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ネナシカズラの葉緑素(1)のつづき。

前編記事
クロロフィルの検出は、蛍光を見るほかに、ペーパークロマトグラフィで分離させる方法もある。
要は、紙に体よく滲ませて模様を眺める、というもの。

紙の端よりに試料を置き、その端部から展開剤(溶媒)を染みこませる。溶媒は、試料を溶かし含んだ状態で染み広がっていく。試料の中の各成分は、溶媒への溶けやすさの違いから、成分ごとにある程度運ばれた位置で紙に付着していく。
色素ごとに分離されるので、たとえ真っ赤な溶液からでも、緑色を取り出すことができる。

例の参考サイトによれば、ペーパータオルなどでもできるようだが、濾紙の手持ちがあるのでこれを使った。あれこれ試したが、多試料をいっぺんに扱うより、短冊でひとつずつ行った方が何かと楽。
溶媒にはキシレンを使った。購入には印鑑が要る。顕微鏡レンズの掃除に必須なのでストックしてある。マジックインキの臭いの透明な液体。容器は、200mlのマヨネーズ瓶を使う。

濾紙の隅をカットしたら、端から2cm程度のところに鉛筆で基準線を引き、そこに試料を着ける。試料は、水分をふき取り、押しつぶして、濾紙にそれ自身の汁気を染みこませる。ネナシカズラの赤い部分などは硬くて難しい。鉛筆のお尻側の丸い部分などで、弾かないように且つしっかりと押し潰す。適量があり、少な過ぎては当然まずいが、たくさん押しつぶしても意味はない。
十分染みたところで乾燥させる。溶媒は疎水性なので、生乾きはよろしくない。ドライヤーの熱風で、という記述もあるが、扇風機で30分ほど常温乾燥させた。
マヨネーズ瓶の底に5mmほどのキシレンを入れ、作成した濾紙を縦にして入れ、蓋をする。下からどんどん染みていきつつ、色が滲み分離されていく。5分前後で上端近くまで来る。達する手前で取り出し、溶媒の染みた範囲を印してから、溶媒を乾かす。マジックのそれと同じなので、けっこう早く乾く。
乾いたらすぐ撮影。どんどん退色するので急ぐ。数時間経つとほぼ消えてしまう。

基本的に、カロテン類は溶媒にめいっぱい運ばれ、クロロフィルは途中下車する。
マルバルコウの葉には、満遍なく色素が含まれる。くっきり分離はされないが、色合いからカロテン類やクロロフィル類が大雑把には判る。ただし、乾かしてみるとクロロフィルしか判らない。
ネナシカズラ先端にも、いろいろ含まれる。カロテン類がやや多い印象。うっすら緑色のクロロフィルらしきものも見える。マルバルコウと同じあたりに付着しているので、間違いは無さそう。
ネナシカズラの赤い部分には、カロテン類が多い。色合いが判らない程度にかすかだが、クロロフィルと同じ位置に痕跡も認められた。ごく僅かには含んでいると思われる。

色素が退色することを知らず、詳細な観察をする前に消えてしまった。まともに撮れたのは、比較的早い時間にとりあえず撮った1枚だけ。


カットし、記入

試料を潰し着ける

丸めて展開剤に浸す

どんどん染み上がる

マルバルコウ葉、ネナシ先端、ネナシ赤身

濾紙への直押し潰しはやりにくい。あらかじめ乳鉢で磨り潰してみた。

いい感じのペーストになるかと思いきや、特にネナシカズラ先端部は、暗褐色のもずく色の物体に変わってしまった。試しに展開させてみたが、色素がまったく出ない。
構造的に出にくく変化したのかも、ということで、エタノールを加えてみたものの、やっぱり出ず。生乾きでは言わずもがな。モズク色は、溶けない他の物質に変わってしまったらしい。
比較的早く吸収され乾燥される直付けなら無事ということは、酵素か何かの影響かもしれない。ネナシ赤身では、ほのかに何かしら出ているので、それは先端部に多く含まれる。

そこで、変色しやすいネナシカズラ先端部を、5分ほど茹でてから磨り潰してみた。結果は鮮やかな黄緑色のまま。クロマトグラムも出る。ただ、生のときと緑色の位置が異なる。茹で汁にも少し色が出ている。
煮出し成分がもったいない気がしたので、空の試験管に入れ、熱い雰囲気(90℃以上)下で10分蒸してから、同様に行ってもみた。結果は、茹でと大差なく。理由は判らないが、緑の位置は、熱を加えると変わるよう。

