この純正品は3000円前後で売られている。一方で、互換、対応などと謳うものは1000円を切る。価格に釣られて、そのひとつを購入してみた。
選ばれし対象は、DSTEブランドの互換バッテリ2個+充電器セット。1280円なので、充電器が300円、バッテリが1個500円、といったあたりか。
2300mAhを謳っており、なんと純正の28%増しらしい。Made in Chinaだが、これは純正品も同様。
アマゾンレビューを見ると、この電池、えてして評判がよろしくない。7割容量とか、1000mAhしかないとか。
イメージしやすいであろう実使用に於いて、可能な限り定量的に、純正品と比べてみることとした。
まずは充電。
試験電池をカメラにセットしたら、USBケーブルで充電する。充電ランプが消えたら、ケーブルを挿しなおして再充電。これは、時間切れ充電終了などの可能性を排除するため。
そして放電。
カメラで満充電にしたら、TL(タイムラプス)モードで電池が切れるまで撮影を行う。撮れた映像を確認すれば、電池が持った時間が判る、という寸法。
TLモード撮影の各種設定は、1秒インターバル、FullHD、f=28mm相当、マニュアルフォーカス、太陽光WB、その他はデフォルト。
レンズには、58mmチューブ(デジファミスコで使っているもの)を介してVU50キャップをはめ、真っ暗闇の撮影とする。これは、エンコードでの電力消費を同条件にするため。できるファイルが小さくなるであろう、という思惑も含む。
さらには、エコモード:切、液晶設定:+2、スリープ:切、とする。これは、より電気を食わせて、より早く結果を得るため。
計測の結果は以下のようになった。
対象電池 | 1回目計測(f) | 2回目計測(f) | 備考 |
---|---|---|---|
純正品 | 9660 | - | 1年4ヶ月使用、気温13℃ |
互換品A | 5322 | 5270 | 新品、気温15~16℃ |
互換品B | 5509 | 5548 | 新品、気温21℃ |
計測値のfは、撮れた映像の総フレーム数。1秒インターバルで撮っているので、そのまま秒に読み替えれば電池が生きていた時間になる。
気温は高い方が、電池の使用可能容量は増えるという。互換品2つが同等品とすると、その差なのかもしれない。
純正品はすでに中古で、しかも気温条件は最も悪い。にもかかわらずダントツの持ち。液晶設定:-1、スリープ:入、の設定で14000f超撮れた実績もある。
互換品はおおむね、純正の半分強のよう。レビューにあった1000mAhというのは、今回のテスト結果によく合う。
予想通りといえば予想通りの結果なのだが、容量半分とはいえ臨時のつなぎには十分使える。
そして、なんといっても安い。容量単価は軽く半分以下。もちろん、寿命が普通にあれば、の話ではあるが。
2022/11/23追記:
同条件であればフレーム数での比較も意味はあるが、電池の持ちはフレーム数でなく実働時間の方がはるかに効く。
液晶輝度を最大にし省電力機能を一切使わなければ、エコに振った設定のときの3/4程度の持ち時間になる。
その他の計測値もまとめておく。
対象電池 | 電池重量(g) | +-間電圧(V) | +T間電圧(V) | -T間電圧(V) | -T間抵抗(Ω)@19℃ | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
純正品 | 37.67 | 4.17 | 4.12 | 0.00 | 113k→111k | 抵抗値は計測中に変化。人肌に暖めると80kΩ台。 |
互換品A | 30.00 | 4.16 | 4.12 | 0.00 | 101.2k | 抵抗値は常に安定。 |
互換品B | 30.17 | 4.18 | 4.14 | 0.00 | 99.4k | 抵抗値は常に安定。 |
電池重量は純正品が重い。互換品もあからさまに軽いわけではないが、持ち比べると判る。
中身の量の差が、電池容量差に現れているのかもしれない。
各端子間の電位差には、特段の差は見られない。開放電圧であるので、いくらかの負荷をつなげば、変わってくる可能性もある。
+T間電圧は、テスタの内部抵抗とサーミスタとで電池電圧が分圧されているのだろうと想像する。-T間電圧は、片側オープンのサーミスタの両端電圧なので、0Vになる。
T端子と-端子との間には、NTCサーミスタがつながっているという。
純正品では、計測中にも変化が見られた。テスタの計測電流で僅かに発熱し、反応したものと思われる。
また人肌に暖めるだけで、80kΩ台まで下がった。計測しているうちに室温になじんでいくので、抵抗値は上がっていった。
一方で、互換品はいたって安定。100kΩ5%あたりがつながっているだけの様子。
リチウムイオン電池のサーミスタについては、ネット上では10kΩ前後の記述がよく見られる。ためしにガラケーのバッテリで確認したところ、11kΩだった。
NP-130で10倍の抵抗値を使っているのは、汎用充電器除けなのか、温度計測電流すらもったいないと思ったのか……真相は不明。
互換品は固定抵抗がつながっているだけのようなので、極端な雰囲気温度での充電や本気の急速充電は、やめた方がいいかもしれない。電池が悲鳴を上げても、それを知る術がない。
カメラや純正充電器であれば600mA以下なので、通常の環境で充電する分には問題は起きないだろうが。
外観形状、端子の様子などは、互換品も遜色ない。
純正は表裏で上下が揃う印刷にしてあるが、互換品はそこまで気が配れていない。
見てくれはしっかり化粧しているが、安さにはやはり理由がありそう。そしてそれは、自作工作などでの参考にもなる。
互換品はいろんなブランドが安さを競っている。これだけのメーカがあるはずもないので、設計製造元はひとつふたつで、大量生産&ラベルだけ別、という中華電子モノによくあるパターンと想像する。
とすれば、数100円で並ぶ互換電池らは、軒並み今回と同等性能ということになる。
ちなみに今回は、付属の充電器は使わなかった。
リチウムイオン電池の標準的な充電方法は、CC-CV(constant current-constant voltage:定電流-定電圧)方式とされる。
しかしネット情報によれば、中華な充電器の中身はかなり変化に富むらしい。近いうちに調べてみたい。
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