別の生育場所を求めたのが2016年。北側の神坂峠への道すがらに大きな群落をみた。結実を見たのはここが初めて。3時間もかかる遠路だが、ギンランやらミヤマモミジイチゴやら樹上性キノコの群落(食用だった模様)やら目新しいものが多く、けっこう通ってしまった。
去る7月17日(海の日)、久々に出向いてみた。峠から九十九を三段ほど下った、標高1450m付近の広場に駐車。周辺山道を含めてぶらついてみる。
この駐車場でミヤマニガクマ(仮)を見つけたのだが、まだ健在だった。広場の南寄りに生育しており、中ほどにはミヤマニガイチゴ、北側にはクマイチゴと住み分けているよう。
駐車場の北の外れには西に下る山道がある。下ってみると水音があって、道なのか沢なのか判らないところもある。ササが群生し、ハスノハイチゴも点在していた。モミジイチゴやクマイチゴもいる。やや日陰の度合いが強いので、結実は難しそうな環境。
駐車場から道路を下ると、ツタウルシに混じってミヤマモミジイチゴの小群落がある。今回もわずかながら開花が見られた。
この峠付近では、モミジイチゴ、クマイチゴ、変化の多いミヤマニガイチゴらしきもの、ハスノハイチゴの群落などがよく見られる。なかでも舗装路脇にあるハスノハイチゴ(冒頭記述とは別群)は、株自体は十分な大きさながら草刈りで実りが期待できないのが残念。
エビガライチゴ、バライチゴあたりはあってもよさそうだが、気づかなかった。バライチゴは2016年には見ているようなので、単に気が向いてなかっただけかもしれない。
モミジイチゴは盛りを過ぎ、クマイチゴはようやく色づくところ。浜松平地よりふた月遅れている印象。
恵那山には広河原という登山口もあり、ハスノハイチゴはこちらにも生えているらしい。
ここへ向かうには、神坂峠を越えて林道大谷霧ヶ原線をそのまま下ればいいのだが、ヘブンスそのはら分岐でゲート封鎖されている。車で行くには長野県側からアクセスするしかない。
調べてみると、浜松からは2.5時間で行けるらしい。神坂峠より近いではないか。ハスノハイチゴを探しつつ、トリK氏もレポートしてない封鎖林道を探索しつつ、峠越えでミヤマモミジイチゴの実をもらって帰れば一石何鳥だ、などと計画を立てた。7/17に終わりそうな花だったので、おそらく盆休みがベストタイミング。ところが盆には台風直撃の予報。なんやかんやで8/27まで伸びてしまった。
R151や県道80号、10号、R153等を経て向かう。茶臼山を脇に見、治部坂峠を越え、昼神温泉を抜けての2時間半。神坂峠よりも30分も近いがやっぱり遠い。
狭隘林道を抜けると10数台停められる広場があり、さらにその奥には20~30台いけそうな駐車場がある。連休でもないのにほぼ満車。県外ナンバーも多い。恵那山ってこんな人気なのか!?
