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2015/10/25 ISS

2015/10/18 天宮1号
夜通し天を仰いでいると、暗い光点がゆっくり動いて行くのが見えたりして、薄明が近づいてきたのを感じたもの。最近では、ISSを撮ったり、HTV5を見送ったりもした。

そのHTV5の予習でみつけたサイト、Heavens-Above。ここではISS予報だけでなく、いろいろな衛星の情報、イリジウム・フレアと呼ばれる現象の予報なども見られる。とりあえず、いくつか撮ってみた。

10/25のISS(国際宇宙ステーション/International Space Station)は、このとき-2.7等予報。明るい星はアルタイル。右端あたりで最大光度になるが、スピードがあるので線が伸び、写真では左端の方が明るく写っている。ISSは条件が良ければ金星クラスに輝く。

天宮1号は、中国の宇宙ステーションもどき。10/18はかなり条件が良く、1.0等の予報。実際にはデネブより暗く、1等台後半だった。ISS(約400km)より低い350kmほどの軌道なので、その分動きも速い。
ガンマ補正を猛烈にかけているので、背景ノイズが浮き出て見える。そのノイズが直線状に濃くなっているところが天宮の軌跡。6等が限界のデジカメでは、この程度にしか写らない。
軌跡はノイズの濃淡レベルでしかないので、平均コンポジットでも、比較明合成でも、背景に埋もれてしまう。画質改善の手立てなし。

このほかにも、Lacrosseロケットとか、SkyMed 2OTV4などなど、いくつか眼視確認はできた。が、撮れないか、撮れてもせいぜい天宮クラスの画質にしかならなかった。感度が圧倒的に足りない。
ちなみにOTVは、1等クラスの予報が時々あるが、ほぼ間違いなく3等級にしか見えない。




マイナス等級になる人工衛星はISSぐらいしかないが、ごく短時間であればイリジウム・フレアというものがある。
衛星電話用の衛星で、反射率の高い大きなアンテナを3枚積んでいる。太陽の位置とその角度とがうまくハマると、金星を凌ぐ輝きを放つ。-8等などの予報も珍しくない。

なおイリジウム衛星については、「Iridium nnx」の形式で記述する。nnは衛星の番号、xはアンテナの種類で、R=右、L=左、F=前方、とする。衛星の進行方向を向いて、前にあるのがF、左右がそれぞれL、Rになる。


2015/11/3 Iridium 14R

2015/11/24 Iridium 25R

11/3のイリジウム14は、早朝、北極星近くで見えたもの。
フレアセンターでの予報は-6等。センターの地まで出向いての撮影。金星クラスの輝きで予報どおり。
暗夜だったので、肉眼では1分前ぐらいから3等クラスで移動してくるのを確認できた。

デジカメ画像では、フレアの最中にちょうどインターバルが挟まってしまった。
デジカムでは、星が全然映っていない。写野が少し狭いが、フレア右下あたりに北極星がある……ハズだが、まったく見えない。

11/24のイリジウム25は、日没直後のもの。-6等予報。
太陽高度は-2.3°で、周囲はまだ明るい。車のライトも、点けてない人が多い状況。空も青い。

方位と高度で位置合わせをして、昼間と同じ設定で撮影。肉眼では確認できなかったが、辛うじて映っていはいた。

後日、太陽高度0°(実際には山並みから出てない)、-8等予報を見る機会があった。これは肉眼で容易に確認できた。
太陽が昇った状態での-7~-8等予報にも何度か挑戦しているが、こちらは眼視でも撮影でも成功していない。





Heavens-above予報(上半分)

Heavens-above予報(下半分)

Satellite Tracker 3D

殿中山山頂からの見え方(85mm相当)
この特異なイリジウムのアンテナ。写真などからすると、大きな平面(鏡面)が120°ずらしで3方に向き、さらに地面に並行ではなく斜めに跳ね上げてある。
軌道はほぼ南北で、前方アンテナ方向へ進む。右アンテナは右後方、左アンテナは左後方に向くことになる。

この位置関係から、左右アンテナでのフレアが明るく見える。実際に、フレアセンターにおける-7~-8等のような予報は、すべて左右アンテナによる。ちなみに、夕方南行と明方北行が右アンテナ、その逆が左アンテナになる。
前方アンテナは、太陽光に並行に近い位置になりやすい。地上には緩い角度で反射するため、距離が長くなりスポットも大きくなる。光度は、-5~-6等程度と暗め。
左右アンテナは明るいが、見える範囲は狭い。フレアセンターから2桁km中盤がせいぜい。前方アンテナでは、200kmを越える予報がたまにある。

1/9 17:44:42に、Iridium 35Fによるフレアがあった。静岡県西部からは、0等級、西の低空11°あたりの予報。フレアセンターは関西か九州か……と調べてみると、逆に200km以上東の房総半島。茂原市から野々塚・殿中山などを通るあたり。
理解に苦しんだが、どうやら太陽は西の地平線下、衛星もはるか西にあり、かなり緩~い角度で反射して千葉県を照らしている模様。そしてその途中から眺めている構図。

Heavens-aboveで、どの範囲まで予報が出るか試してみた。遠くは蒲郡市あたりで高度12°、フレアセンターまでの距離262km、光度1.0等。近くは三島市で10°、115km、-1.9等。これ以上暗い、もしくは低いと、予報に出ないらしい。フレアセンターでは-5.3等だが、高度は8.5°ぐらいになるはず。
この確認は記事執筆時に行ったが、実は以前見た予報とは微妙に変わっている。見える時刻が5秒違うだけだが、軌道の調整が行われた可能性がある。予報が出る範囲も、彦根市~沼津市あたりだったような気がするが、記憶は定かではない。フレア予報が外れて暗いまま通過、ということも実際にあった。

この様子は、立体的に見られる「Satellite Tracker 3D」で眺めると、雰囲気が掴みやすい。フレア時の衛星は、中国の青島~西安の中間あたり上空にいる。
衛星から延びた直線が刺さる地がその場所。そこから仰角ごとに同心円が描かれる。内側から、点線が75°、実線が60°、点線が45°……択捉島をかすめる実線が0°になる。
当地はオレンジの実線より西にあるので、まだ夕日が残っている。点線との間にある日本は薄明中。

実際の殿中山では眺望は無いらしいが、山々の位置関係からすると富士山が見通せる。
このイリジウムフレアは、その富士山の真上、高度8.5°あたりを、左方向へ動いていったはず。最後の画像は、それを画にしてみたもの。


ちなみにイリジウム衛星は、新型に更新されるという話がある。
2014年の記事では、昨年初旬から打ち上げが始まっているはずだが、こちらの記事(英語)では2016とある。
新型のIridium-NEXTは、めぼしい反射鏡を持っていないらしい。更新が遅れているとはいえ、近い将来「イリジウム・フレア」は見られなくなりそう。


当記事では、画像のコンポジットにはYimg、ダーク引き、フィルタ掛け、映像処理等はAviUtl、山並みの描画はカシミール3D、ちょっとした編集追記等にはMSPaintを使用した。

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