パナソニックが、炭素基板上に窒化ガリウム(GaN)薄膜を作る基礎技術を開発した、という記事があった(10/4付日経新聞朝刊11面)。
青色LEDなどに使われるGaNは、現在はサファイア基板を使っている。せいぜい6インチ(15cm)までだが、この技術を使えば1m角の大判の製造も可能で、コストも1/10に下がるという。10数mm角での試作が成功しており、5年以内の実用化を目指す。
調べてみると、Tech-On! ※の9/17付の記事 ※がそれのよう。
今までとの大きな違いは、基板にグラファイトを使うこと。これは「有機ポリマー焼結グラファイトシート」といい、樹脂フィルムを無酸素下3000℃で焼結したもの。厚さは25~100μm。特殊な「炭」であり、炭素原子が6角形に並んで平らな面状になり、それが積層した形になる。
基板の表面をプラズマで粗し、そこに10~20nm厚の窒化アルミニウム(AlN)層を生成、その上にGaN結晶膜を作った。
この技術、パナソニックの開発かというとそうでもなく、2008年2月には東大らのグループが発表 ※している。パナソニックは、プラズマ処理の追加とそれによる品質改善のメカニズムの解明が発見であるとしている。
ちなみにGaNの下地にAlNを使う、というのも新しい話ではなく、青色LED開発初期から使われた手法らしい。
青色LED開発者らに贈られた武田賞の受賞内容(PDF版)の解説が読みやすい。
一般的には、青色LEDは中村氏が発明したと言われるが、実用化、商品化したと言う方が正しいのかもしれない。多くの研究者が「できるはずなのにできなかった」理由を突き詰め、改善し、製品化に適した手法を開発していった功績は「発明」にも匹敵するが。そんな歴史が解りやすく書かれている。
ここではサポート役のAlN自体も発光素子になる。210nmという非常に短い波長の紫外線LEDを、NTTが2006年に発表している。(ニュースリリース/Tech-On! 記事 ※/Google)
空気中では200nmより短い波長は吸収されてしまうため、普通に扱えるもっとも短い波長が出せたことになる。光エネルギーは周波数に比例するので、波長が短いほど力技がこなせるようになる。ダイオキシンなど有害物質の分解、といった応用が見込まれるとのこと。
紫外線は、怪しすぎる水虫治療機やUVEP-ROMの消去などに、殺菌灯の254nmが使われている。UV-C(200~280nm)とも呼ばれ、AlN発光はこのグループになる。生物にも攻撃性が強く危険。宇宙からのこの光は、オゾン層によってシャットアウトされている。
日焼けを起こす紫外線は、UV-B(280~315nm)やUV-A(315~380nm)と呼ばれる。ケミカルランプやブラックライトは、この範疇の352nmが使われている。
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