ここまで暑いとあの辺りでも真夏日か、などと朦朧としながら雑草までがチリチリになった畑に水を撒いている。
昨年は神坂峠に行きつけたが、今年は長野県のしらびそ高原方面へ出向いてみた。10余年前に行って以来。
1900mの高原から下栗の里へ下る林道・御池山線で、かつていくつかのサンプルをいただいている。
浜松ではほとんど見ないミヤママタタビは、そこかしこに生えており、鉢植えでも何度か実りを見せてくれた。
葉がピンク色になるマタタビなのだが、実の形状はサルナシに近い。マタタビ科の例に漏れず、雌雄異株で挿木で容易に増やせる。
キイチゴ類では、これこそミヤマニガイチゴ(Rubus subcrataegifolius)だ、と言わんばかりの、細身3裂で丁の字の葉を持つ株を見た。
ミヤマウラジロイチゴ(R. idaeus ssp. nipponicus)と間違えたクロイチゴ(R. mesogaeus)も、昨年枯死が発覚するまで、クソ暑い浜松で12年も元気でいてくれた。
そのとき採取したクロイチゴ株は、以下のストリートビューで確認できる。ちなみにキイチゴ類も、容易とはいえないが挿木が可能。
中央の黄緑色の茂みが、件のクロイチゴ株(標高1750m)
出かけたのは夏至翌日の6/22、および半月後の7/6の2日間……の予定だったが、盆明けの8/16にも行くことになった。この日は大雨警報で船明が水没している。
目論見としては、まずは枯死したクロイチゴの補充。ついでに神坂峠との比較などもできれば。
1日追加になったのは、6月採取のクロイチゴ挿木が全滅してしまったため。10余年前に成功した時は8月採取だった。実生用に熟果を確保したかったこともある。わずかな生り残りしかなかったが。
ちなみにGoogleMapに道案内させると、三遠南信からR151、阿南でR418へ、というルートが示される。R418はかなりの狭隘部があるので、浜松市街から出向くなら水窪経由で兵越峠を乗り越えていく方が無難、かつ近い。
以前はしらびそから下ったが、今回は南から登っていく。
標高1500mあたりでめぼしいものが見つかったので、そのあたりをターゲットとした。神坂峠も1600mに届かないぐらいなので、ほぼ同環境になる。
1000mクラスの天竜スーパー林道は、季節はひと月半ほど遅れる印象がある。
神坂峠は、モミジイチゴの花が6/1に終わったぐらいだったので、7/10前後が実りの時期と思われる。
御池山林道では、7/6にモミジイチゴの完熟を見ており概ね同じタイミング。夏はふた月遅い。サルナシ満開などからも導ける。
一方で、タラノキの花茎は8/16に展開し終わっていた。秋はひと月早い感じか。
周辺の雑木はあまり見ていないが、食べられそうなものには目がいく。
採る人がいないのか、ウドもタラノキも伸び伸びと成長していた。
片手で握れない太さのヤマブドウが、勢いよく巻き上がっていた。実りはないので、おそらくはオス株。
ミツバアケビやゴヨウアケビも。ただしアケビ見当たらない。北海道には分布しないなど、若干耐寒性が低いようなので、そのせいかもしれない。
8月になると花も多くなる。
ノリウツギ、キツリフネ、ナンバンハコベ、イケマなどが目についた。7月開花だが、ツタウルシに守られたクモキリソウの群落もあった。
キイチゴ類としては、ミヤマニガイチゴが普遍的に生えており、随所にバライチゴ(R. illecebrosus)も群生する。
クマイチゴ(R. crataegifolius)は疎らではあるが数は多い。ついで多いのはモミジイチゴ(R. palmatus)あたりだが、負けないぐらいの数でエビガライチゴ(R. phoenicolasius)とクロイチゴ(R. mesogaeus)も生える。日陰にも吹き付け法面にも大株があり、ごくありふれた雑草のひとつになっていた。
初見のものもあった。
以前クロイチゴと間違ったミヤマウラジロイチゴがひと群落あった。よく観察すると、そのうちの多くは葉裏が緑のシナノキイチゴ(R. idaeus ssp. nipponicus f. marmoratus)だった。
6/22は蕾固く、7/6では草刈りに遭うも花期の終わりぐらい。8/16には再度の草刈りでほぼ消滅していたが、熟す寸前と思われる実がわずかに残っていた。
なお「科の木・苺」ではなく「信濃・木苺」とのこと。
神坂峠にはたくさんあったハスノハイチゴ(R. peltatus)は無い。ミヤマモミジイチゴ(R. pseudoacer)も見つけられなかった。
逆に、ミヤマウラジロイチゴは神坂峠では見ていない。
ミヤマニガクマ(仮)などと呼んでいたような株は、こちらでも見られた。
ピントがいまいちだが、軟弱なクマイチゴの例。
【 和名、学名の出典等について 】
- 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
- YListに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
- 交雑種名は、特に著名なものはそれを使うことがある。それ以外は、和名は両親から「イチゴ」を除いた合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先にする。(参考1/参考2)
- 例:カジイチゴ(R. trifidus)を母体にコジキイチゴ(R. sumatranus)の花粉を付けたもの → カジコジキ(R. trifidus × R. sumatranus)
- 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
- 同種が複数株あって区別を要する場合は、和名の後に#番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。株分けなど栄養繁殖個体は枝番号を付し、#1-1などとする。
- この稿末記載は、記事毎に上位互換を意識しつつ改変される可能性があるので注意されたい。
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