しっかりしたゲートだが脇は甘い。右にはトイレの建物も見える。
登山者は、ゲートから1.8km歩いて広河原登山口から取り付く。その直前にはトンネルがある。森林鉄道でも通っていたのだろうか。
駐車場にはモミジイチゴが大量。歩を進めるとクマイチゴも散見されるように。やがてバライチゴが出現し登山口にいたるころには圧倒的なシェアとなる。バライチゴはところどころで大きな赤い実を着けている。
0.4kmにエビガライチゴ、1.2kmにハスノハイチゴがある。閉鎖林道の中では、前者は2ヶ所、後者は唯一の生育地。
またこの近辺で、やや変わったバライチゴを見つけた。バライチゴはWikipediaなどにあるように、通常は2~3対の羽状複葉になる。大株であってもそれは変わらない。ところがなぜか4対が多い株があった。複葉のキイチゴは、勢いのある葉では先端の小葉が分裂することがある。標準的なサイズの葉でも4対なので、このパターンではなさそう。
1266標高点あたり、2.1kmで沢筋が分かれる。堰では水が見えるが、ほぼ枯れ沢。
この先からようやくミヤマニガイチゴが生え出し、主流となっていく。
2.6kmでこの沢を渡る。丸太とコンクリで作った堰が間近に見られる。2.7kmで舗装がコンクリ舗装に。
急に標高を稼ぎ始める。
コンクリ舗装はこのあたりだけ。吹きつけ法面は劣化して、下地が見えているところも多い。
ちょうど3kmで1339標高点。
この谷筋には砂防ダムがあるが、それを乗り越えて土砂崩れがあったようで、ブルドーザが鎮座していた。
陥没路面のパッチワークにもコンクリ舗装は使われる。
3.2kmの路傍にエビガライチゴ、2ヶ所目。
3.7km西側に、ヤマブドウ♀及びサルナシ♀。いくらかの結実もあり。
鼻を擂りそうな水路には鉄板。
4.5kmあたりには満開のオオイタドリ。目立つ葉の長さは30cmぐらいある。草丈は3mぐらいか。ともかくデカい。
アブらしき羽音が共鳴している。
ヘブンスそのはら分岐ゲートのすぐ先に、この看板が立っている。Googleマップでは道が無いが、地理院地図のとおり道は存在する。
広河原ゲートから分岐ゲートまでが約5.4km。
ちなみにこの道、広河原関連のネット情報では、峰越林道と呼んでいることが多い。ところが広河原より手前にあった立て看板では、林道大谷霧ヶ原線とあった。中津川市の交通情報でも、神坂峠以西だが同様に呼んでいる。
「天竜スーパー林道野鳥の森線」に倣えば、峰越林道は総称、俗称的な位置づけなのかもしれない。
ヘブンスそのはら分岐ゲート。このゲートの向こうから歩いてきた。広河原ゲートからおよそ5.4km、標高差430m。
この区間、陥没や土砂崩れなどで道は荒れているものの、道が落ちるなど致命的なところは無く、昼間なら乗用車でも通れそうなレベルだった。
ゲートから100m余。痩せたハスノハイチゴあり。
この近辺にはやたらとネジバナが生えている。花穂も長く軒並み受粉しているようで、先端の最後の花が咲いている状態。
さらに神坂峠(7.5km)、1450mの広場(8.8km)まで足を伸ばし、その先のミヤマモミジイチゴも見てきた。が、枯れた萼が残るのみだった。やはり盆休みに……
収穫少なく、重い気と足に活を入れつつ帰路につく。峠まで登り返すころには雲行きが怪しい。林道まで雲に包まれそうな勢い。下りに任せて歩を早めるが途中で土砂降り。傘を差しても腰下はずぶ濡れ。駐車場に着くころにはほぼ止んだ。あれだけみっしり停まっていた車は見事に一台もない。
誰もいないので気兼ねなく注意書きなどを眺めてみる。
日英韓中台に対応。十分な装備と計画書の提出を求めている。
ここは「ひろかわら」と濁らずに読むのか。初めて知った。
せっかくハスノハポイントを調査してきたので、「ハスノハイチゴ(Rubus peltatus MAXIM.)の分布について」の図に重ねてみた。
県境の形がどうにも合わないが、境界線が3本集まるポイントと恵那山位置で合わせることとした。
集まった4つの赤点がこの夏に見てきたポイント。思いのほか狭い。
B、Cは長野県側とのことだが、神坂峠付近は長野側に出張っており、前述の合わせ方だとBは神坂峠の西になる。でも位置としてはよく合う。
またBは図上では重なって1点に見えるが、複数個所である。
「C」の左上がゲートより100m余の個体、「C」の左下は、広河原登山口手前のポイント。
下に少し離れた×印は阿岳付近と思われるが、赤点の位置が黒井沢登山口になる。
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