since 2007.8 by K-ichi

浜松市の林道情報WebArchive)によれば、スーパー林道の通行止めは3月末まで。ただし、山住神社(山住峠)~麻布山登山口は、その後も止められる模様。
そのあたりの現場の様子を、冬季閉鎖解除前の20日に探りに行ってきた。春分の日は連休なので、足腰バリバリになっても休める。ガッツリの雨予報も1日延びてくれた。


以下は、天竜スーパー林道の北半分、林道・野鳥の森線(山住峠~水窪ダム)あたりの地図。昨年記事に少し追記したもの。原図は地理院地図


水窪市街から山住峠へ向かう。峠を突っ切って東側へ下れば門桁集落を経て春野へ抜ける。この道は県道・水窪森線になる。地図では黄色く塗られている。

峠では、県道とスーパー林道が交差する。右手はすぐにゲート、左手はカモシカ館(カモシカと森の体験館)の先でゲート封鎖されている。
林道情報では「山住神社から通行止め」とあることが多いが、カモシカ館までは行くことができるのが普通。

ゲートの先は、野鳥の森(五丁坂頭山、門桁山)、麻布山登山口などを経て、ミテラ沢とともに水窪ダムへ通じる。
標高差800m片道20km近い距離になるので、時計と相談しながら適当なところで引き返そう、そんな算段で向かった。


峠には、めったに開いてない茶屋と山住神社がある。
御神木がデカい。2本のうち1本は、そこいらの大木が3本束になったような巨木スギ。山中のブナ、ミズナラにも圧倒されたが、それらに匹敵する。


山住峠にはトイレが設置されていたのだが、いつのまにか簡易トイレに変わり、ついにはそれも撤去されてしまった。
山住神社の奥まったところに厠(屋内トイレ)があるが、深夜早朝などに借りられるかは判らない。とりあえず、人気の無い土曜祝日の夕方には開いていた。

峠の十字路を北上すると、1kmほどでカモシカ館の広場に着く。


振り返って撮る。朝の7時過ぎ。誰もいない。

左手に見えるカモシカ館はすでに閉鎖されたが、建物はきれいな状態を保っている。窓から剥製など展示物が見られる。渡り廊下の下には、ノウサギが住んでいたりする。アナグマもニホンジカもいる。
道路向かいの駐車場にトイレ建屋はあるが、何年も前から板を打ち付けて閉鎖されている。

家老平などとも呼ばれるここは、ともかく広い。水もトイレも無いが、駐車や泊には困らないスペースはある。
広場の北の外れに常光寺山登山口がある。スーパー林道は、その先すぐでゲート封鎖されている。

黄色のゲートを跨いでいくと、しばらくは左手に常光寺山登山道が併走する。モノレール待機所を過ぎて別れ、しばらくすると一昨年に直した現場に着く。地図の「土砂崩れ」のあたり。


直した向こうの小崩落が成長している。振り返って撮るとこんな感じ。


昨年11月撮影の写真がネットにあるが、フレコンバッグがさらに埋まってきているのが判る。
大崩れしそうな法面ではないが、しばらくはダラダラと崩れ続けていきそうな予感。
車は通れる。タイヤ跡は、歩き始めに追い抜いていった軽箱とダンプのもの。

いくつかコーナーを抜けると、右手に野鳥の森。五丁坂頭山や門桁山を擁する山並みをいう。
ヤドリギが程よく載ったシナノキと、独特の形状の「野鳥観察小屋」が画になる。


……ハズが、無い!
以下は去年4月撮影の遺影。


砕石が敷かれているだけで、柵も看板も何も無い。廃墟ではあったが、無くなってしまうとちょっと寂しい。
去年はカモシカの遺体があったが、今年は落ち葉が積もるのみ。

スーパー林道は、野鳥の森の西を走るので、ところどころで眺望がある。


県境の山並みの向こうに、中央アルプスや恵那山が見える。御嶽山は山並みに隠れる。
縮小がきつくて判らないが、恵那山にも斑に白いものが載っていた。

その先しばらくは何事も無い。
オオルリの門の先、三角屋根の「休憩所」の手前で小崩落あり。


法面傾斜も緩く、特に問題はなさそう。

休憩所まで来ると、バラ谷の頭が見え始める。残雪がきれい。


その休憩所の先、昨年指摘していた排水溝。ここは底が抜けていた。


現地調達したと思われる細丸太などで、仮設通路が作られていた。


ホオジロの門あたりは、道路がかなり広くなっている。その最内側が崩れていた。



歩けそうなぐらい緩いので恐怖感は無いが、着実に蝕んでいく風。

そして野鳥の森終点・ウグイスの門。麻布山登山口。コガネ沢林道の起点。


……ここも無い!
そして、去年の遺影。


ネットを探してみると、8月には「トイレが使えない」、という記事がある。10月には、この広場にリサイクルクリーンの箱が置かれている。
夏から秋に掛けて、取り壊しが行われたらしい。
トイレ脇には、バライチゴの茂みがあったのだが、おそらく壊滅。

しかし、トイレがだいぶ減ってしまった。水窪市街を離れたら、使えるかどうか判らない山住神社ぐらいしかない。
暗いうちに家を出て、朝食と昼食を調達して、補給しつつ登山口では身を軽くして登りに入る、というルーチーンが難しくなってしまった。遠方からの人は、ここで一泊してから朝入山、というパターンも多い。
あとは、水窪ダムにもあるか……あそこは無くなることはないだろう。

