自家不和合性も考えて複数株ほしかったので、実生を試みていた。
7月末では熟しのはしりで、採れたのはわずか9粒。それを播いて翌春出たのが3本。
暑すぎたのか育ちは悪く、カイガラムシにもやられて、辛うじて冬を越した感じだった。
今年になってやっと本気を出し始めたのだが、育てば育つほどに謎の姿に変貌していった。どうみてもミヤマモミジイチゴじゃない。
ちなみに、植わっているのは6号鉢。
どんどんミヤマニガクマ(仮)に似てくる。葉の形は、論文のヒメクマイチゴ(R. × geraniifolius) にも似ている。
ここで、毛と棘に注目してまとめてみる。
種名 | 毛 | 棘 |
---|---|---|
(ミヤマ)ニガイチゴ | 無 | 有 |
クマイチゴ | 有 | 有 |
ミヤマモミジイチゴ | 無 | 無 |
ヒメクマイチゴ(新雑種) | 葉裏脈上にまばら | 有 |
ミヤマニガクマ(仮) | 表裏とも極わずかに短毛 | まばら |
ミヤマモミジイチゴの実生 | 表裏とも短毛 | 有 |
白抜き欄は既知の純粋種になる。
後半3種は、どうも特徴が似通っている。葉の形も、論文の図から個体差の範疇といえるレベル。
株の特長は、雑種であれば、どちらの親に似るかで振れ幅は大きくなる。
少なくとも最後の種は、ミヤマモミジイチゴが片親で確定している。これにニガイチゴ(R. microphyllus) が関わって、毛が生えるとは考えづらい。
毛も棘も無いミヤマモミジイチゴに、両方持つクマイチゴ(R. crataegifolius)がどの程度影響を及ぼしているか、と考えるとスッキリする。
どうやら、ミヤマニガクマ(仮)はヒメクマイチゴであり、変な実生は現地で交雑した同雑種、ということになりそうだ。
図らずも、ヒメクマイチゴを一気に4株も手に入れてしまった。
【 和名、学名の出典等について 】
- 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
- Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
- 交雑種は、種レベルの扱いがあり特に著名と判断したものはそれを使う。それ以外は独自名を付す。和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先頭にする。
- 例:カジイチゴ(R. trifidus)を母体にコジキイチゴ(R. sumatranus)の花粉を付けたもの → カジコジキ(R. trifidus × R. sumatranus)
- 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
- 同種が複数株ある場合は、和名の後に番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。
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