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戸中山林道から
バラ谷の頭への道のり
だいぶ経ってしまったが、ゴールデンウィークの5月5日、また「バラ谷の頭」まで行ってみた。
2015年は麻布山経由だったので、今回は戸中とちゅう山林道から。麻布山経由ルートの1682m標高点から、北へ延びる尾根を歩く。
別の日の予習も含め、林道からの3ルートをサンデーハイカーの目線でまとめてみた。いずれのルートも、標高差は取り付きから1100m前後。楽ではないが、十分日帰りできる。

戸中山林道に平行して流れる戸中川は、水窪ダムの本流上流になる。水窪ダムからは、北岸を上流へ向かう。Y字路は、右手の川沿いダート道を行く。
ダートはまもなく左岸へ渡り、戸中山林道起点のゲートまで8.5km続く。普段は車で行けるのだが冬にトラブルがあったらしく、ゲート手前1.7km、600m標高点で通行止めになっていた。

冒頭の地図画像は、ゲートから4kmあまり歩いたあたり。カシミールのキャプチャに手を加えたもので、文字はあずきフォントを使用している。
GPSロガーの調子が悪く手書きが多くなっているが、適宜ポイントは拾っているので概ね合っているはず。


【シブロク歩道を登る】


シブロク歩道入口

崩落した沢道(白点線)

沢上流の小屋

火の用心

1320m小屋

植林帯終り付近

1682尾根上のケルン

ネットを眺めると、戸中山林道からバラ谷の頭へは、シブロク歩道がもっともメジャーなルートらしい。
なお写真は、入口以外は昨年11月のもの。

戸中山林道には、ゲートからの距離と思われる道標が立っている。歩道入口は、沢を渡った先の4.5kmにある。「シブロク」は「4.6km」の意味ではないかと想像するが、由来は不明。

林道唯一の赤い縁付きの4.5kmポスト。橋上には「シブロク歩道」の立派な看板。見逃すことはない。
沢右岸から取り付き、すぐ渡り返す。沢の左岸を、付かず離れずで登っていく。……のだが、いきなり道が不明瞭。歩道の材もぶかぶかし、沢沿いでは崩落もあり。有名な割には悪路。

やがて沢が広くなり、石積みが出現。そのてっぺんには小屋が建つ。小屋を右に見つつ通り過ぎると、ルートは右に旋回、尾根へ登る。
歩けるかどうかは判らないが、そのまま枯れ沢を登っても、いずれは上の小屋付近で合流する。

尾根に乗れば、しっかりした山道。乗ったり外れたりしつつも、尾根に沿って上っていく。植林帯で歩きやすいが、眺望は無い。
1320m付近に、また小屋。そろそろ山道が踏み跡に変わってくる。1500m近くなると、植林帯が終わる。落葉期であれば、急に空が開ける。
地形的に尾根が消え、ザレた足元は踏み跡も怪しくなる。ただし、リボンはかなりの数がある。

標高を稼ぐほどに、木々が大ぶりにまばらになっていく。ひたすら登った先が、1682尾根の1560mあたり。右手にとって合流点を目指すと、つつましいケルンも目に入る。
バラ谷から連なる山並みなど、景色も見えるようになる。大木あり、落ち葉の絨毯あり、苔生した倒木あり。少々きつめながら、楽しめる尾根が1682m合流点まで続く。

登りはいいが、シブロク尾根へ下るポイントは判りにくい。ケルンやリボンを目印にするが、地形的な特徴には乏しい。暗くなってから下るのは、ちょっと怖い。


【シブロク歩道のサブルート】


サブルート入口
奥がシブロクの橋

檻を見下ろす

4.0kmポスト先
右がゲート方面、左後に小屋

シブロク本道との分岐を見下ろす

シブロク歩道は、沢を渡ってから山に入る。その直前、橋の手前に右の尾根へ上がる道が、丸太で拵えてある。
やや古い山道の雰囲気だが、道なりに行けば尾根に乗る。尾根合流地には、鉄檻の罠が仕掛けてあった。

檻の写真は見下ろしている。右に別れて下れば、サブルート入口へ、尾根に乗ったまま直進すれば、4.0kmポスト先の小屋あたりに出る。
実際にこの尾根を下った人もいるようだが、林道に下りるには苦労しそう。

尾根は一本で迷いようがない。1150m付近で前述のシブロク歩道に合流する。
写真の矢印はシブロク本道。右に道なりに行けば、沢上流の小屋へ向かう。直進は道として整備はされてないが、尾根道として十分歩ける。

シブロクで登るなら、沢道を回避できるこちらがお勧め。


【隣の尾根を登る】


登り口
右がゲート/シブロク方面、後ろは広場

崩壊小屋

ワイヤ切り株

植林帯端部あたり(北向き)

植林帯端部あたり(南向き)

地図を見ると、シブロク歩道の北には、もう一本尾根がある。登れるという話もあるようなので、そちらも行ってみた。
このルートなら、いい感じの1682尾根をまるごと楽しめる。

