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ネナシカズラの先端は緑色
大繁茂中のネナシカズラについて調べてみると、根も葉もなく葉緑素も持たない寄生植物、という記述が多い。

寄生、腐生植物の類は、宿主から栄養分をもらうので、光合成をする必要はなく、それはそれで理に適う。実際、蔓の多くの部分は、薄黄や赤っぽい地色に赤黒い斑という、ややグロな姿をしている。
ところが、蔓の先端は必ず黄緑色。根元に向かうにつれ、地色が薄くなっていき、赤い斑が現れ、やがてそれも滲んで地色になっていくイメージ。どう見ても葉緑素は持っていそうだ、ということで調べてみた。

葉緑素(クロロフィル)を検出する簡便な手段としては、ペーパクロマトグラフィ、およびクロロフィル蛍光を見る方法がある、とのこと。これらを、手持ちの物資だけで簡易に行ってみた。
目標レベルとしては、存在が確認できればよし、大小比較などができればなお良し、とする。

調べるのは、ネナシカズラの黄緑色の先端と、それ以外の赤っぽい部分。念のための比較対象として、マルバルコウも一緒に処理する。
マルバルコウは、身近に繁茂しているネナシカズラの近縁であり、確実にクロロフィルを持っていて、ベンチマークに最適と思われるため。葉と蔓とに分けて扱う。

葉はなぜ緑色?-葉の色素の化学」というサイトが、家庭でもできそうな実験方法を紹介しているので、これを参考にする。


まずは蛍光を見る。

クロロフィルを抽出液に溶かし出し、光を当てて蛍光反応を見る。
クロロフィルは本来、光を受けてそのエネルギーを光合成にまわすが、抽出された状態ではそれが叶わないので、熱や蛍光を発することで消費する。
蛍光というとブラックライトをイメージするが、クロロフィルが吸収する光なら良いので、普通の懐中電灯などでも構わない。

抽出には、無水エタノールを使った。70%程度の消毒用エタノールでも可。
対象物を適当に刻み、試験管内にエタノールと一緒に入れる。対象物はだいたい等量に。葉は1枚使う。エタノールは5mlほど。ガラス棒で突いたりしても、細かい泡と多少の色が出る程度。これを湯煎にかける。
参考ページには80℃~90℃でとあるが、この温度ではエタノールが激しく沸騰して怖い。65℃あたりでは反応が鈍いので、70℃台中盤をリミットに、なるべく温度を上げる。沸騰しかかりで泡を出しながら、どんどん色が出る。10分程度続ける。
マルバルコウの葉が濃い緑、蔓が薄緑、ネナシカズラの先端が薄黄緑、ネナシカズラの中程が赤褐色、という具合になる。

早速、懐中電灯を当ててみる。LEDタイプ、電球タイプ、いずれでも反応する。電球タイプは、色温度が低くて反応が見づらいので、基本的にLEDタイプで試した。
また、赤色成分が特殊な「反射」をしている可能性も捨て切れないので、青色LED(8.4cd、470nm)、緑色LED(18cd、525nm)でも試してみた。駆動電流が少なめなので、実際にはその半分程度の光度。

マルバルコウの葉は、驚くほどよく反応する。透き通ったビリジアンの溶液が血の色に染まる。光が当たった側だけが濃赤色になる。
蔓も、薄いながらも反応は見える。ネナシカズラ先端は見づらいが、角度などを調整してうまくすると、薄ピンクっぽく確認できる。ネナシカズラの赤い部分は、もともと赤いので判らない。
クロロフィル蛍光の反応の強さは、葉>>蔓>ネナシ先端、といった印象。ネナシカズラにも、少ないながらも葉緑素はありそう。

色つきLED照射は、反応のはっきりするマルバルコウの葉で試した。
青色LEDでは、赤い発光が見られる。緑色LEDでは見られない。クロロフィルは、赤と青に吸収ピークがあるらしいので、それと合致する。外部光の反射ではなく、自ら濃赤色を発しているのが判る。


エタノールに浸けると色が出始める

湯煎70℃超、赤い斑も溶け出した

葉も同様に、そして冷ます

マルバルコウの葉(別途抽出)/LED懐中電灯

マルバルコウの葉/LED懐中電灯

マルバルコウの蔓/LED懐中電灯

ネナシカズラ先端/LED懐中電灯

マルバルコウの葉/青色LED

マルバルコウの葉/緑色LED

ペーパークロマトグラフィについては、後続の別稿にて。

2 件のコメント:

KOH さんのコメント...

子供たちが小学生の頃、夏休みの自由研究の題材にしました。
花の拡大写真がないと区別できないそうですが、この雰囲気だとアメリカネナシカズラでしょうか。

K-ichi さんのコメント...

在来種のネナシカズラです。
参考になるかわかりませんが、いくつかの記事で花の写真も貼ってあります。

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