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2016/7/31 @神坂峠
まだほとんど若実だった
一昨年、岐阜県神坂峠で採取してきたミヤマモミジイチゴRubus pseudoacer

自家不和合性も考えて複数株ほしかったので、実生を試みていた。
7月末では熟しのはしりで、採れたのはわずか9粒。それを播いて翌春出たのが3本。
暑すぎたのか育ちは悪く、カイガラムシにもやられて、辛うじて冬を越した感じだった。

今年になってやっと本気を出し始めたのだが、育てば育つほどに謎の姿に変貌していった。どうみてもミヤマモミジイチゴじゃない。
ちなみに、植わっているのは6号鉢。


2018/4/7

2018/6/3

2018/7/15

2018/7/15 芽のアップ

論文掲載の図
中央が雑種
どんどんミヤマニガクマ(仮)に似てくる。葉の形は、論文のヒメクマイチゴR. × geraniifolius にも似ている。

ここで、毛と棘に注目してまとめてみる。

種名
(ミヤマ)ニガイチゴ
クマイチゴ
ミヤマモミジイチゴ
ヒメクマイチゴ(新雑種 葉裏脈上にまばら
ミヤマニガクマ(仮) 表裏とも極わずかに短毛 まばら
ミヤマモミジイチゴの実生 表裏とも短毛

白抜き欄は既知の純粋種になる。

後半3種は、どうも特徴が似通っている。葉の形も、論文の図から個体差の範疇といえるレベル。
株の特長は、雑種であれば、どちらの親に似るかで振れ幅は大きくなる。

少なくとも最後の種は、ミヤマモミジイチゴが片親で確定している。これにニガイチゴR. microphyllus が関わって、毛が生えるとは考えづらい。
毛も棘も無いミヤマモミジイチゴに、両方持つクマイチゴR. crataegifoliusがどの程度影響を及ぼしているか、と考えるとスッキリする。

どうやら、ミヤマニガクマ(仮)はヒメクマイチゴであり、変な実生は現地で交雑した同雑種、ということになりそうだ。
図らずも、ヒメクマイチゴを一気に4株も手に入れてしまった。





【 和名、学名の出典等について 】
  • 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
  • Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
  • 交雑種は、種レベルの扱いがあり特に著名と判断したものはそれを使う。それ以外は独自名を付す。和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先頭にする。
    • 例:カジイチゴR. trifidusを母体にコジキイチゴR. sumatranusの花粉を付けたもの → カジコジキR. trifidus × R. sumatranus
  • 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
  • 同種が複数株ある場合は、和名の後に番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。

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