ダイヤモンド富士?@静岡県内最南
夏至翌日の22日。羽虫対策をしっかり施し、浜松市陣座峠付近へ。大雨の後で、足元は草露に濡れ、大気も激しく揺らぐ。
しかし、梅雨真っ只中としては珍しい富士山日和。日の出位置も、今年の最北の好タイミング。密かに暖めていた「静岡県内最南のダイヤモンド富士」に挑んでみた。
ダイヤモンド富士の定義としては、最初にお鉢から光が射す、こととしたい。多少のオマケはアリ。
カシバード予測ではお鉢から出るハズだった。ハズだったのだが、思い切り脇の出になってしまった。検証考察と、観測結果を映像にまとめてみる。
撮影機材はいつものデジファミスコ。後半の赤い太陽は、天ガの日食グラスを使っている。
じつはカシバードの太陽は、いくらか大きめに描かれている。作者の言によれば、36′とのこと。実際の太陽は31.5′~32.5′に見える(Wikipedia)ので、さすがに大きすぎる。
以前掲示板で修正を依頼したのだが、最新版(ver 9.3.2)でも直っていない。
画像の目盛から計算すると、描かれている太陽は35.8′ほどで、それから計算すると32′は428pxになる。作者の言を信じて36′とみなせば、こちらは425pxとなる。とりあえず線一本分ぐらいの差、内寸か外寸か程度の話なので誤差ということにしたい。
ちなみに画角は2°の設定だが、目盛をもとにすると横幅が2°弱(対角は2.29°)になっている。アスペクト比が3:2以外では、正しく計算されないのかもしれない。
映像を見ると……んー、あまり合ってない。
日の出位置こそセンターラインに近いが、出かたはだいぶ違う。
全体に予測は左ズレ。時刻も13秒ほど早い。太陽の大きさも、32′修正後ですらまだ大きい。
大きさを再修正して、欠け際を富士山に合わせた左画像で見ると、予測がかなり左ズレなのが判る。
カシバードの精度については、いままで何度も考えてみたのだが、コレという結論には至っていない。
旧版カシバードにおける「カシミール3Dの動作確認(2011)」では、ともかくズレていることは判った。
カシバード精度が上がったということで再検討した「カシバードの精度を確かめる(2014)」でも、なんだかズレている、以上の進展がなかった。
カシミール3Dに気差設定があることを知り、撮影データを増やして気差もいじって頑張った「カシバードの日出没精度を確かめる(2015)」でも、やはりスッキリな結論は出なかった。
今回は、カシバード画像の太陽を32′で描きなおし、標高と気温から適すると思われる気差も設定して、実物と比べてみた。
標高は地図から拾う。気温は、温度計があればそれを利用し、なければ体感もしくは近隣の観測所の過去データから、標高差を加味して想定する。
一般に、+100mで-0.6℃といわれる。ところが、1200m差がある佐久間観測所と竜頭山山頂とが、1℃しか違わないこともある。標高差がほとんどない浜松と天竜では、3℃ぐらい違う。その地点から離れると、この計算は微妙ではある。
日時(yyyy-mmdd) | 日出没時刻 | 予測時刻 | 実写 | カシバード予測 | 備考 |
2011-0630 | 4:47:40ごろ | 4:47:09 | ダイヤモンド富士@秋葉山第二P 予測は左ズレで、30秒ぐらい早い。 | ||
2014-0708 | 4:51:22 | 4:50:54 | ダイヤモンド富士@林道久保田線 予測はやや左ズレ、28秒早い。 | ||
2015-0216 | 17:32:54 | 17:33:02 | 日没@舞阪 予測はやや右ズレ。8秒遅い。 | ||
2015-0314 | 17:51:24 | 17:51:37 | 日没@三方原 予測位置は右より、13秒遅い。 | ||
2015-0628 | 4:45:48 | n/a | ダイヤモンド富士@浅間山 予測位置が左ズレすぎて時刻差計測不能。 | ||
2015-0727 | 5:01:50 | 5:01:12 | ダイヤモンド富士@竜頭山 予測は左ズレ、38秒早い。 | ||
2018-0622 | 4:44:28 | 4:44:15 | ダイヤモンド富士@陣座峠 予測は左ズレ、13秒早い。 | ||
2018-0702 | n/a | 4:47:04 | n/a | @浅間山。予測のみ。晴れず。 多分、実際はハズレ。 |
日出の予測位置は左ズレ、予測時刻は早め。日没はその逆、となっている雰囲気。
黄道を全体に南へずらせば、東西ともに日出没位置を補正する方向になる。日中時間も短くなるので、日の出は遅く、日の入りは早くなり、これも整合する方向に補正できそう。
外れなかったダイヤモンド富士(日出)を見ると、30~40秒予測が早い。6月22日は13秒しかズレてないが、脇のやや低めからの日出になり実際の時刻が早まったため、とも考えられる。
2012年の金環日食など、天体同士の会合を見ると、天体の位置はよく計算されている。山並みの重なりは、定評の通りで問題ない。
今回見たとおり、天体と山並みとの取り合いは、やや微妙。
ちょっと何か見えてきたカモ……
0 件のコメント:
コメントを投稿
.