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2019/10/22 だいぶ熟してきた
鉢植えのアケビが初めて生った。ひとつは5果(向かって右)、ひとつは7果の大房。

7果の方はもともと9果着いていたのだが、5月4日の雹でもげてしまった。この雹、柿の葉が穴だらけになるなど、結構な降り様だったらしい。
大房では小ぶりになる懸念もあったが、7~10cm程度と自生株でもよく見かけるレベルに育ってくれた。

植わっているのは8号菊鉢。樹高は、伸びた葉先まで入れて30cm。
この株はもともと「7葉アケビ」なのだが、現在は6葉が1枚あるのみ。





2005/4/10 自生の7葉アケビ
ミツバアケビは3小葉、アケビは5小葉、ムベは7枚もあって常緑……そんなことを脳内復習しながら里山散策していたころに見つけた妙なもの。
雰囲気はアケビなのだが7小葉。教科書どおりならムベしかありえないが、とても常緑には見えないし。なんだかよくわからない個体だが、花を見たらやっぱりアケビ。

珍種発見か!? と、心がざわついたのは正直なところ。しかしのちに、三岳山(浜松市北区)以外でも何箇所かで見つける。
とりあえず珍しいものにはかわりないので、ちょっと手元に置いて眺めてみようか、などと思いつつも数年が経過。


2011/5/9 7葉アケビを挿し木
そんな「7葉アケビ」を挿してみたのが2011年。蔓は埋めて葉だけ出す形で転圧しておいた。
用土は、ゴロに赤玉大粒、メインは赤玉小粒+腐葉土で、上面付近は赤玉小粒のみ。

ところで写真では2鉢あるが、1鉢をどうしたのか記憶に無い。どこか露地に下ろしたっけか……

枯れもせず育ちもせず、で冬を迎え、翌春は新芽が出てきたと記憶。記録は残っていない。
翌年以降はそれなりに蔓を伸ばしてきたものの、ごく普通に5小葉のアケビだった。3年目、かなり勢いがついてきたところで7小葉が出るようになる。


2014/4/10 6葉7葉が多く出現
蔓は伸ばし放題。支柱に巻き上がり、よその鉢にも覆いかぶさる始末。
とりあえず7葉の確認はできた。花芽は見当たらない。盆栽にする話も聞くぐらいなので、コンパクトに育てることも可能なはず。ならばということで、翌週にはばっさり剪定した。

剪定した葉の中には、中央あたりに僅かに出っ張りがあるものが見られた。
鋸歯といっていいものか微妙だが、アケビらしい単純な楕円とも違う。もっとも、山中で地を這っているアケビらには、そんな微妙な出っ張り持ちの葉はよく見られる。

その後は、主幹を決め、それより伸びる蔓は全部取っていた。
果樹園芸大事典などで、前年枝に花芽が着くとの記述を見つけてからは、主幹上の蔓は1cm残してカットするようにした。地際からの蔓は根元から捥いでおく。
ちなみにこの本も、「日本の古本屋」サイトで探した方が多少安い。

屋外日なたに置き、通常の水遣りと多少の施肥。肥料は、偶数月に緩効性化成(IB化成など)を3粒のみ。
2018年にようやく花芽が着いたものの、全て雄花。燃料不足を考え、この年からは施肥量を倍増させてみた。2ヶ月に1度、6粒ずつとする。





4/7 満開
そして今年、10個ほど花芽がつき、うち4つには雌花があった。
初めのうちは全て雄花の蕾に見えたが、やがてひとつだけ急激に大きくなり、雌花と判る。
写っている雌花2つが、冒頭で生っている2つの房になる。奥のが左側の7果のもの。

鉢の向こう側にも、雄花塊が5つ、雌花が2つ隠れている。
見えている雌花2つには、近隣で採取したアケビの花粉を、裏側の2花にはムベの花粉をつけてみた。この雑種は稔らなかった。


5/1 まだ9果のころ

5/1 こちらは5果
令和初日。

4/8に受粉させてから3週間あまり。
紫色の雌蕊が、緑色の幼果に変化している。気持ち大きくなった感じ。


5/17 7果に減っている

5/17 5果の方
5/4に、雹によって2果もがれたのだが、その傷口が見えなくなるほど、急激に成長している。


6/2 7果

6/2 5果
7果の方は、重さに耐えられず鉢まで降りてきた。
このころには、緑色だった果柄が樹皮らしい色に変わってくる。


7/28 7果

7/28 5果
梅雨明けの頃。

ますます重くなり、ぐ~~っと下がってくる。
果柄も太くなり、主幹と大差ないレベルになる。

9/4 7果

9/4 5果
夏休み明けの頃。

7果は鉢の縁で支えるも、5果は鉢の中盤あたりまで降りてきてしまった。
重そう……


10/14 7果

10/14 7果を下から

10/14 5果
なかなか夏日から開放されない日が続くも、スーパー台風19号が秋の空気を引き込んできた。
そんな14日、7果房の1果が熟した。

2~3日前から紫がかってきて、全体が色づくとともに割れ始めた。
青い実にも、割れる予定位置には筋が入っている。
その後は次々に色づき、熟し、割れていった。




あらためて「7葉アケビ」などでググってみると、記事も画像もそれなりに出てくる。標準的なものではないが、特別にものすごく珍しいもの、でもなさそう。

山梨県上野原市八重山におけるアケビ属3種の分布と葉の形態的特性の比較(pdf)」には、ゴヨウアケビの小葉の数は、5枚より多い葉もある、という記述がある。また、小葉の大きさが均一でない、ともある。
種内および近縁種間における花の匂い特性の多様性形成とそれに伴う種分化に関する研究(pdf)」には、ミツバアケビにしか見えないのにアケビのハプロタイプを持つ個体があり、浸透交雑を疑わせる、などという記述がある。
クワゾメアケビと呼ばれるものもある。これは、雑種であるゴヨウアケビの変種、とされる微妙なもので、葉はアケビだが花はミツバアケビに似るらしい。

手元の株は、葉も花もアケビそのもの。ただ、記事中2枚目、4枚目の写真を見ると、葉の大きさは不均一な感じもする。極わずかだが、鋸歯様の突起のある葉も出ている。浸透交雑の話もある。雑種の中には、変種扱いされる程のものもある。
もしかしたらこの株も、遠い先祖にはミツバアケビがいて、いくらかは血が入っているのかもしれない。

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