キヤノンが、超高感度のフルサイズCMOSセンサを開発した。
三日月明かり相当の0.03lx下で、鮮明な動画が撮影できるという。線香の明かりでも、人の顔が判る。
星空に向ければ、8.5等星あたりまで「動画で」撮影でき、天の川や流星が普通に写る。ニュースリリースのページには、それらを撮影した映像が置いてある。
星空を動画撮影というと、緑色で残像だらけのI.I.(イメージ・インテンシファイア)が思い浮かぶ。最近は、電子倍増型CCDというものが使われるらしい。開発されたCMOSセンサは、これも上回る感度をもつ。
イメージセンサの感度は、受光容量がものを言う。画素面積は大きなファクタなので、よく参考値に挙げられる。
何れも50万円コースのフラッグシップ機を見ると、キヤノンのEOS-D1 Xは6.95μm角、ニコンのD4は7.3μm角。今回開発されたそれは、じつに19μmもある。
ちなみに、8年前のコンデジCaplio R2は2.17μm角。フラッグシップ機のような「ギャップレス」は考えづらいので、実サイズはさらに小さいはず。また、世界有数の8m鏡を擁する、すばる望遠鏡のCCDは15μmとのこと。
この素子は、EFレンズのイメージサークルに対応し、アスペクト比は16:9のフルHDという。画素サイズ19μmで1920×1080(207万画素)とすれば、全体のサイズは36.5mm×20.5mmで対角41.9mm。35mm版のイメージサークル43mmに、ほぼ収まる。
画素サイズが大きい分、画素数は少ない。動画「専用」を謳っているところや、半端じゃなさそうな値段も心配なところ。とはいえ、なじみのある「35mmフルサイズ」で作られたというのはちょっと気になる。
おそらく、天ガなどでも取りあげられるはず。つっこんだ記事を期待したい。
ちなみにキヤノンは、20cm角の巨大撮像素子なども開発している。300mmウェハから切り出せる最大サイズという。カメラとの大きさ比べも圧巻だが、105cmシュミットとの組み合わせで、10等星の流星を動画で捕らえたという化け物。
かのページの映像を見てみると、動画フォーマットのせいか素子のせいか判らないが、背景がざわついて見える。色のノリもよくない。ただ、星はよく写っている。判りづらいが、「発の」のすぐ上に、90度左に寝た北アメリカ星雲(NGC7000)も写っている。この動画から、コンポジットして静止画を作ってみた。
HD素子のはずだが動画は横640pxしかないので、素子の実力はよく判らない。1フレームでは背景のざわつきがざらざらと見えるが、コンポジットするとそれなりになる。
動画からコンポジット静止画を得るのには、定番のRegiStaxを使った。Webカメラで撮った映像から、惑星の先鋭画像が得られる、というアレ。フリーソフト。
バージョン6が最新らしい。Downloadのページに、RegiStax 6.1および6.1.08へのアップデートがある。
ニュースリリースの動画は、右クリックから保存ができる。このmp4ファイルを、いったんAviUtlに食わせ、必要な部分のみ無圧縮で切り出す。ここでは172フレームの動画ファイルができた。これをRegiStaxに処理させる。
[Select]でファイラを起動して読み込ませ、[Set Alignpoints][Align][Limit]とボタンを押していく。ボタン表示が切り替わるので、[Stack][Save image]とボタンを押していけば、読み込み、作成、保存が完了する。[Wavelet]タブに切り替えれば、各種画像処理もできる。
いくつか設定もいじってみたが、最終的には初期設定のまま進め、Alignpointsは98箇所、合成する枚数は109フレームで画像を得た。
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