since 2007.8 by K-ichi

去年は恵那山方面には2度も出向いた。これで登山「口」だけはすべて拝んだことになる。
行くたびに発見はあるのだが、片道3時間以上、ハイオクが半タンク消える。楽しいが腰も重い、そんな神坂峠へ今年は3度も向かってしまった。背負ったミッションは達せられなかったが、眺める分にはやっぱり面白い。

比較的複雑で見所が多いと思われる、神坂大檜への分岐(大檜駐車場などと呼ばれる)あたりから峠までを散策した。峠まではヘアピンが8つ、九十九に登っていく。8月分を中心に振り返る。


まず出迎えてくれるのは、いつものメンバー、ミヤマニガイチゴRubus subcrataegifolius


ミヤマニガイチゴ with イタドリ

そして、モミジイチゴR. palmatusにクマイチゴR. crataegifolius


クマイチゴにモミジイチゴに……

よく見て歩くと、ミヤマモミジイチゴR. pseudoacer……と見せかけてのヒメクマイチゴR. × geraniifoliusがいたりもする。
少なくとも中央やや上の個体(草刈りに遭っている)は、トゲも多くヒメクマで間違いない。複数写っている他の個体は、どっちとも見えるものもある。


ミヤマモミジイチゴら

道路で佇むノウサギ。


道路の先のちっこいやつ

中央には、ぱっと見クマの葉に見えるけどクマじゃないミヤマニガ(?)も。かつて別の駐車場で見かけたようなタイプ。


ごく普通のクマ&雰囲気の違うミヤマニガ(?)

ふと見上げると、サルナシが爆生り。ただし8月なのでまだ食えない。


サルナシ爆生り

キミノ……と言いたくなるような優しいクマイチゴ。


日陰のクマイチゴ

バライチゴR. illecebrosusの群落。「登山道」は、強清水から神坂峠まで続いている。


バライチゴ

ツルアジサイは花が終わり。低山では1弁のイワガラミが多い。


ツルアジサイ

ツリフネソウにはマルハナバチ。
あまり黄色くないが、距の形からキツリフネらしい。エンドウの鞘のようなのは、ツリフネソウハオレタマゴフシらしい。
黒井沢ルートにはツリフネソウもいたが、こちらでは見当たらず。


キツリフネとマルハナバチ

ハスノハイチゴR. peltatusは雑草の如し。


ササとイタドリに紛れるハスノハイチゴ

ぱっと見クマの葉に見えるけどクネクネ軟弱で、でもおそらくクマ。……難しいなぁ。


たぶんクマ

これもクマのような気もするけど……うーむ。


クマのようなないような

真夏のネジバナ、しかも満開前。


真夏のネジバナ

今年のミヤマモミジは豊作。若実から食われたあとまで揃った、ちょうどいいタイミング。同居するのは、ツルアジサイとツタウルシ。
以前、ここで2粒ほどもらって播いてみたが、クマに犯されていた


豊作のミヤマモミジ

ふたたび大豊作のサルナシ……と思ったが、どうも筋張っている。よくよく探すとピンクの葉の残骸も見つけた。
浜松の平地でミヤママタタビを栽培すると、8月ごろには実が軟化して落ちてしまう。こちらのはまだ堅かった。


大豊作のミヤママタタビ

モミジイチゴ。うまく説明できないけど、モミジイチゴだと脳内に訴えかけてきた。


妙に気になったモミジイチゴ

路傍のところどころには、ツルニンジンが絡んでいる。
蕾から花後まで揃ったいいタイミング。


ツルニンジン

変わったモミジイチゴもあった。小枝に2花(2果)ずつ着いている。先生には一蹴されてしまったが、植物分類学的には重要視されない話なのかもしれない。

モミジイチゴは、元気のいい株は人の背丈を越えるものもある。そんなイキのいいやつでは、勢い余って小ぶりな2花目を着けることもある。ただしその程度であって、満遍なく2花ずつ着くものは見たことがない。
低地ほど冬芽からの枝は短い傾向がある。庭先では芽吹くと同時に幹生花のごとく咲くが、山地では枝を伸ばしてから咲く。この株も、しっかり伸ばした上でしっかり実らせている。環境か個体差か何かは判らないが、謎めいた株ではある。

ちなみに6月頭では、ごくわずかに花が残りほとんどが若実の状態だった。


2花(2果)モミジイチゴ(6月)

経過観察が必要ないくつかは挿木で着いた模様。
ただ、浜松で夏を越すと、急激に衰えてカイガラムシまみれになってしまうんだよなぁ……





【 和名、学名の出典等について 】
  • 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
  • Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
  • 交雑種名は、特に著名なものはそれを使うことがある。それ以外は、和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先にする。(参考1/参考2
    • 例:カジイチゴR. trifidusを母体にコジキイチゴR. sumatranusの花粉を付けたもの → カジコジキR. trifidus × R. sumatranus
  • 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
  • 同種が複数株あって区別を要する場合は、和名の後に#番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。株分けなど栄養繁殖個体は枝番号を付し、#1-1などとする。

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