現在、コストカットのため行政区再編を、などと言っている浜松市。維持費削減のための一斉撤去でもしてるんだろうか。ウグイスの門付近も、重機道ができている。もしかしたら山中の施設も無くなってるかもしれない。
早めに折り返して、麻布山登山道のヒメシャラ東屋を確認しつつ、さらには野鳥の森内の施設もチェックしよう、と予定を変更する。

ちなみに、コガネ沢林道のゲートも更新されている。
都沢林道にも設置された、剣山付きの檻。乗り越えるやつは刺し殺しますよ、というアレ。脇下に人一人通れる緊急用の四角穴はあけてあるものの、とても不便。こんな所にそんな金かけなくても……
まぁ、通らないのが正しいのだけれど。


気を取り直して歩を進める。
昨年4月に底が抜けていた「路肩決壊②」。長引くとの予想に反して、6月には復旧していた。現場を見て納得。底を塞いで埋めて舗装しただけ。
2015年の底抜けでは、全部ぶっ壊して1年掛けて直してたのに。この差はよく解らない。


ちょっと沈んでるけど、埋戻し土が締まっただけだろう。
土嚢袋施工ということは、仮復旧なのか?


麻布3号橋のすぐ先でも軽い崩土。樹が根こそぎ落ちてきている。


この程度なら、と思いながら見上げると、対処が必要な状況であることを把握。


最上部に、準備万端な弾頭が2~3発残っている。予備軍も多数。この日曜も大雨なので、また落ちているかもしれない。
写真右奥の橋が、麻布3号橋。

昨年、中途半端に完工(?)していた箇所は、工事が行われていた。
地図の「路肩決壊」の箇所。追い抜いていった軽箱がいる。


あんなところで掘ってる。


逆から。大きなショベルで掘って道を作り、ミニショベルで現場施工をしている模様。
工事杭は、平成30年9月災害、のまま。


掲示された労災の書類などによれば、工事期間は2020/11/25~2021/3/24らしい。3/20でこの段階では、さすがに無理なんじゃなかろうか。


時間が迫ってきているので、このあたりで折り返すことにする。目指すは、麻布山登山道にあるヒメシャラ東屋(1244と1298の間にあるピーク付近)。
スーパー林道を登り返し、東屋の西北西にある谷筋に取り付き、その北の尾根を登っていけば辿り付く。


無事だった。東屋はある。
アリジゴクとひととき戯れ、そのまま登山口へ戻る。


やっぱりなんか寂しい風景。リュックを下ろし、屋根下の切り株椅子で一息。「お疲れ様です」「どちらから?」「へぇ、(小学)3年生で麻布まで!」なんて会話はなくなりそう。
写真右上が秋葉山、山住神社方面、右下が水窪ダム方面。正面が野鳥の森。斜めに新しい重機道が見える。

ここからは野鳥の森へ入る。


野鳥の森をしばらく行くと、杭などが大量に置いてある場所があった。解体した残骸かとも思ったが、おそらく歩道整備の資材だろう。新品ではない。
野鳥観察小屋がそろそろ見えそうだが、位置を把握してない。案内板や道標を見ても、矛盾が解けずよく判らない。

門桁山山頂手前にも、短杭と玉切り丸太の山。


山頂から、展望の無い展望台(跡)を見る。


向こうの小広場には、丸太で作られたアスレチック施設っぽい見晴台があった。いまは跡形も無い。代わりに卒塔婆のような板杭がいっぱい立ててある。
卒塔婆には以下のような文言。

令和2年度 野鳥の森公衆トイレ等解体工事
   コナラ植樹


ググってみると、リサイクルクリーンによる入札とか、一部廃止縮小云々というページが見あたる。
一言言わせてもらえば、植樹するならブナかミズナラでお願いしたい。

どんどん戻る。


オオルリの門から登ってきた(と思われる)ルートにある木柵は残っている。


ヒバリの門から登ってきた(と思われる)ルートにある小屋も残っている。

観察小屋としてもう一軒、四方筒抜けのオープンな東屋があったような記憶もあるが、はっきり憶えてない。看板には、門桁山を過ぎて、オオルリの門とホオジロの門の間に観察小屋が描かれている。記憶のはこれだと思うのだが、見当たらなかった。

ヤマガラの門の観察小屋、ウグイスの門のトイレ付き建屋、門桁山展望台、およびオオルリの門~ホオジロの門上の観察小屋が撤去された、ということらしい。


ダムまでは行けなかったが、とりあえずスーパー林道上には、全く通行不可な場所はなかった。現状の林道情報では、「山住峠~麻布山登山口」を止める予定のようだが、場合によっては代わりに「麻布山登山口~水窪ダム」が止まるかもしれない。

しかし、山中トイレがどんどん廃止されている。スーパー林道上で利用できそうなのは、秋葉山、竜頭山(避難小屋、中央駐車場、北駐車場)、山住神社(屋内)、水窪ダム(対岸)。
深南部散策では、雉撃ちも覚悟せざるをえない。でもこれ、人を誘いづらいんだよなぁ……

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