ヒガンバナは、毎年9月半ばに一斉に咲く。一面真っ赤になったその後、10月半ばには、ぬるんと長い緑の葉を出し一面真緑になる。
ヒガンバナは実が生らないといわれる。しかし実際には、一面真緑の中にある程度は茎が残る。その先には1~2個の青い実が着いており、そのうちのいくらかは熟す。
種子は大きめの正露丸様。それを播いてみたのが2005年。翌年にも再び播き、そのうちのひとつが先日開花した。じつに10年目にしての花芽。
以下に経過などを記す。なお、年号のないものは今年の日付。
種子は採り播き。11~12月に、用土表面に転がすか軽く埋める。
4号鉢に、赤玉+腐葉土のいつもの土。発芽後は、ふた月に一度、緩効性化成を2粒、程度の施肥。冬の間も乾かない程度には水遣り。屋外なので、凍ったり霜に遭ったりもしている。
管理はバラ、キイチゴほかの鉢らと同様に行っていた。
毎年葉だけでガッカリ続き。いつの間にか、カラスビシャクやコバンソウが分布を広げて同居するようになる。半ば惰性で管理していたので、2005年株などがいつ消えたかも不明。写真もまともに残ってない。
今年も自生のヒガンバナは、彼岸を待っていっせいに咲き出した。
朝の水遣りで、ふと目をやると花茎が立っていた。雨が多くお休みの日もあり、気づいたときにはすでに26cm。その後2日半足らずで14cmも伸びた。
自生株らにも多少の早い遅いはあるが、その一番遅いタイミング。
2枚の苞に包まれ、4つの蕾が見える。花弁(花披)は小花につき6枚、雄蕊は6本、雌蕊は1本。
まず3花、翌日残りが開花。咲くとすぐに花粉が出る。5日ほどで花は終わった。
とりあえず各花ごとに自家受粉させてみた。若実が残っているが、生き残るかどうかは現状ではなんとも言えない。
地際を見ると、すでに葉が生え始めていた。
ヒガンバナについてざっと調べてみた。
別名マンジュシャゲ(曼珠沙華)とも呼び、帰化植物とみられている。
有毒ではあるものの、かつては救荒植物としての役目もあったらしい。その澱粉含有の多さ、入手のしやすさから、戦時中は風船爆弾の糊製造用に供出した、という話を亡き祖父から聞いた。
似たような花には、ショウキズイセン、キツネノカミソリ、ナツズイセンなどがある。白っぽい花のシロバナマンジュシャゲは、ヒガンバナとショウキズイセンの雑種と言われる。
日本のヒガンバナは、基本的に3倍体で、実は生らないとされる。33本の染色体を持つため、減数分裂がうまくいかない。
ところが実際には、さまざまな分かれ方をするために、たまたま運がいいものはタネになる、という報告がある。
中国には、2n=22の正常な生殖の行えるヒガンバナがあるのだそう。ひと月ほど開花が早く、姿もやや小ぶりなため、コヒガンバナと呼ぶとのこと。
運がよければ生る、程度なので結実率は相当に低い。
「tumu-tumu ツムラの掲示板」の引用によれば、結実率は0.3~0.01%とのこと。「ヒガンバナの民俗・文化ー2」には0.016%ともある。
どう調べたのか記憶がまったくない10年前のメモによれば、庭先で調べた結果521本不稔10本結実、とある。単純に計算すると1.88%だが、花数を基準にすると0.3%ぐらいになりそう。一本あたりの花数は7花、結実は1果まれに2果、というところで計算した。
計数は若実の段階で行ったはずで、完熟までいったかどうかは判らない。また、早めに倒れて腐ったものは見落としている可能性もある。これらを織り込むことは、数値を下げる方向に働く。
ちなみにここでリンクした「草と木と花の博物誌」というサイトは、その道の人によるものなので非常に詳しい。
「ヒガンバナの稔性と発芽について」というpdfでは、球根のでき方などが見られて面白い。
あらためてヒガンバナの小花の数を調べてみると、7>6=8>>5という按配。9花というものも1本あった。
Web上では6花が基本だとするページも見られるが、近隣の茂みに於いては7花がもっとも多い。
基本的に栄養繁殖なので遺伝的には同じはずだが、株の成長具合や周辺環境で変わるのかもしれない。
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