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『インダクタ』のサイズを10000分の1に!超小型化できる新原理を考案」なる話を耳にした。原子力機構から6月16日付で発表されている。
この内容を「わかりやすく紹介」というページもあるが、図解が多めなだけで難易度は変わらない。

インダクタは、基本構造として巻き線とコアから構成される。そのため微細化はサブミリスケール止まりだったが、このネタを使うとわずか10nmの積層薄膜で作れるという。しかも性能(Q値)は現行製品に引けをとらない、とのこと。
革新的なインダクタではあるが、表題の通り理論的に発見したというもので、この世に実物があるわけではない。

電子工作はするのだが、インダクタ(コイル)は滅多に使わない。というか、よく解ってないので使いたくない。
せっかくなのでおさらいすると……コイルに電流を流すと磁界が発生する。電流が変化すると磁界も変化する。この変化は電流を妨げる方向の起電力(電圧)を生む。コアは磁界がどっ散らかるのを防ぐ。磁力線とか磁束とか磁場とかいう言葉もあるが、このざっくり説明では磁界と置き換えて差し支えない。……はず。

今回の新インダクタは、「トポロジカル電磁応答」という量子力学的な作用を利用している。交流電流を流すと磁気の振動(=磁界の変化?)が起こり、それが交流電圧を発生させる。結果としてインダクタとして働く。10Hz~10GHzで動作し、Q値は100MHzにおいて1000にもなる。
電流を流すのは「トポロジカル絶縁体」の表面で、導体に流すのと違って無駄な電流がなく効率がいい。この絶縁体および磁性絶縁体の積層物は10nm程度の厚さでよい。またインダクタンスは、磁性体層の断面積に反比例するので、今までのコイルとは逆に小さければ小さいほど大きな値にできる。

解ったような解らないような、やっぱり解らない内容。
あくまで「交流電流」で駆動する書きぶりなところが、今までのそれと異なるキモなのだろうか。原著を当たればいいのだろうが、とりあえずネット上では見つけられない。
さらに眺めていると、1月20日付で「トポロジカル絶縁体で電気磁気効果を初めて観測」なる記事もあった。磁場を変化させたら電流を観測できた、とのこと。新インダクタの動作原理の後半部分が確認できた、ということか。しかもごく低温、で。
まだまだ絵に描いた餅なのかも。

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