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'20作出キミノニガモミジもどき
庭の桜も咲き、キイチゴ類もモミジイチゴ#3Rubus palmatusを先鋒に花盛りとなっている。

ここのところ少し鉢整理をしている。置き場も限られ、安かった菊鉢もかつての倍の値段。結果を確認した株、コンタミらしき株などを畑の場末にうっちゃってきた。
ニガ、カジ、モミジ、ビロード、クサ、クマ、トヨラクサらが仲良く集っている。自生由来の何かが出てきたら面白いかな、などという助平根性が無いわけではないが、近くにいるから混ざるというわけでもないらしい。
裏山では普通に混生しているのに、ニガモミジのような雑種は聞いたことがない。試してみても、ニガやモミジ、ビロード母体での交雑は難しい。もっとも、ビロードモミジイチゴはよく見られる(樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類 p287)という話もあるようで、単に不器用なだけかもしれないが……

空いた鉢には、万が一に備えて栄養繁殖した株や、新たな雑種株などが収まった。あの丈夫なインディアンサマーR. idaeus ssp. idaeusを、コガネ子被害であっさり失っている。ひとつの籠に卵を盛っていては危ない。

トヨラクサイチゴR. × toyorensis由来のニシムラキイチゴ#1-1R. nishimuranusは、大きな実を着けその子もよく生るが、やはり最初に出たこの株は維持したい。
キミノニガイチゴR. microphyllus f. miyakeiは、ネットで見る限りでは個人所有が1個体、神谷ダムに1群落ありそうだが、やはり希少。ちなみに当方所有個体の自生地では絶えている。
ビロードイチゴR. corchorifolius入手して以来、いくつかの組み合わせを試しているが、やっと混ざったらしい株ができた。
ハスノハモミジR. peltatus × R. palmatusもゆっくりと育っている。毎年、後から後からハスノハイチゴR. peltatusが生えてきて同居状態だったので、種ごとに分離することにした。
ミヤマニガクマ(仮)R. × nigakuma?)のような未だに結論の出ないもの、ヒメクマイチゴR. × geraniifoliusなど雑種らの後の姿はどうか、ということでそれらの実生もいくつかある。



キミノニガイチゴの入ったテント
現在、キミノニガイチゴが自家受粉できるかどうかを調べている。

キイチゴ類は、自家不和合性が強いものが多いらしい。
フユイチゴR. buergeriは、咲けども咲けどもひと株ではまったく実が生らない。
ハスノハイチゴも、自家ではほぼ実らない。トヨラクサイチゴは申し訳程度に数粒着けるが、それに似たレベル。
モミジイチゴも「買ったけど生らない」という話をよく聞く。当方では初めから3株あるのでよく生るのだが、そういえば単独で開花の早い#3株は実着きが悪い。
一方で、ひと株しかないのによく生る種もある。
クロイチゴR. mesogaeusは、シラビソからの帰り道で採ったひと株しかないが、いつも大豊作。
天竜スーパー林道産のエビガライチゴR. phoenicolasiusも、若実が熟すまでの生存競争はあるものの受粉は上手くいっている。
クマイチゴR. crataegifoliusやファールゴールドR. idaeus ssp. idaeusもひと株だが、勝手に雑種化している可能性はある。

冒頭でも触れたニガモミジ。キミノニガイチゴを母体に、何度か試している。2019年分は赤実のニガイチゴになった。'20、'21は現在開花中。枝葉にしっかり赤味があるので、普通のニガのよう。'22は実らなかった。
なぜ普通のニガになるのか。交配前に受粉しているのか、それとも黄実は1代限りなのか。花が軟弱なため、開花前に交配を行うのは困難。どうしても開花後になるので隙もうまれる。できる限り開花直後の花を使っての自家他花受粉や、開花前にテープ貼り閉鎖して自家受粉を試みたが、10花試して10花、枯れ落ちた。テープで傷んだ可能性もあるので、今回はテント張りした中で育成し、外部からの傷害を排除して試している。





【 和名、学名の出典等について 】
  • 標準和名や学名は、基本的に「YList」ページを採用する。
  • Ylistに掲載のないものは、 Wikipediaの「キイチゴ属」ページのものを使う。これには「※」を付す。
  • 交雑種名は、特に著名と判断したものはそれを使う。それ以外は独自名を付す。和名は両親から「イチゴ」を取った合成名、学名は両親を「×」でつないで連名とする。いずれも母体を先頭にする。
    • 例:カジイチゴR. trifidusを母体にコジキイチゴR. sumatranusの花粉を付けたもの → カジコジキR. trifidus × R. sumatranus
  • 雑種は、入手個体を「F1」とみなす。特に必要がなければ「F1」とは記載しない。その子は「F2」となる。たとえばファールゴールドの実生は、「ラズベリー・ファールゴールドF2」と記す。
  • 同種が複数株ある場合は、和名の後に#番号を付す。従前1株だったものは、それを#1とする。株分けなど栄養繁殖個体は-番号を付し、#1-1などとする。

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