PICを使う目的はPICライタ、とも言われるだけあって、ググるととても多くのページがヒットする。
市販製品はともかくとして、自作できそうなものを探してみると2つの系統が見える。
そのひとつは、マイクロチップが提供しているアプリケーションノートにあるもの。AN589などと呼ばれ、かなり昔から公開されている。
AN589はパラレルポートに接続する。データバスの各ビットでコントロールし、ベリファイのための入力は/ACKを使う。VDD、VPPといった電源は、全て外部から供給する。初期のライタのため、VPP-firstと呼ばれるVPPをVDDより先に立ち上げる書き込み方法には対応していない。
この亜種で有名なところとしては、トランジスタ技術1995年12月号のものがある。/ACKのないPC-9801でも使えるように/BUSYを使うなど、一部変更した回路が掲載された(画像は誤植訂正済み)。
当時はMSXを使っていて、ポートの仕様はPC-9801と同様だったので、これを製作。ロジックICは74125に変更。LS125がなかったのでHC125を使い、バスはプルアップし、D3、D4は空きゲートでバッファリングするなど、一部変更した。
MSX用のPICアセンブラは、ニモニックなどを記述したマクロを咬ませてM80を使い、ライタソフトは専用に自作した。PIC開発の流れとしては、MSX-DOS上でテキストエディタvs.comでソースを書き、M80.comなどでアセンブルしてバイナリファイルを作成し、自作ライタソフトで書き込む、となる。このネタで、'97ごろのゲームラボで採用され、いくばくかの原稿料をもらった。MODチップが話題になっていたころの時代。
構成するパーツは、トランジスタやダイオード、抵抗など見慣れたディスクリート部品のみ。ポートの信号線から電源も取っているため、とてもコンパクトにまとまる。
ただ、このライタが使えないPCも存在する。
シリアルポートには正規の規格がない。デファクトスタンダードから正規の規格もできたが、お荷物仕様満載のためにメーカは準拠どまり。出力±12Vのような従来の暗黙の了解すら守られてないものも珍しくないため。
この亜種にRCDライタがある。
VPP-firstに対応しやすくするとともに、抵抗(R)、コンデンサ(C)、ダイオード(D)だけで構成するよう作り直されている。JDMライタ互換のため、それ用の書き込みソフトが使えるが、VPP-firstを実現するために、作者によるライタソフトも発表されている。このソフトでは、本家JDMライタでのVPP-firstも実現している。
別方向の亜種にPIC Programmerがある。
JDMライタでもそれをアテにした一部の省略があるが、PICには電源に対してのクランプダイオードが内蔵されている。つまり±12Vを直接接続しても、電流さえある程度に抑えておけば壊れることはない。幸いに、通常のシリアルポートには電流制限機能がついているので、制限抵抗も要らない。
電源のコンデンサも、タイミング調整や電位維持などをしなければ不要。
ZDで電圧をキープする代わりに、出力電圧がVPPに間に合うだけ出ていることを期待。LEDのVF×3をVPPから引いてVDD範囲になることも期待。よってここまで簡易化できている。
他にも、PICを使ったPICライタもある。まさにPICの目的はPICライタ、を地でいく。中でもWriter509が有名なよう。
電源は外部から取り、PICによって事細かくコントロールできるので、自作物としては安定度は高いと思われる。ただし新たなハードウェアなので、専用のライタソフトが必要になる。
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