立須の裏に風力発電の風車が建ったようだ。正月に通りがかったときには、1基目のアンカーリングが据え付けられた状態(別会社の説明ページ)だった。
市内引佐町にはスズキが自家用に建てたもの(40kW:写真)があるらしいが、商用発電は初。
スズキ湖西工場の2基合計より大きな2MWの風車を10基。北区引佐町三岳から同滝沢町の宇津峠へかけて、尾根伝いにずらっと並べる。現在は西端の立須入口から3基が建ち、少し離れたところに4基目を作っている最中。この尾根伝いの林道八辻線は6月いっぱいまで通行止め。
右端の紅白のクレーンと共に立っている棒が4基目。視覚的圧迫感を減らすため、一般的な白でなくライトグレーにしたという。
しかし、歪曲収差と周辺減光を補正するツールがほしい……
資料らしい資料がないので、議事録からの推測まとめ。
事業主体はSPC(特別目的会社)である豊浦風力発電(株)。(株)日立エンジニアリング・アンド・サービス、(株)新エネルギー技術研究所、堀川(株)が出資している。実体は日立エンジおよび新エネ技研で、監視管理などは日立エンジが遠隔で行う。
初期投資56億円のうち、補助金16億円を除く残りは日立キャピタル(株)からのリースである。そのため経済産業省への補助金申請などは、日立キャピタルと豊浦風力の連名としている。日立キャピタルが独エネルコン社より設備を購入し、豊浦風力へ40億円で20年リース、ということか。
借地契約などは、また別のふそう風力発電(株)が行う。現地の林地開発許可標識の申請者は、日立キャピタルとふそう風力になっている。この標識にある連絡先電話番号は日立エンジの新エネルギー本部になっていることから、ふそう風力の実体も豊浦風力とほぼ同等と思われる。
借地期間は20年。売電契約は17年。期間満了後は、撤退する場合には完全撤去、継続する場合には基礎などは継続使用し、風車を置き換えることを想定。
工事用に、5mに満たない道路は拡幅し、工事終了後にはガードレールなどはもとの位置に戻す。現在、三岳山の川名側を拡幅して使用している。
このあたりは猛禽類のサシバの渡りルートである。500m以内ではないが3つがいのオオタカの営巣も確認している。ちなみに浜北新都市開発(きらりタウン浜北)でも、1つがいの営巣が見られたという。よく話題に上るバードストライクに関しては、環境省も2007年度から3年かけて調査を行うなど取り組みが遅れており、データがない。運用後、初年度1年間は目視を含めて観察を約束。
本件とは別に、J-POWER 電源開発(株)は、天竜区竜頭山周辺の尾根伝いに、2.3MW×38基、87.4MWを計画。最大41基設置の可能性も出たが、最終的には32基に落ち着いた模様。
こちらは1000m級の尾根への設置で、規模もはるかに大きい。工事道路は、天竜スーパー林道と春野町からの林道久保田線の利用を予定。細い道、急カーブは拡幅が必要で、風車自体よりこちらのほうが大掛かりな工事になりそう。環境影響評価部会でも、かなり厳しくツッコミを入れているようで、ここはしっかりやってほしい。
道路拡幅に関して、一部日本熊森協会の所有地があり、「洋上に設置せよ」などと取り付く島もないらしい。結局、迂回路を新設して工事を進めることになるという。
反対するのはいいとして、計画が進んでしまうことが判ったならば、新設道路でより多くの緑を失うことを避けるのが、自然保護団体の採るべき道ではないか、という気もしないでもない。所有地と迂回路がどのような環境なのか不明なため、単純に判断はできないが。
風車設置の条例がないため、個別案件ごとに評価部会で実質審議する形をとっている。
評価部会では、出された資料を基に審議を進めている。基にしている資料がネット上にないため、審議内容から資料内容を推測するしかないが、ある程度は内容がつかめる。
第1回~第3回が北区ふそう風力の案件、第4回以降は天竜区電源開発の案件が主。
2007/05/10 平成19年度第1回浜松市環境審議会環境影響評価部会
2007/06/18 平成19年度第2回浜松市環境審議会環境影響評価部会
2007/07/09 平成19年度第3回浜松市環境審議会環境影響評価部会
2008/02/08 平成19年度第4回浜松市環境審議会環境影響評価部会
2008/03/26 平成19年度第5回浜松市環境審議会環境影響評価部会
2008/10/20 平成20年度第1回浜松市環境審議会環境影響評価部会(リンク先変更の可能性あり)
環境影響評価部会の上部審議会。
2006/12/11 平成18年度第3回浜松市環境審議会会議録
2007/02/13 平成18年度第4回浜松市環境審議会会議録
2007/07/26 平成19年度第1回浜松市環境審議会
2008/06/19 平成20年度第1回浜松市環境審議会
その他、関わりのある審議会。
2007/07/27 平成19年度第8回浜松市都市景観審議会会議録
2008/01/11 第3回浜松市都市景観審議会会議録
2008/05/19 第4回浜松市都市景観審議会会議録
風力発電に関する条例はないものの、ガイドラインは作られている。ただし、法的拘束力はなく紳士協定である。
完成後に重点を置いているため工事期間についてなど手薄な面も多く、審議会などでも早期の改正が求められている。
2006/08/10制定 浜松市風力発電施設等の建設等に関するガイドライン(PDF)
その他、関連サイト。
風力発電 - 写真共有サイト「フォト蔵」……ふそう風力の現場写真。
春野なんでも情報局 本店:風力発電……春野町情報。電源開発の風力発電関連など。
大好き!「北遠の森」杣人の会(風力発電)……天竜川流域の自然との共生を基軸としたサイト
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