since 2007.8 by K-ichi

自然科学は好きでも、数字と夢想と哲学にしか見えない物理は嫌い。それでもこれだけネタが出てくると、気にならざるを得ない。
不確定性原理相対性理論に刃向かったかと思えば、他方では「神の粒子」なる神の領域にまで手を伸ばしつつあるらしい。


昨日の新聞に、「不確定性原理の矛盾を実証」という記事があった。

不確定性原理とは、ものすごく小さい量子の世界では、位置と運動量を同時に測ることができない、というもの。測定のために当てる光ですら対象物に影響を与えてしまい、どちらかを精度よく求めようとすると他方の誤差が大きくなってしまう。
記事によれば、名大の小澤正直氏らは、2003年に発表していた「小澤の不等式」が正しいことを実験で明らかにした。物理の教科書が書き換わる他、量子コンピュータ開発の加速、暗号通信の性能向上、重力波の観測などに役立つかもしれない、とのこと。

日経新聞に載っていた式
(位置の誤差=Δq、運動量の誤差=Δp、σ?はゆらぎを表す)

ハイゼンベルクの式
  Δq×Δp≧一定値

小澤の式
  Δq×Δp+Δq×σp+σq×Δp≧一定値

Wikipediaなどを見てもさっぱりだが、とりあえずこの式だけを眺めると、ハイゼンベルクの式は、位置、運動量とも、誤差ゼロでは測れないと言っている。もちろん両方も無理。一方で小澤の式は、「ゆらぎ」とやらの追加項があるため、条件によっては位置や運動量が、さらに条件が良ければ両方とも測れる。

両方測る方法が見つかったわけではなく、「誤差ゼロは無理」だったものが「たまに測れることもある」になったのが大きな発見らしい。観測を重ねて数学的な技を使ったりすれば、「たまに」を生かして正解に近づける……のかもしれない。日経サイエンスのページなどを読むと、なんとなく解った気にはなれる。


相対性理論が書き換わるかも、という話もあった。ニュートリノが光速を超えているという。

ロイターの記事などによれば、日欧の研究グループは昨年9月23日、ニュートリノが超光速である実験結果が出た、と発表した。
スイスにあるCERNから発したニュートリノを、730km離れたイタリアで捉える実験を繰り返し実施。その結果、光速で着くであろう時刻より60ns早く着いた、とのこと。研究グループは、あらゆる可能性を考えたが早く着いている結論は覆せなかったため、広く再検証を求めるためにも公表した、という。発射地と補足地の時刻合わせをGPSで行っており、そのへんが怪しいのでは、という意見もある。

後に、誤差をより少なくすべく再実験も行われ同様の結果が出ていたが、別の研究グループから異論が出た模様。11月20日の記事で、超光速であればエネルギーを失っているはずだがそうなってない、という。
媒質内を通る光は真空中の光速より遅くなる。高エネルギーの電子などが媒質内の光速より早く進むとき、光の衝撃波であるチェレンコフ放射が起こり、エネルギーを失う。それが起きてないから光速を超えてない、という論。

素人的には、論を張るより、別に同様の実験をして「早く着くことはなかった」と見せてほしいのだが。


神の粒子ことヒッグス粒子発見……の兆しあり、という発表が12月にあった。

この宇宙はビッグバンという爆発から始まり、現在もこれからも膨張を続けていくという。
ビッグバンの直後は、ヒッグス粒子を含めて全てのものに質量は無く、自由に飛び回っていた。しかし0.1ns後ぐらいに、宇宙が冷えたせいでヒッグス粒子が他の粒子に「結露」。ヒッグス結露の多い粒子が、最も動きづらい即ち質量の大きな粒子、ということになった。ちなみに光子には着かなかったため、光子には質量が無く、いまでも光速で飛ぶことができる。

スイスにあるCERNでは、ほぼ光速にまで加速した陽子同士を衝突させ、放出された粒子を観測。膨大な回数の実験をし、ヒッグス粒子と思われる質量の検出を目指している。発見には、99.9999%の確度が必要だが、現在は98.9%なのだそう。

参照:
 ・毎日jp ヒッグス粒子:存在確定に高まる期待
 ・キッズサイエンティスト 【ヒッグス粒子と質量】
 ・Wikipedia ヒッグス粒子


ちなみに、超光速ニュートリノやヒッグス粒子の話で出てきたCERNとは、欧州原子核研究機構のこと。スイス・フランスの国境地下に、全周27kmの円形加速器を持つ。
円形加速器では、粒子の軌跡を設備に合わせて曲げる必要がある。加速器にはいくつか種類があるが、電子を加速して曲げると、シンクロトロン放射によってエネルギーを失いやすい。それを回避するには直線の施設を作るしかない、というのが世の常識となっており、ILCという国際的な計画が進んでいる。地下に30km超の巨大トンネルを作るもので、8000億円とも1兆円とも言われる建設費の半額は誘致国が受け持つという。各国に候補地があり、日本では佐賀~福岡の背振山地と、岩手の北上山地が候補に挙がっている。

シンクロトロン放射を積極的に使うための施設もある。日本では「砒素カレー」事件の鑑定で一躍有名になったSPring-8がある。あの「はやぶさ」が持ち帰った小惑星イトカワのかけらも分析した。
全周1.4kmあまりで、世界最強のビームを発することができる。

参照:
 ・SPring-8について
 ・Google 「ILC 誘致」の検索
 ・Wikipedia 欧州原子核研究機構
 ・Wikipedia 国際リニアコライダー

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