今の時期、霜雪が本格的になる前に収穫せねばならないため、追い込みに入る。温州青島は晩生で、それでいて年内収穫が基本。あらゆる伝を頼って人を集めるので、お呼びがかかることもある。
遠くには紅葉。深緑の葉陰には黄金色のミカン。鋏で切りとり、ヘタ間際で2度切りして収穫。南面の陽だまりで、深呼吸すれば心地いい柑橘果樹のアロマ。
……な、こともなくはないが、冷たい西風をヤッケで防ぎつつ、採り籠の重さに耐え、先を急ぐお天道様との競争、というのが実際のところ。10日には初霜初氷があり、本格的に冬もやってきた。
ちなみにミカン採りのことを「ミカン切り」と言う。
それもひと段落し、久しぶりの休日。だいぶ葉も落ち、冬芽が育ってきたキイチゴ類を眺めてみた。
トヨラクサイチゴ(Rubus × toyorensis)は、2005年に浜松市西区で採取した。浜名湖畔のその荒れ地では、クサイチゴ(R. hirsutus)やカジイチゴ(R. trifidus)が茂っている。それに負けず劣らず茂っているのがトヨラクサイチゴ。他では北区の松林でも見ている。雑種であるがゆえ、あまり図鑑では見かけないが、牧野図鑑あたりには載っていたはず。
この種はクサイチゴとカジイチゴの雑種(F1)とされる。花は多く咲くものの実はほとんど着かない。ただし5月の記事のように僅かに実ることもあって、それを播いてF2を作ってみた。F2は実着きがよく、同記事にも写真を載せてある。
F2株は2006年と2007年に作成。2株が現存する。花や実は似たような感じだったが、葉が落ち骨組が見えると、ちょっと雰囲気が違っていた。
2006版は、比較的立性で親のトヨラクサイチゴに似た雰囲気を持つ。小葉はやや膨らみ気味だが3出掌状。一方で2007版は、クサイチゴのように緩く枝垂れる風。小葉は同様だが、はっきりと3出羽状複葉になる。ただし、いずれも巨大な葉が出るには至ってないため、掌状と羽状に分かれているのか、それ以降の裂の入り方はどうなのか、などは判らない。また、多種のキイチゴ類が隣り合わせで置かれているため、それぞれが別の父親という可能性もありえる。
ちなみにトゲはいずれもまばらに持つ。トヨラクサイチゴでも僅かに存在するが、明らかにそれよりは多い。
この夏に入手した株たちも順調。
挿し木のミヤマウラジロイチゴ(R. idaeus ssp. nipponicus)はほぼ着いたようだが、挿し木なだけに大きな変化はない。来年のシュートで再来年には、というところ。
※ ミヤマウラジロイチゴはクロイチゴと判明
ミヤマニガイチゴ(R. subcrataegifolius)は、尖った冬芽を作っている。新シュートを根付きで植えられ、それが問題なく根付いたようで、来春にも期待ができそう。
ニガイチゴ(R. microphyllus)同様、白く粉を噴いたような茎をしている。葉が細長くT形である以外は違いを感じない。ニガイチゴの変種扱いをされたのも解る。
ハスノハイチゴ(R. peltatus)は、植えたあとでシュートが伸び、そこに冬芽を作った。先月の記事の頃には目立っておらず、ひと月で一気に大きくなった感。
これも茎に白粉を付けたようで、茎自体の色合いも独特。
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