HTV5(こうのとり5号機)が19日、H2B F5で打ち上げられた。
前線がかかるも雲間からもしかしたら、と挑んだが叶わず。
H2A/H2Bロケットは、鹿児島県の種子島宇宙センター・大崎射場(ストリートビュー)から打ち上げられる。浜松からは800kmもあり、地球の丸さによって水平線下に沈む。ある程度打ち上がってからの航跡を見ることになる。
四国や関西で見えたという話は聞いていた。ググってみると、志摩半島の先っぽで見た人もいる。ならば、ちょんの間の先である浜松でも可能だろう、と思い立った次第。カシミールなどを使ってシミュレートしてみた。
写真は、立須から135mm相当で撮った夜景。CaplioR2で、ISO800、8秒露光。Yimgで32枚コンポジットし、以前作ったダークイメージをAviUtlで減算合成した。
H2Bらは、液水・液酸のメインエンジンのほか、SRB(Solid Rocket Booster)を2本ないし4本、脇に抱えている。打ち上げ時の眩い光と白煙は、この脇役が担う。超遠方から眺めるには、夜間打ち上げでのこの光を頼る。
SRBが噴いている間の航跡を調べ、カシミール上でプロットし、見え方を確認する。
位置情報は、プレスリリースpdfの画から読み取る。詳細な数値データは見たことがない。今回のH2B F5や試験機 TF1の資料を見ると、HTVはいつも同じ要領で打ち上げられていることがわかる。
実際には速度も方位も滑らかに変化するが、目安が判ればよいので、射点、SRB燃焼終了、フェアリング分離の3点を直線で結ぶことにする。
射点(LP-2)位置は、Wikipediaの値を使う。標高は地図からの自動設定。
SRB燃焼終了地点は画にないので、まずはフェアリング分離地点を読み取る。拡大してペイントでピクセル数を数える。高度は表にあるとおり120kmとする。
上記2点を直線で結び、射点から51km地点をSRB燃焼終了地点とみなす。高度は表から53kmとする。
以上3点の各値(緯度,経度,高度)は、吉信射点LP-2を(N30°24′03.80″,E130°58′31.02″,22m)、SRB燃焼終了位置を(N30°11′15.27″,E131°26′35.31″,53km)、フェアリング分離位置を(N29°22′55.36″,E133°12′37.85″,120km)とした。
3点はカシミールのウェイポイントとして作成する。ルートとして作ると、いろいろと不都合があったため。
線を引くために、これらをルートに変換(コピー)する。[編集]-[GPSデータ編集]を開き、ルートフォルダ内にルートを新規作成。ウェイポイントフォルダ内にある各点を、順にひとつずつ新規ルートへ右ボタンD&Dする。
1枚目の画像は、ルートと近景の簡易表示。カシバードの[表示]-[Direct3Dの一時使用停止]にチェックを入れ、[撮影距離]を1000kmにし、[PRE]ボタンを押したもの。撮影方角は、[目標]ボタンから、先に作成したウェイポイントを選択する。2枚目は、150km程度までを普通に[撮影]したもの。3枚目は、これらを冒頭写真に合成したもの。合成にはAviUtlを使った。
ルートを含める800km余までをいっぺんに撮影しなかったのは、遠方をかすませる設定では航跡が見えなくなるため。また撮影にも相当の時間がかかり、i7搭載機でも、10mメッシュ50mmレンズで1時間を要する。
見え方としては、打ち上げ後2分足らずで折れ線部付近に達する。見えるのはここまでで、透明度の高い日でも肉眼でギリギリの明るさと思われる。
その後はLE-7Aだけで飛び、フェアリング分離へ向かう。このあたりは、薄明時など特殊な条件でないと、見るのは難しい。
ちなみにネット上には、もう少し格好良い予測を立てている人たちもいる。
エクセルでグラフを作ったり、それを使って浜松からの見え方を発表したり。ファイルは公開されているが、使いこなすのは難しい。
次のH2Bは来年だが、この冬にもH2A F29が打ち上がるかも、という情報を得た。しかも、歴代2発目の204型らしい。
現在は安全評価の段階で、pdf資料には日時などは書かれていない。高度は高め、角度は東より、しかも冬なので、夜間であればH2Bより見られる可能性は高そう。
飛行経路の画も縮尺がきついが、SRB燃焼終了を(N30°22′21.34″,E131°41′29.23″,68km)、フェアリング分離を(N30°18′13.42″,E133°25′30.28″,150km)と読み取った。赤線がH2B、黄色線がH2A F29になる。
H2BのSRB航跡は、関東では沈んだままだが、H2A F29は房総半島でも0.6°ほどに見えるらしい。
沈む夕日1個分よりは少し高いが、距離は1000km強、向こうに噴く炎……ではやはり無理か。
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