伸ばした上でしっかり実らせている。環境か個体差か何かは判らないが、謎めいた株ではある。
ちなみに6月頭では、ごくわずかに花が残りほとんどが若実の状態だった。
経過観察が必要ないくつかは挿木で着いた模様。
ただ、浜松で夏を越すと、急激に衰えてカイガラムシまみれになってしまうんだよなぁ……
【 和名、学名の出典等について 】
- 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
- Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
- 交雑種名は、特に著名なものはそれを使うことがある。それ以外は、和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先にする。(参考1/参考2)
- 例:カジイチゴ(R. trifidus)を母体にコジキイチゴ(R. sumatranus)の花粉を付けたもの → カジコジキ(R. trifidus × R. sumatranus)
- 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
- 同種が複数株あって区別を要する場合は、和名の後に#番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。株分けなど栄養繁殖個体は枝番号を付し、#1-1などとする。
0 件のコメント:
コメントを投稿
.