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カジキミノニガ若実
キイチゴ類の手持ちは、基本的に1種1株としているが、変異が大きい、自家不和合性が強い、雑種、等々理由が付くものは、複数株ストックしているものもある。
そんな中で、ニガイチゴRubus microphyllus類が増えてしまっている。

写真は、カジイチゴR. trifidus×キミノニガイチゴR. microphyllus f. miyakeiの若実。雨のため、カバーが曇ってよく見えないが、受粉しているのは確認済み。
上手くいったらまた増える……


4/4 ニガイチゴ(標準株)

4/4 ニガイチゴ(多花)

4/12 ニガイチゴ(長弁)

4/4 キミノニガイチゴ(右上)
ヒメカジイチゴF2(左下)

4/17 ミヤマニガイチゴ

4/4 ヒメカジイチゴ
(カジモミジ#1)

ニガイチゴ類は、標準株、多花、長弁、赤色色素欠乏(キミノニガイチゴ)、山地型(ミヤマニガイチゴR. subcrataegifolius)、雑種(ヒメカジイチゴR. × medius)がある。さらには、ヒメカジイチゴの実生(ほぼニガイチゴ)、カジモミジ#1(ほぼヒメカジイチゴ)、その実生(ニガイチゴおよび謎株)まである。

標準株は、ごく普通のニガイチゴ。一株ストックのために最初に入手したもの。直径3cm弱の花を、冬芽一ヶ所にひとつずつ着け、赤実。結果枝の葉は小ぶりで丸っこく、新しいシュートの葉は3つに中裂する。

多花は、基本的には標準株に同じだが、一ヶ所に3花前後ずつ着ける。当初は天竜スーパー林道などでよく見かけ、高地型か何かかと思っていたが、よくよく見れば裏山にも生えていた。株の勢いなどのせいではなく、小株の時期から複数花が着いている。

長弁は、妙に花が大きく感じたもの。当初、林道路傍の30cm程度の小株幼株ながら花弁が長く目立っていた。採取当時は雌蕊がまったく無く、遺伝的に雄株的なのかとも思ったが、現在は一応実も結んでいる。ただし1割以下と少ない。花の直径は5cm弱ある。

キミノニガイチゴは、以前にも書いたとおり赤色色素の欠落株と思われる。植物体すべてで赤味がなく、葉脈は黄緑色。黄実が生る。花はやや大きめで直径4cm弱。
冒頭にあるように、交配実験中。後述、ヒメカジイチゴの組み合わせにあたる。

ミヤマニガイチゴは、かつてはニガイチゴの山地型変種R. microphyllus var. subcrataegifoliusや亜種R. microphyllus ssp. koehneanusとする文献もあった。
冬芽ひとつにつき複数花を着け、3裂する葉は中央が極端に長く葉脈も多い。自生地は高冷地であり、温暖地栽培による影響があるのかもしれないが、花は小さく直径2cmに満たない。花後の様子はニガイチゴに同じ。

ヒメカジイチゴは、カジイチゴとニガイチゴとの雑種とされる。特徴は中間的で、ニガイチゴにしては大ぶりで裂が大きい、そんな葉。トゲはかなり少なく、花も中間的で、赤実が生る。


4/12 自生地がピンチ

唯一の現地開花株
ちなみにキミノニガイチゴは、自生地がピンチな状況。

もともと林道脇の山側法面に生えていたものだが、草刈り、土砂崩れなどによって、シュートが2株しか確認できてない。開花株はそのうち一つだが、側溝の集水枡へ落ちかけている。
突然変異株なので、種子で増えることはない。上の株が、上手く地下茎を伸ばしてくれるといいのだが……




【 和名、学名の出典等について 】
  • 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
  • Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
  • 交雑種は、種レベルの扱いがあり特に著名と判断したものはそれを使う。それ以外は独自名を付す。和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先頭にする。
    • 例:カジイチゴR. trifidusを母体にコジキイチゴR. sumatranusの花粉を付けたもの → カジコジキR. trifidus × R. sumatranus
  • 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
  • 同種が複数株ある場合は、和名の後に番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。

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