先月末のモミジイチゴ(Rubus. palmatus)の直後、27日には、カジイチゴ(R. trifidus)が開花した。例年の先走り開花はなかったものの、よく蕾も着いている。これから長い長い開花結実期が続く。
キイチゴ類は一般に、春先にシュートを出し秋までに成長を終えて冬芽で越冬、翌春に開花結実した後枯死する。中には今年枝に咲いて実るものもあるが、いずれにせよシュートの寿命は1年あまり。ところがカジイチゴは、結果母枝がさらに翌年まで残り、開花するものもある。かなりの部分が残るもの、根元付近だけのものなど生育状況環境などによって差はある。
この現象は、ブラックベリー類にも見られる。体が大きいために起こるというわけでもなく、モミジイチゴやコジキイチゴ(R. sumatranus)には、人の背丈を越えるような大個体も見られるが、夏にはしっかりと枯れてしまう。
写真右下が、昨年咲いた残滓。左下あたりで、いま咲いている枝と同じ幹から枝分かれしているのが判る。
4月に入り、5日にはヒメカジイチゴ(R. × medius)が開花。
大振りで棘が少なく、花数も多く見栄えがする。
8日にはカジモミジ(R. trifidus × R. palmatus ※※)が開花。2番の鉢。
3番の小葉株は15日、4番はひとつだけ18日に咲いた。
横から下向きでモミジイチゴに似るがやや大振り。3番株は体が小さいが、3株いずれも似た形状、大きさで咲く。
複数個咲いた株で観察すると、花の着き方には規則性があるよう。シュートの先端もしくはその大枝の先端から3節程度に、一箇所あたり1~2個ずつ花が着く。
10日にはニガイチゴ(R. microphyllus)が開花。
12日には、トヨラクサイチゴ(R. × toyorensis)、同F2、カジコジキ(R. trifidus × R. sumatranus ※※)、コジキカジ(R. sumatranus × R. trifidus ※※)、ヒメバライチゴ(R. minusculus)、ヒメカジイチゴF2(≒ニガイチゴ)、クマイチゴ(R. crataegifolius)が開花。
21日、昨年しらびそ高原で得た、ミヤマニガイチゴ(R. subcrataegifolius)が開花。
花はニガイチゴに似るが、小枝、花茎など全体に間延びした感。数cm伸ばした小枝の先に1~2花着ける。
葉はT字で先端は鋭い。中央の裂片が、やや中太り。今年枝の葉は、やや細めで3出複葉に見えるものもある。5裂のものもある。
ニガイチゴは、授粉すると萼を閉じるが、いまのところそれが見られない。
28日、これもしらびそ高原で見つけたもの。クロイチゴ(R. mesogaeus)か咲いた。
当初はミヤマウラジロイチゴ(R. idaeus ssp. nipponicus)と思っていたが、ナワシロイチゴ様の花が着いたことで間違いが判った。
挿し木をしたうち、最基部のもの以外全てに蕾が着いた。蕾は5mm程度、咲くと、萼の開きが15mm、花が5mm程度になる。ナワシロイチゴ(R. parvifolius)に似るが、やや淡いピンク。ナワシロは最後まで花弁を開かないが、こちらは時間が経つとやや開き気味になる。一箇所に一桁後半程度の蕾が着く。ただし、挿し木に咲いたものなので、数や大きさは控えめである可能性もある。
全体の姿は、エビガライチゴ(R. phoenicolasius)の赤い毛を無くし、花をピンクに染めたイメージ。
29日、ボイセンベリー(R. ursinus × R. idaeus ※)が開花。
毎年花着きはいいが、バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)の被害に遭いやすい。今年は蕾の固いうちに、予めオルトラン液剤を散布してみた。少し被害が出たため、開花直前にスプレー殺虫殺菌剤を蕾に散布した。今のところほとんど被害が出ていない。
果実は口にするものであり、授粉虫への影響も避けたい。さじ加減が難しい。
本日、ラズベリー・インディアンサマー(R. idaeus ssp. idaeus)が開花。
ファールゴールドと共に蕾がたくさん着いた。ファールゴールドも間もなく咲きそう。
昨年、恵那山で見つけたハスノハイチゴ(R. peltatus)も、元気に葉を茂らせている。蕾は確認できていない。
バライチゴ(R. illecebrosus)は今年枝が茂ってきた。いくつか蕾も見られる。
クロイチゴに似たエビガライチゴには、蕾が見え始めた。同じく似たナワシロイチゴは蕾が膨らむ。
クサイチゴ(R. hirsutus)は、4月前半には花盛りに。
ブラックベリー系、エバーグリーン(R. laciniatus ※)、ソーンフリー(R. fruticosus ※)も新葉が茂ってきた。まだ蕾は見えない。
4月に入る頃から、播種したものが発芽し始めた。雑種化の可否や、雑種の発芽能力確認などをするために行っている。
種子の大きさによって発芽体の大きさの差はあるものの、初めはどれも似通っている。楕円の双葉に、荒い鋸歯で先の尖った本葉。そして全体が毛で覆われる。
本葉が写真程度まで大きくなってくると、ちょっとだけ雰囲気は感じられる。
5号の駄温鉢に赤玉小粒を詰め、上部に選った細粒を敷く。水分供給は、2~3cmの腰水で行う。
採種は、完熟後に潰して果肉を洗い去り、清浄にする。基本的に採り播きとするが、2~3ヶ月乾燥保存しても大丈夫な模様。播種は、用土上に均等にバラ播きする。覆土はしない。保護網(古い網戸など)を被せて、雑草浸入と雨直撃による跳ねを防ぐ。通常屋外に置くが、猛烈な霜柱など物理的に種子が乾燥、散逸などしそうな場合は、適宜対処する。春に発芽が確認できたら、覆いは外し、日によく当てる。
現在は直射に当てている。
学名出典:
無印……YList
※……Wikipedia キイチゴ属
※※……文献無し
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