since 2007.8 by K-ichi


自作の紅茶
紅茶も緑茶も原料はチャノキ。自家製も可能と聞いて長年企んでいたが、ついに実行に移す日が来た。
例年、ゴールデンウィークのころに茶摘みをする。その手伝いがてら、茶葉をもらってきた。

写真は、試しに淹れてみた様子。カップに直に入れたので、茶葉も見える。いい水色が出ている。


ただし、他人に供する出来にはならなかった。
それ以前に、おのれにも供したくない。正直、不味い。

失敗も情報、ということで。


摘採時の茶葉
やや成長がよく、いわゆる一芯二葉どころではないものが多いが、贅沢は敵だ。古葉で作った人もいる。
摘採時点で、キッチン秤で約100g。帰宅までの半日は、木陰で広げておく。

自作紅茶は、いろんなサイトで各々の製法で作っている。製造業者では伊藤園のサイトが頼れそう。製造工程だけでなく、具体的な数値まで書かれている。
ざっくりまとめれば、萎れさせ(萎凋)、細胞を破壊して(揉捻・玉解き)酵素発酵させ、熱で酵素失活とともに乾燥、となる。1~2日の工程になる。

帰宅時点で、電子秤計測で85.5g。元の計量がいい加減だが、減ってはいるのは間違いなさそう。つまんで立ててみると、一芯二葉あたりまでは自立できない程度に萎れている。


一晩の萎凋後
伊藤園先生によれば、萎凋は半日では足りないらしい。そこで一晩おくことにした。

通気のある室内、室温18℃。翌日の重量は65.5g。摘採から13時間弱。ちょっと足りない気もしたが、工法によっては70%重量で進めたり40%重量だったりと幅があるらしい。
萎れ具合は変わらないが、葉縁や切り口が乾いてきている。時間の都合もあり進める。

この段階で、握ると弾力性がなくフルーティな香りがするらしい……が、普通の茶葉の香りしかしない。
でもきっと、発酵すれば香るだろう。


堅い茎をより分け

茎をすり潰す
茎の部分がやや硬めな感じなので、芽葉と硬い茎とを分ける。
本来は、揉み潰しをし、解しながらこなれたものから次行程へ進めるが、量がないので潰れなさそうな茎を予め潰しておく。

CTC、ローターバンなど機械による製造では、「揉む」のではなく、ともかく刻んで潰してしまうらしい。
潰すなら……すり鉢でいけるんじゃないか!? という考え。


柔らかい部分も投入

すべてをすり潰す
茎は繊維がバラけてふかふかになるぐらいまで潰す。やっていると、だんだん茶色味がかってくる。
残りの芽葉も投入してひたすら潰す。汗だくで30分奮闘して、やっとこなれてきた感が出てくる。

水分が少ないせいか、なかなか潰れた感じがない。玉解きするほど固まらない。
色も変わらない。フルーティな香りもしない。
でもきっと、発酵すれば香るだろう。


袋に密閉して発酵を促す
市指定のゴミ袋に、汲んだ湯とすり鉢を収め、空気を入れて密閉する。室温は24℃。
まもなく袋が曇り、湿度は100%近く保たれているのが判る。

1時間後。なんとなく褐変した感。においは湿った茶渋。

2時間後。さらになんとなく褐変した感。においは湿った茶渋。

冒頭の古葉で紅茶した人は、4時間を想定していた模様。気温はやや低めなのでしばらく置くことにし、労働に出かける。
室温はさらに、プラス2~3℃はいったのではないか。


1時間後

7時間後

一部をキッチンタオルに取り分け

700W30秒でカラッカラ
7時間後。室温24℃。ついに暗褐色に変化。すっかり 腐葉土 紅茶になってる。
においを嗅ぐと……茶渋臭。でも、ソフトな茶渋。

ここで一部をとり、電子レンジで失活乾燥を行い、淹れたのが冒頭の写真。
700W30秒でカリカリに乾く。

本体はさらに4時間置き、合計11時間の発酵時間を取った。室温は22℃。
においを嗅ぐと……やっぱりソフトな茶渋臭。
しかし、どこかで嗅いだことがあるにおい。これはたしか、ティーバッグを5回ぐらい煮出した出涸らしの、あの記憶。

結局、紅茶の片鱗は見えたが、成りきることはなかった。
なお乾燥は、700Wを20秒かけた後、撹拌して湯気を飛ばし冷却、これを10回ぐらい繰り返した。茎の繊維などはカールして、カリカリパリパリになる。


そもそもの萎凋の時点で香らなかったのが謎。
以前、出荷前の茶葉の蒸れたところから、ほのかにいい香りがしたことがあった。萎凋は「蒸し暑い」環境が要るのかもしれない。

すり鉢もポイントかもしれない。
鉢には櫛目がついている。細胞破壊という目的には、荒すぎた可能性もある。

気温も低すぎたかもしれない。
温度指定は、おおむね25~30℃の範囲にあるページが多い。


そんなわけで、再び実験してみた。


新芽1本を使う

乳鉢ですり潰す

密閉して静置する

1h20m後あたりの様子

3h後あたりの様子

4h後あたりの様子

レンジで乾燥

淹れてみた
萎凋してる間はないので、摘みたての生葉を使う。ちなみにこれは、しばらく前に挿し木したチャノキ。まだ30cmに満たない。

すり鉢対策には乳鉢を使う。これで徹底的にすり潰す。
室温は28℃でスタート。汗が滲む。暑い。温度は確保できている。
湿度は、従前どおり密閉で確保する。

まずは15分程かけてすり潰す。潰れたら、湯を少し入れたポリ袋に密閉。この時点での香りは、当然茶葉。室温28℃。
密閉1時間20分後、少し褐変を確認。においは青渋い。もうひとすりしてから、再び密閉。室温29℃。
密閉3時間後、褐変は進むが中途半端。においはやっぱり湿った茶渋。室温28℃。
密閉4時間後、褐変は進んでいるようだがはっきりしない。見た目もにおいも、出涸らしの茶葉な雰囲気。先に試したのと同じ結果。室温は27℃。
発酵は終了とし、レンジで乾燥させ、淹れてみる。湯が多すぎて薄くなったが、オレンジ色は出ている。薄すぎて味は判らない。

つまるところ、萎凋で香りを出さないとダメ、ということらしい。
Wikipediaによれば、萎凋で青臭さが抜けるとともに香気が集積、とある。
色が変わることから、発酵は進んではいる。香りも多少は変化する。でも、あのフルーティな紅茶の香りは生まれない。

結果は出なかったが、原因らしきポイントはつかめたのでヨシとしたい。

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