戸中山林道を、シブロク歩道入口からさらに200~300mほど進むと、急カーブの広場に出くわす。木も小屋も何もない広場。ここが隣の尾根の突端になる。

ここから取り付くのだが、道は無い。
尾根を削った法面右半分には、指が入るぐらいの目の金網をかぶせ、コンクリが吹き付けられている。その金網をよじ登り、途中まで垂れているトラロープを手がかりに尾根に乗る。
乗ってしまえば、それなりに道はついている。

まもなくの1050m付近では、直角に右に曲がる。ロープが張られ、その先は崖なので間違えることはない。
逆に、下る際は気をつけたい。尾根に沿って勢いよく行くと、つい直進してしまう。ザレた急斜面になり、身動きが取れなくなる。

道なりに登っていくと、1150mあたりには崩壊した小屋がある。近くに巨大な法面工事箇所があるので、その関連かもしれない。
太いサルナシが生えている。

その先もずっと植林帯。ほぼほぼ山道がある。地形的にも尾根なので判りやすい。
1300m手前で、太いワイヤが巻かれた切り株に出会う。このあたりから、地形的には怪しくなってくる。
やがて山道は踏み跡レベルになり枝道も多くなるが、1682尾根の明かりが見えているのでそれを目指せばよい。植林帯は尾根まで続いている。

下る際の1682尾根から外れるタイミングは、地図にあるように行けるところまで行って戻る感じでいい。
1682尾根を下っていくと、やがて西側は植林帯になる。1300~1350mあたりで植林帯が終わる。同時に、尾根の木々も小ぶりになり傾斜も急になる。
この植林帯の端から等高に100~200m戻れば山道に出会える。リボンは、古いものが2本3本ある程度。目印にはしにくい。


【1682合流点から先】


1682合流点

ササ原

残雪

お決まりのショット

本邦最南2000mの地
     by千頭山の会

1682尾根をどんどん登れば、山に生きる会の案内板のある1682m標高点に着く。
写真は登ってきた尾根側から。白い星印が看板がかかった木。看板は向こうを向いている。
左上方向がバラ谷の頭方面、右に下っていけば、打越峠、前黒法師山、麻布山……と続く。

バラ谷方面へ向かい、小さな鞍部を超え、岩尾根のある1770mあたりからササ出現。尾根南面を一面に覆う。シカに短く刈られ、気持ちよく歩けそうな小道が縦横に走る。
つい誘われて行ってしまうと、登りに差しかかったところで背丈のササ漕ぎ。結局、道も判らなくなる。ササ原写真の、左に外れたあたりの尾根道を行けば、そこまで苦労はしない。

ササ原をしばらく登ると、随所に残雪が見られた。日陰、窪地などにシャーベット状に残っている。1682尾根から見る黒法師岳ら西斜面にも、谷筋に白いものが見えていた。
汗だくで、かぶりつきたい衝動に駆られたが、何があるか分からないので手足を冷すだけにしておく。

そして頂上。お決まりの一枚を撮る。カメラが置ける、具合のいい四角い石が置いてあったはずだが無くなっていた。
ちなみに「バラ谷の頭」とあるが、バラ谷がどこにあるのか聞いたことがない。一部では「バラ谷山」と呼ぶらしい。
戸中山林道ゲートにある看板では「三ツ合」と書かれている。3方から来た尾根が合流する場所、という意味だろうか。

そして、本邦最南2000mの地も拝む。
写真の奥に見える、さらに南にあるピークの方が高く見えるのだが……手持ちのGPS機器では、見ている間に10mぐらい変化してしまう精度しかないので如何ともし難い。

久々に来た絶景の地。晴れはしたものの透明度は冬の前回に及ばない。富士山も裾野しか見えない。ちょっと残念。
Caplio R2よりだいぶ解像度のあるEX-10を初めて持ち込めたので、撮りまくってパノラマ化したものを稿末に貼っておく。
南アルプス、中央アルプスはもちろん、北アルプスも一部見える。恵那山も見えるし、中ノ尾根山の泳いだササ原までバッチリ。

登りでは、埼玉からの遠征2人組とすれ違った。麻布山登山口で泊まったとのこと。単独行の若者も追い抜いた。黒法師・丸盆あたりで一泊とのこと。ネット上の記事では、当日、先に通過した人もいる模様。
意外と人は来ているのかもしれない。

2度目のバラ谷を満喫し、13:40に帰路に着く。一昨年は、13:11発で泣きそうだったが今回は余裕。
地形やらルートやら、いろいろ見ながら寄り道しながらのんびり下山。それでも林道には16:20ごろ降り立つ。まだ日が高い。
この時刻なら冬でも目が利く。林道歩きなら暗くても問題ない。さらには、帰路はほとんど下り一本。何度も登り返す麻布経由で頑張った、一昨年の自分を褒めたい。
干からびかけたオタマジャクシを救出したり、ゲートから余分に歩いたりしても、車には18時前に着。やっと日が陰ってきたところ。夏至ひと月半前ともなると、相当に日が長い。


バラ谷の頭より180°パノラマ (21031×1954 ピクセル、2.9MB)  (7/31 画像差替え)

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