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もうすっかり遠ざかったネオワイズ彗星(C/2020 F3、Wikipedia)。今年(2020)の3月下旬(F)に3番目(3)に発見された彗星(C/)で、7月3日に近日点を通過し、最盛期には1等星で見えたらしい。
7月前半は明け方の低空、後に夕空へ移行。結局、裸眼では拝めなかったが、雨続きの7月でもチャンスは3回ほどあり、双眼鏡ながら尾も見ることができた。


トリッキーな増光で結局壊れたアトラス彗星(C/2019 Y4)など、業界が注目すればするほど外れるのが彗星の明るさ。今回も期待せずにお気楽に構えていた。
近日点通過後は、北東の低空に見えるらしいが、詳しい情報が集まらない。しょうがないので広角でさらっておくか、と出かけたのが、7月16日の3時過ぎ。撮影開始時にも雲が多く、低空は明らかに薄明が始まっている状態。
ちょっと寝過ごしたか、と焦りつつも撮影を始めるが、いつものピント位置と違う。見えているものを信じて撮ったが、結局ピンボケだった。EX-10の広角には罠がある。

位置が判らないままおよその狙いをつけ、撮りつつ眺めつつ彗星を探したのだが、結局見つからなかった。
帰宅後、画像を処理してみると、超低空の明るんだ中にダストリッチな彗星が写っている。もう15分早ければ肉眼でもいけたかもしれない。双眼鏡なら、イオンの尾も見えたかもしれない。
右下の光点列は浜松風力発電所。航空障害灯の無い風車のシルエットも見える。もう30分早ければ、三岳山から昇りつつ風車と競演する姿を、長めのレンズで狙えたかもしれない。
多くのタラレバと残念な思いを胸に、次のチャンスを待つことになった。

以下は、先日の画像投稿に関する記事でも使った画像。
左上にこぐま座の長方形、上辺あたりの雲の中に北極星。左下の山の上の輝星は北斗七星のε星で、右に少し離れた黄色い星が、柄杓の先のα星。右上雲の中の輝星はカペラ。彗星はやまねこ座か。


2020/7/16 3:39:27ごろ、CASIO EX-10、28mm相当、F1.8→F2.2、ISO400、8s固定、WB曇り、Yimgでウェーブレット強&階調補正20%


3日後の19日は夕空でのチャレンジ。仰角が上がり、空が暗くなれば露出も掛けられる。ということで、ビクセンのSP赤道儀に載せて30秒露出してみた。
露出をかけるので、感度は最低(画質は最高)とする。雲間で位置がつかめないので、方位仰角で位置を決め、外すのが怖いのでレンズは50mmに抑えておく。
ダーク引きを含めて1分間は手が空くので、その間に観察。双眼鏡ではすぐみつかり、2度ぐらいのダストの尾が見えた。頭部はざっと3等星の雰囲気。とすると、全光度は1等クラスかもしれない。肉眼ではどう頑張っても見えず、まもなく雲の中に消えた。

彗星の上の縦にふたつ並んだ星が、おおぐま座の26番星とθ、下には横並びでκとιがあるのだが、κは画像処理のせいで見えない。画像左上の横並びは、同座μとλ。
強烈に画像補正をかけているので「青い空に白い雲」になっているが、実際は「星空に暗いオレンジの雲」。


2020/7/19 20:15:33ごろ、CASIO EX-10、50mm相当、F2.2開放、ISO80、30s自動ガイド、WB曇り、Yimgで階調補正60%&各色レベル補正、MSPaintで2048px JPEG化


レンズがデカくて素子もデカくて、金が掛かってる写真はカンタンキレイ。コンデジのフラッグシップを務めたEX-10とはいえ、1/1.7型では撮って出しでは厳しい。
でもせっかくの明るい彗星なので、二股の尾も撮ってみたい。彗星は、暗くはなるものの高度はどんどん上がる。うんと露出をかけてうんと画像処理してみた。
淡い部分はFが小さい方が、限界等級はfが大きい方がよいとされる。ここまで28mm、50mmときたので、今回は最大の112mmで撮ることにした。
自動ガイドするものの、ガイドミスの可能性はある。彗星自体も動いてしまう。30s露出を繰り返し、あとで合成することとした。

なかなか晴れ間もなく、撮れたのは月末31日、梅雨明けの前日。昼間は晴れ、飛行機雲も極短い。薄雲が散見され、低空はヘイズを感じるが、全体に透明度はよい。
彗星は、かみのけ座の脇にいる。薄明終了時で仰角30°ほど。例によって1分のインターバルができるので、その間に観察。双眼鏡では容易に見つかったが、肉眼では無理だった。
星の多い場所なのでピンボケ法をやってみる。傍にある、かみのけ座γよりは確実に暗く、数字のみの星々と見比べて、6等星と見積もった。ちなみに、国立天文台は約5等、ASTROARTSは5.7等予測。尾は、なんとなく上方に「ほわっ」としている気がするがハッキリしない。

SP赤道儀で自動ガイドし、断続的に30s露出で撮影。各画像から核位置を割り出し、YimgでDNGファイルを平均化コンポジット。そのまま階調補正を100%かけた。
最初と最後で20分ほど時間差があるが、星基準の合成では頭2つぐらい動いて見える。事後的にメトカーフ法を実現している。
補正が強いので、レンズ由来と思われる同心円状のムラが見えるが、それと同じくらいの濃度で尾が写っている。撮影画像を元にしたバックグラウンド補正などをすると、見た目は整うが尾も見えなくなってしまう。


2020/7/31 20:21:12ごろ、CASIO EX-10、112mm相当、F2.5開放、ISO80、30s自動ガイド(合計330s)、WB曇り、Yimgで平均化コンポジット&階調補正100%、MSPaintで2048px JPEG化

一応、直線状のイオンの尾と、広く広がったダストの尾の両縁あたりに線を引いた画像もつけておく。
少し引いて眺めた方が、尾の位置は判りやすい。


同上に尾の位置を記入

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