最後は、ネナシカズラ赤身、ネナシカズラ先端、マルバルコウの葉を、あらためて生で直潰しして比較したもの。
マルバルコウは満遍なく。ネナシカズラ先端は、クロロフィルが多く見える。ネナシカズラ赤身も、写真では判りにくいがかずかにその位置に痕跡があった。
最後は、濾紙の短冊形へのカット方法。


「乳鉢で磨り潰した」版

ネナシ先端を乳鉢で潰すとモズク色(含エタノール)

モズク色の準備状態(含エタノール)

生乾きのモズク色の準備状態(含エタノール)

直潰しならきれい

直潰しを引き上げた直後

茹では変色しない(含エタノール)

茹で潰しの途中経過(含エタノール)

茹では、緑色が高い位置になる

蒸し物も、茹でに似る

あらためて直生潰し同士で比較

濾紙はこんな風にカット

紙ではなく、TLCシートを使った薄層クロマトグラフィという方法もあるとか。
水分を極力除去し、抽出液を用いて小さなスポットを作ってやると、かなりくっきりと分離されるらしい。

蛍光実験で抽出液はできているので、これを濾紙につけて試してみた。1滴、という単位で垂らすと、かなり大きく広がってしまう。ピペットの先に少し顔を出させて瞬間付け、乾いたらまた同様に、を数回繰り返す。送風だけでは渇きが悪いので、ドライヤの熱風乾燥なども試みた。
どうやっても、スポットは1cmを越えてしまう。本来は、毛細管やマイクロピペットで行うものらしい。

展開してみると、けっこう鮮やかに広がっていく。
マルバルコウのクロロフィルは、2色に別れて見える。また、マルバルコウ蔓とネナシカズラ先端とでは、いずれも薄緑ながら、出現位置が異なる。葉には両方含まれる別種のものが、各々には含まれるのかもしれない。
ネナシカズラ赤身は、アントシアニンらしいサツマイモ色の滲みが、美しく残る。

熱風乾燥の方は、送風乾燥より多くの抽出液を滴下できた。期待したのだが、結果は芳しくなく。乾きが良いことで調子に乗って、熱を加え過ぎたのかもしれない。

もう少しなんとかしてスポットが小さくできれば、ペーパーでもそれなりの結果が得られそうな予感はする。
ただ、この溶液は加熱して得られたもの。磨り潰しでは加熱で結果が変化した。こちらも何かしら変わっている可能性はある。


送風乾燥版
エタノールによるクロマトグラフ状態

カラフルな持ち上がり

クロロフィルも種類で分離?

熱風乾燥版
乾く瞬間の大きさのリングが残る

思いのほかイマイチな結果

いずれの実験でも、ネナシカズラにクロロフィルは存在しそう、という結果になった。
量としては、葉とは比べものにならず、マルバルコウの蔓部分よりも少ないかもしれない。もしかすると、クロロフィルではあっても、種類が違うのかもしれない。

十分量ではないにしろ、緑に見える植物なんだから、葉緑素は持っていて当然、というところか。



使用機材は以下の通り。

キシレンは薬局で印鑑持参で、ピュアウォーターはホームセンターで、LEDは秋月電子通商で、アルコール類はアマゾンで購入した。
それ以外の実験用具の類は、ニシキ商会モノタロウで通販購入。
  • ビーカー 200ml
  • 試験管 B-15、φ15mm、150mm、リップ、18ml
  • マルチ試験管立て 8588
  • シャーレ 焼口、並、φ90mm
  • 駒込ピペット 10ml
  • シリコンスポイト 10ml用、6-356-04
  • UMサンプル瓶(マヨネーズ瓶) 200ml
  • 磁製乳鉢 90mm
  • 広口洗浄瓶 500ml
  • アルコールランプ
  • アルコールランプ台 (@15カット合板、自作)
  • セラミック金網
  • バーナー用三脚
  • 定性ろ紙 #2、φ110mm
  • キシレン
  • 燃料用アルコール(執筆時で\285-)
  • 無水エタノール(執筆時で\963-)
  • 精製水(ピジョン・ピュアウォーター)
  • LED
  • 水道水、アルミホイル、鋏、懐中電灯、LED懐中電灯、定電流電源 (自作)など

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