since 2007.8 by K-ichi


2018/2/23
ASTRO-H(ひとみ)@うさぎ座
デジファミスコ(ファミスコ60S+EX-10)で、「ひとみ」ことASTRO-Hを撮影してみた。

ASTRO-HはX線観測衛星の残骸。2016年2月の打ち上げから追っかけているが、現在は白井選手顔負けのヒネリ技をしながら飛んでいる。
ひとみに関する状況解析などは、JAXAのプレスリリース2016年5月~6月あたりに複数出されている。すばる望遠鏡による写真もある。

冒頭画像は、動画撮影したものを合成処理などし、Blogger用に縮小したもの。おおむね、下が北、右が東になる。
映像処理にAviUtl、比較明合成にKikuchiMagick、追記にMSPaint、縮小にBTJ32、フォントはあずきフォントを使用した。

2016年11月2017年1月あたりでは、比較的広角で撮っている。特徴的な光跡ではあるが見栄えはいまいち。日周運動と似た方向なのでなおさら。
望遠にしても所詮は100mmクラス。紙芝居動画(2016年12月)にすれば見易くはなるが、やはりリアリティに乏しい。
じゃぁ動画で(2017年3月)と挑むも、暗すぎて存在を確認するのがやっと。

行き詰っていたのだが、先日のデジファミスコでのテラサー撮影で気づいた。そういえば極限等級(撮影限界等級)はfに依存するんだった。
春霞や月明かり、デジファミスコの解像度からすれば、理想値からはだいぶ落ちる。とはいえ、カメラ単体より十分稼げるのではないか。

実際、6等星が液晶で確認でき、撮像からは8.5等クラスまで検出ができた。1フレームの露出時間は、1/50秒程度と思われる。
なお、星の明るさデータなどは、SatelliteTrackerの星空モード、およびCalSkyのDeep-Skyページなどで得た。

ちなみに理論上の理想値は、mp = 3.0 + 5log fで計算すると、15.2等星になる。


2018/2/23 ASTRO-H@うさぎ座(デジファミスコ:合成f=1300mm相当)

浜松市北区では、最も条件がいいときで仰角51°になる。
今サイクルでは、19、20日が最高条件。撮影はその3日後で、仰角34°で春霞、かつ半月がすぐそばにいる。うさぎ座β星を見つけるのに一苦労する空。とはいえ超拡大撮影なので影響は少ないだろうと敢行した。
肉眼では、エリダヌス座で小フレアらしきものを確認できただけで、ほぼ見えなかった。3等星かそれ以下だったと思われる。

じつは21日にも撮影をしたのだが、合成f=1400mm相当では、点滅の1サイクルが収まりきらなかった。
今回はカメラの焦点距離を100mmまで落として1300mm相当とし、衛星自体もやや遠くなったことで、1・1/4サイクル程度写しこむことができた。
ちなみにカメラの焦点距離は、一定程度までしか落とせない。有限口径の接眼レンズをカメラレンズが覗く、という構造上、ケラレが生じない程度までに制限される。

JAXAのページによれば、人工衛星の高度と速度との関係は、以下の式で概算できるとある。
V = (398600/(6378+H))1/2

23日の衛星の高度は574km。7.57km/sと計算できる。
ひとみが撮影範囲を横切った時間は3.94秒。29.8km移動したことになる。

ひとみの点滅は、黒文字で書き込んだように4拍1サイクル。ここから1サイクルを正確に読み取るのは難しいが、おおむね3.08秒とすれば、23.3km移動する間に4回光る面をこちらに向けている計算になる。
ただ、常にこの明るさの変化というわけではなく、明るさのピークが変わったり、フレアが起きたりもする。位相角の変化もあるが、複数軸に対して回転していることが想像される。

前述プレスリリース内では、当初観測によるひとみの光度変化は、1.305秒毎(5.22秒に4拍)とある。各ピーク間にも小ピークがあり、仮にこれが明るくなったとすると0.6525秒/拍になる。
今回撮影のものを数えると、0.769秒/拍。誤差にしては大きい。何か変化が起きているんだろうか。

いろいろ計算して間違いが心配なので、別方面からの検算もしてみた。
β星と6等星との離角は0.636°0.63°。そこから写角対角は1.89°1.88°と出る。これは35mm換算でf=1300mm強に相当する。
ひとみが写っている間の移動距離は29.8km。観測地から衛星までは943kmあった。ひとみの移動距離に相当する角度は1.81°となり、対角よりやや小さい。
正しそうだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

.

関連記事


この記事へのリンク by 関連記事、被リンク記事をリストアップする」記事

ブログ アーカイブ