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2019/5/3 ヒメクマイチゴの花
ヒメクマイチゴR. × geraniifoliusが咲いた。
これは最近発表された雑種(2018年2月発表のpdf)で、ミヤマモミジイチゴR. pseudoacerとクマイチゴR. crataegifoliusによるもの、とされる。

写真の株は、2016年に岐阜でミヤマモミジイチゴの実をもらってきて播いたもの。翌年発芽し、かろうじて冬を越し、厳しい昨夏も越えて生き延びた唯一の株(昨年4月の記事昨年7月の記事)。
当然、ミヤマモミジイチゴと信じていたのだが、どうにも葉が長い。その後モミジ様の葉も出てきたが、結局7月の記事で、ヒメクマイチゴと判断している。

現在は6号鉢植えで、樹高は30cmほど。ただし新シュートは45cm程度まで伸びている。葉は5裂の欠刻重鋸歯。ミヤマモミジイチゴにクマイチゴの風味をかけた風。葉には毛があり、さわるとモフモフする。全身にトゲもある。
前年枝の冬芽から伸びた枝の、先端近い葉腋から1~2本の花柄を伸ばし、1~4花程度つける。花柄の長さは10~25mm。ただし、分岐からを柄と見れば、単花でせいぜい1cm、複数花ならその半分程度。枝分かれには、小さな葉のようなもの、托葉のようなものが着くことがあるので、花単位で見るべきかもしれない。
花弁は丸くしっかり開く。直径は17mm前後。ほころびかけた時点では雄蕊はまとまって閉じているが、開花とともに花粉が出て平行になり、翌日には開き気味になる。

あらためてヒメクマイチゴの論文をおさらいすると、花弁は丸いとある。花柄は15mm以下ともある。棘も毛もある。
採取地近隣にはクマイチゴが豊富に生えていた。ミヤマモミジイチゴの実を播いたので、♀ミヤマモミジイチゴ×♂クマイチゴ、当ブログ的には「ミヤマモミジクマ」ということになる。


7月の記事では、ミヤマニガクマ(仮)もヒメクマイチゴではないか、という見方をしていた。こちらは間違いだった模様。

花弁が長く、雄蕊も細長くまとまり、花はニガイチゴに似ている。直径22mm程度。花の着き方もニガに近いか。もう少しよく開いた花の画像が、2017年9月の記事にある。
葉は3裂+α程度で、クマイチゴのそれに近い。毛は極わずかに生え、トゲもある。
クマの隣にそっくりの姿で並んでいたのでバイアスが掛かっていたが、もしかしたら(ミヤマ)ニガとミヤマモミジの子……のような気もしてきた。

以下に並べてみる。記載ないものは5月5日撮影。キャプション背景がピンクのものは原種とされるもの。


2016/7/31 ミヤマモミジイチゴ

クマイチゴ

ニガイチゴ#3R. microphyllus

ミヤマニガイチゴR. subcrataegifolius

ミヤマニガクマ(仮)R. × nigakuma?)

ニガクマイチゴR. × nigakuma

ヒメクマイチゴ

ヒメクマイチゴ

ヒメクマイチゴ

4/13 ニガイチゴ#2ら

4/26 ミヤマニガクマ(仮)




【 和名、学名の出典等について 】
  • 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
  • Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
  • 交雑種は、種レベルの扱いがあり特に著名と判断したものはそれを使う。それ以外は独自名を付す。和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先頭にする。
    • 例:カジイチゴR. trifidusを母体にコジキイチゴR. sumatranusの花粉を付けたもの → カジコジキR. trifidus × R. sumatranus
  • 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
  • 同種が複数株ある場合は、和名の後に番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。

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