実装済み基板から部品を外したいことがある。
コテを片手に、もう片手で外したりするが、多ピンのものになると難しい。吸取線やスッポンなどでハンダをきれいに除去してから、と思っても、僅かに残るそれが意外と丈夫で、パターンが剥がれたりする。もっとずっと融けていてほしい。
まずはヒートガンやリフロー炉でしっかり炙る方法。道具さえあればそのまま外せるので一番のお勧め。
道具がない場合にはオーブントースターで代用したり、油で揚げてしまったり、という人もいる。いろいろ問題な問題に目をつぶれば、たいていの家で実行可能。
別の視点から、ハンダ自体を融けやすくする方法。たとえば共晶ハンダは183℃で融けるが、低温ハンダで付け直せば、普段より永くぐずぐずでいるだろう、と。
元祖の舶来ものではCHIP QUICK、サンハヤトからは表面実装部品取り外しキットSMD-21が商品化されている。聞くところによれば、融点が40℃台の合金とのこと。高価なのでインジウム入りなのかもしれない。Sn18%Bi43%Pb28%Cd11%との話もあるが、いまどきCdは使わないだろう。もし後者なら融点は70℃程度か。
そこまで低くなくてよければ、模型屋のホワイトメタルで代用することもできる。たとえばモリタでは、#301低温ハンダや#500低融点合金(いずれもSn16%Bi52%Pb32%融点95℃)がある。これならかなり安上がり。
大きめのインゴットなら材料屋ドットコムにもある。数kg以上なら、ハンダや合金を扱う会社で、指定の組成で作ってもらえるらしい。より低温を実現するには、レアメタルであるインジウム(2002年初頭で3万円/kgとのこと。現在は15万円超あたりか)を使うことになるので、かなり高くなる。
2003年初頭に購入したもの。
針金状のが低温ハンダ、取説付き、フラックス無し。40cm弱、40g強。断面は、幅3mm高さ2mm程度のかまぼこ型。やや脆く簡単に折れる。
フロッピ(大きさ参考用)の上に乗っているのが低融点合金。20×30×5の角が取れた台形。天面にMORITAの刻印。25g弱。離型材(タルク)の小袋がついてくる。
いずれも表面に部分的に金属結晶が見える。
当時のDRAM爆安相場のときに、1000円台で128MB DIMMが買えたので剥がしてみた。
MoselVitelic製128MbitSDR-SDRAM、0.8mmピッチ54ピンTSOP(II)。
元のハンダを融かしながら低温ハンダを多めに流し込む。元のハンダと低温ハンダとが混ざるように、しっかりコテを当てる。全ピンに行い、ハンダブリッジでモリモリにする。もう一度ブリッジ全体にこてを当てまわし、全体が融けた状態にしてからコテ先でつつく。
あとは普通のフラックスをたっぷりつけて、コテを当てればピンはきれいになる。次の基板にハンダ付けする際に低温ハンダ成分が含まれると好ましくないので、きれいにしておく。
ちなみに、同じことを普通のハンダで試してみたが、すぐ固まってしまって無理だった。十分に低融点が発揮されているようだ。
ハンダ関連の参考になるページ
- ハンダマニアックス:ハンダとハンダ付けについて詳しく解りやすい。
- ハンダ付け職人のハンダ付けblog:実践中心で詳しく解りやすい。
- 鋳物ってなに?(用語解説):低融点合金例多数。鋳物間連用語も。
- 低融点合金:低融点合金の例がいくつかある。
0 件のコメント:
コメントを投稿
.