since 2007.8 by K-ichi

暑い。ひたすら暑い。木陰で風に当たっても、風が熱い。
豪雨冷夏に見舞われる地方があるというのに、こちらはごく当たり前のように猛暑日がつづく。「2階建て高気圧」とやらのせいらしい。


キイチゴジャム徐冷中
およそ2年間で、タッパ数個分たまったキイチゴ。いよいよ決行する日が来た。原材料比からすれば、ワイルドラズベリージャム、といったところ。
イチジクでは、わりと簡単にそれなりにできたので、それに倣ってみた。

ちなみにイチジクジャムは、果実:砂糖:レモン汁≒9:3:1。おのおの3:1の重量割合で、しっかり目の味付けになる。
素材の風味がそのまま出るので、完熟生果がベスト。食べて美味しいもので作らないと、やはり美味しくない。
全部の材料を鍋に入れ、焦げない程度に弱すぎない火で、手早く仕上げる。30分程度が目安。

冷凍してあるので、ブロック状に固まっている(鍋1)。ただし、手で揉めばほぐれる程度の固さ(鍋2)。


鍋1

鍋2

「鍋1」の上部には、薄オレンジ地に濃いオレンジの斑点のあるコジキイチゴが見える。その左下2個隣の肌色が、ファールゴールド。さらに3つほど間を置いた濃赤色がインディアンサマー。黒っぽいのは、ほとんどがボイセンベリー。赤実で、粒が尖ったものはクマイチゴ、そうでないものはヒメカジイチゴなど。
「鍋2」も似たような傾向だが、一番手前付近に、でっかいトヨラJr.がごろごろっと転がっている。

豊作だったボイセンベリー、クマイチゴ、ヒメカジイチゴ、エビガライチゴを主とし、ニガイチゴ、ラズベリー類などが多く含まれる。名前貸し程度に、モミジイチゴやコジキイチゴなども加わる。あのキミノニガイチゴも入っている。キイチゴではないが、ワイルドストロベリーも数個入れた。ブラックベリー類は、訳あって入れてない。


煮る
果実の総量は1640g。これに3:1の割合になる上白糖540g、レモン汁180gを加える。材料がひと鍋に入りきらなかったので、ふた鍋に分けて火に掛け、嵩が減ったところでまとめ合わせた。

初めは解凍のために、弱火~中火でかき混ぜながら10分程度。その後は、生果でのジャム作りと同様、蓋をしないで30分。水分を飛ばしつつ、転化は進ませながら、香りは飛ばしたくない、と考えた具合。だいぶ水分が飛んで減ったように見えても、掬ってみるとゆるくて心配になるが、この時点ではそのぐらいで問題ない。

煮上がったら、瓶詰め。清潔なジャム瓶に取り分け、瓶の蓋を「載せた」状態で10分ほど煮沸。ちんちんに熱いうちに蓋をきつく閉め、逆さに置いて室温で徐冷する。瓶内空間が水蒸気で満たされている状態で蓋を閉めれば、冷めた後はほぼ真空になる。市販品のように、蓋が「ぽこっ」となる。
滅菌については諸説あり、煮沸の場合は20~30分とあるページが多い。本気でやる場合には、高圧水蒸気雰囲気が必要で、圧力釜を使う。ラン培養の本では、圧力釜を使うか、もしくは煮沸殺菌をした翌日にもう一度煮沸せよ、などとある。

冷めたら冷蔵しておく。ジャムは保存食ではあるが、この作り方では糖度がかなり低めらしい。生もの扱いが妥当。
味は酸っぱめ。真夏にはちょうどいいが、一般的なジャムを思うなら、レモン汁は減らしてよい。ちなみに糖転化には、砂糖の0.1%あれば間に合うという。
タネは少し気になるが、食べられないほどではない。ボイセンベリーのものと思われる。
詰めた時点ではゆるくても、冷めると粘度が増す。さらに2日3日休ませる(冷蔵保存する)と、粘度はより増して、酸味もまろやかになる。

ざっくり計算してみた。
果実の比重をざっと1.1、ショ糖を1.59、レモン汁を1とすると、当初の容量は、1640/1.1+540/1.59+180≒2010mL。仕上がりが約1.6Lだったので、80%に煮詰まったと判る。
仕上がりから糖度を計算することもできるという。式を立てると、(1640×0.1+540)/(1600×1.25)≒0.352。35度しかない超低糖度と出る。本来の保存食としてのジャムは65度、市販の低糖度品は45度ほどらしい。
もっとも、仮定の数字がいくつか入っているので、数字は鵜呑みにはできない。おおよその目安にはなりそう。


2016/5/8追記

当記事のキイチゴジャム、および昨年作った上記記載分量比によるイチジクジャムを食した。
いずれも減圧密封の後、冷蔵してあったもの。イチジクは4年もの、キイチゴは3年ものになる。

果実の香りはやや減った感じはするが、いずれも問題なく美味しくいただけた。
キイチゴジャムは、当初は酸味が強すぎる印象だったが、菓子パンのトッピングにはちょうどよい。


じつは一昨年秋にも、ブラックベリーがたくさん採れたのを機に、ジャムに挑戦していた。ラズベリーらと合わせて375g。
イチジクでの例を参考にしたつもりが、分量を取り違えた。仕方がないので、畑からイチジクに応援に来てもらい、混合ジャムとした。

辻褄を合わせて形にはなったものの、食感が最悪。ブラックベリーのタネが、これでもかと歯に当たる。大きくて硬い。ミキサーで粉砕しようかとも思ったが、噛み潰すと独特の臭みが口中に広まる。これは食えない。
漉すしかないので、ステンレスのザルを使い、入れては漉し、タネを取り除きながらまた入れて、を繰り返す。イチジクで嵩増し粘度増ししているので、だいぶつらい修行。ついには無の境地に達し、800gの物質を漉しおえた。
裏漉しによってタネは除去されるが、それ以外の固形物も漉し取られ、または粉砕されてしまう。結果できた物は、とろみのある汁。しかも、タネの風味が残る汁。不味い汁。少し煮詰めてみたが、やっぱり不味い汁。
胃袋に収めきるのも、また修行となった。

とある掲示板でも、タネが非常に気になるという声があった。「種厨」などと一笑に付す扱いだったが、聞くべきことは聞くべきだった。
ブラックベリーは、あらかじめタネを取り除く気がなければ、ジャムに入れないほうがよい。

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