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参考:サツマイモの花 (草友木虫より)
初夏。

食べ残しのサツマイモから、芽が出ているのをみつけた。苗を植える時期の今から苗を育てるのでは少し遅いが、とりあえず土に埋めてみる。ひと月もすると、元気のよい苗蔓が育ったので、使えそうなそれらは畑番に託すことにした。
ちなみに品種は不明。中身の黄色いほくほくした、ごくありふれたタイプ。


手元には、選から漏れた貧弱な芽たち。ただし、地下には余力のある親芋。せっかくなので、花を咲かせてみることにした。

サツマイモ(Ipomoea batatas)はアサガオ(I. nil)などの仲間で、ヒルガオ科サツマイモ属。ヨルガオ(夕顔、I. alba)、ヨウサイ(空芯菜、I. aquatica)、ルコウソウ(I. quamoclit)なども同属。ヒルガオ(Calystegia japonica)も似ているが、これは属が異なる。

南国では、冒頭のようなアサガオ様の花を着け、特に珍しくはないという。鈍感な短日植物のため、咲くのは秋以降。収穫期でありまた気温も下がるため、本州では一般に開花・結実はみない。ネット情報によれば花芽分化には、日照11時間以下で1ヶ月、が必要とのこと。

花芽分化は、ホルモンが関係しているとも聞く。日照時間に敏感な他のアサガオ類にサツマイモを接ぐことで、花芽を促す情報が穂木に伝わり花が着く。品種改良をする際には、キダチアサガオ(コダチアサガオ?)という木立性のアサガオ(写真)に接ぐという。

たまたま今年はアサガオ類を育ててない。マルバルコウ(I. coccinea)は庭に大量に生えるが、なにぶん蔓が細い。台木になりそうな株が見当たらないので、田畑脇で野良のアサガオを摘んできた。ハート型の葉で、毛深いタイプと毛のないタイプ。品種は不明。サツマイモ同様、蔓を適当に埋めておけば、1週間ほどで葉が萎れなくなり、着いたのが判る。

アサガオを育てつつ、サツマイモとアサガオの接木について、下調べをしてみる。
ググると、サツマイモにアサガオを接ぐ「サツ顔」ばかりが掛かる。芋から蔓が出て朝顔が咲く技。初めて知ったが、その方面では結構知れたものらしい。
逆パターンは、個人サイトでは見当たらない。大学などごく一部のページは見つかったが、そのまま使えそうなページは無かった。

育て始めてひと月ほど経ち、先の野良アサガオもだいぶ成長した。花芽も着き始めた。が、茎はうまく太ってくれない。芋から出たサツマイモの蔓のほうが数倍太い。接木は難しそうなので、とりあえず今年は、種の同定と将来のための採種のみ行うこととした。

アサガオ確保と平行して、サツマイモの短日処理も行っていた。箱を作り、出勤ギリギリまで被せておく。帰宅後は急いで被せる。7月上旬に始めて、およそ一ヶ月経つ。
開始したころの日の出は5時前。日の入りは19時過ぎ。「昼間」は14時間を優に超える。ひと月経った今でも、それぞれ20分ずつ短くなる程度。「11時間以下」が必要というので、10時間を目標、最悪でも11時間を越えないように、ときに各所に協力も頼みつつ続けてみた。


サツマイモと遮光箱

葉腋に花芽らしきもの

別の花芽らしきもの

アサガオ(毛深)の花芽

畑の葉腋の芽

蔓の先端付近を観察してみたところ、葉腋に小さな芽が見える。滑らかで先端が細く尖り、二股に分かれている。アサガオ類の花芽にも似ている。

畑番に託した蔓も、比較のために観察してみた。肥やしが効いて派手に繁茂している。日照は自然任せ。葉腋には芽もある。ただしその芽は、節くれだち、色も濃い。見るからに葉芽の様相。
どうやら、短日処理は奏功し、花芽が着いたよう。

ちなみにサツマイモは、自家不和合性が強いという。仮に咲いても実らせることは難しそう。間違ってでも一粒採れれば、安定的な採種サイクルにもっていけそうだが……


育てる方だけでなく、食べる方についても調べてみた。

サツマイモ属では、アサガオのように下剤になる毒持ちがある一方、ヨウサイのように丸ごと食べられるものもある。サツマイモについては、戦後の食糧難時には芋蔓を食べた、などという話も聞くので、毒はなさそう。
芋づる レシピ」などでググれば山ほどヒットする。単品紹介ばかりの中、「地球のココロ」は、いろんな調理法がまとめられて見やすい。

ともかく、何者かを見極めるために炒めてみた。葉、葉柄、茎を「千切り」分け、オリーブオイルで炒め、塩のみで味付けする。
まずは葉。もともと薄く、火を通すと嵩がなくなり、まったく食べでがない。本当に小さくなってしまう。
葉柄。これは普通に食べられる。よく育った葉では、やや硬いものもある。皮(筋)を剥くか、手でちぎれるあたりまでを使うのがよい。一般的にはここを食べ、また皮を剥いて使うらしい。
茎。地を這う蔓の部分は硬い。皮を剥けばいいのかもしれないが、現実的ではない。ただし、先端部は普通に食べられる。手でちぎれる先端数cmに限定した方がいい。

サツマイモの甘みがある、という記述も見られるが、これはよく判らなかった。味、香りとも特に癖はなく、普通に野菜として食べられる。
芋掘りのついでに、蔓先や葉柄を摘むのはさほど手間ではない。摘めるところだけ摘めば、皮を剥く必要もない。芋蔓は、簡単に手に入るわりに使える野菜、と言ってよさそう。

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