数個から20数個程度、まとまって実をつける。こんな房が10数個。渋めに見ても、150個は固そう。8号鉢で施肥などは他種と同様。シュートの勢いがいいので、1m程度でカットしている。
ブラックベリー・エバーグリーン(R. laciniatus ※)も今日、ひとつだけ熟した。
土手では、ナワシロイチゴ(R. parvifolius)が、咲きつつ赤い実を着けている。カジイチゴ(R. trifidus)はまだ生っている。
昨年の記事や、今年はやや早めなことなどを考えあわせると、まもなくブラックベリー類が熟し、フユイチゴ類の蕾が見えてきて、月末にはバライチゴ(R. illecebrosus)も熟れそう。
先日見つけて、赤くなさそうだと気になっていたニガイチゴ(R. microphyllus)。いい頃合では、と見に行ってきた。
残念ながら、たくさんの果托とわずかな未熟果、および雨ででろでろになりかかったいくつかの完熟果しかなかった。状況からすると、9日の日曜からその後数日間あたりが、見ごろだったよう。
でろでろの実は、やはり赤くなかった。やや黄緑系が入った薄オレンジ色、といった感じ。これがニガイチゴの(学名上の)品種、キミノニガイチゴ(R. microphyllus f. miyakei)だろう。
こんなこともあるだろうと、保険の意味で未熟果の一枝をもらっておいた。花瓶に挿しておいたところ、きれいに熟した。
ちなみに食味は、ごく普通のキイチゴ。種の苦さも、「苦いといえば苦いかもしれない」程度で、ニガイチゴとの差異は認められない。
Ylistで検索してみると、黄色い実の生る赤実種は、5種あるらしい。生える場所に違いはあるものの、いずれもたくさん生えている代表的な種。
以下に、Ylistでの検索結果を記す。
括弧情報は追記したもので、発表年と発見地。いずれもformaレベルの分類であり、単に赤くないだけ、とみてよさそう。
- Rubus crataegifolius Bunge f. xanthocarpus Naruh. キミノクマイチゴ 標準 (1992 石川県金沢市小原町)
- Rubus hirsutus Thunb. f. xanthocarpus (Nakai) Sugim. キミノクサイチゴ 標準 (1961)
- Rubus hirsutus Thunb. var. xanthocarpus Nakai キミノクサイチゴ synonym
- Rubus microphyllus L.f. f. miyakei Naruh. キミノニガイチゴ 標準 (2008 兵庫県姫路市豊富町神谷ダム)
- Rubus parvifolius L. f. flavus Akasawa キミノナワシロイチゴ 標準 (1954)
- Rubus phoenicolasius Maxim. f. aureiceps (Honda) Honda キミノエビガライチゴ 標準 (1936 山梨県三つ峠)
そのキミノニガイチゴ。ググってもほとんど情報はないが、47newsの残骸にその名が出ている。画像はすでになく、記事全文も普通には読めない。WebArchiveにも保存されてなかった。
2008年といえば、ニガイチゴを含めて栽培などに試行錯誤していたころ。生えていたのは、見知った道の脇道。f.に三宅さんではなく、自分の名がついていたかも、などと妄想するのも悪くない。
もっとも、実際に見出されたのははるか昔で15年も前らしい。
次にありそうなのは、キミノバライチゴ、キミノヒメバライチゴあたりか。季節はずれなところから、キミノフユイチゴは盲点かもしれない。
47newsの残骸から、記事全文を取り出すことができたので、以下に貼っておく。
世界唯一?黄色いニガイチゴ 赤と並んで彩り 2009/06/16 10:35 【神戸新聞】
姫路市豊富町の神谷ダム近くで赤と黄色のニガイチゴが実り、ダム池の端を華やかに彩っている。ニガイチゴは日本固有種で、黄色い実のなる株はほかに確認されていないという。
15年前、神戸市立森林植物園職員だった特定非営利活動法人(NPO法人)「自然と友だちになろう」理事長の三宅慎也さんが見つけた。その後、キイチゴ属に詳しい富山大名誉教授の鳴橋直弘さんが標本を見て驚き、現地を調査。昨年9月に新品種「キミノニガイチゴ」と発表した。
神谷ダムを建設する前の状態をとどめた斜面などに株が残っており、直径1~1・5センチの実が鈴なりに。赤い実と黄色い実が隣り合わせに生える茂みは、緑葉に2色が映え、クリスマスツリーのよう。鳴橋さんは「黄色い実は色素の欠如だろう。キイチゴ属ではまれに見られるが、日本固有種のニガイチゴではほかに例がない」と話している。(高田裕司)
【 和名、学名の出典等について 】
- 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
- Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
- 交雑種は、種レベルの扱いがあり特に著名と判断したものはそれを使う。それ以外は独自名を付す。和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先頭にする。
- 例:カジイチゴ(R. trifidus)を母体にコジキイチゴ(R. sumatranus)の花粉を付けたもの → カジコジキ(R. trifidus × R. sumatranus)
- 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
- 同種が複数株ある場合は、和名の後に番号を付す。
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