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テスト中の様子
固定撮影を大量コンポジットして淡い星雲に挑戦し、撃沈したことがあった。星雲がまったく写らない上に、星も合わない。一方を合わせれば他方が流れてしまう。
そもそも天球面を平面に落とし込むこと自体に無理があるので、ガイド撮影しないなら歪みを補正しなければならなかったが、フリーソフトではなかなか難しい。ともあれ、あまりの写らなさに、再試行を試みる気が起きないまま今に至る。

原因を調べる中で、レンズの歪曲収差についてのテストページを見つけた。タルタルテストという。
歪曲収差には、全体が太って見える樽型、痩せて見える糸巻型、複合的な陣笠型がある。テストは、平面上の格子模様を撮影することで、それを確認しようというもの。当然、縦横の線がきっちり縦横に写るのがベストとなる。

マンションの壁を借りる代わりに、机上で調べることとした。表計算ソフトで1mm格子の表を作り印刷。板に貼り付け、LED照明を当て、CaplioR2で撮影する。
格子板とカメラの平行確認や距離調整などは、目視、手動で行う。マクロ側に近いピント合わせになるので、通常撮影とは多少異なる結果になるかもしれない。
各ズーム値で調べるので、ステップズーム機能を使った。焦点距離は35mm換算で28、35、50、85、135mm相当(f=4.6、5.6、8.4、15.0、22.2mm)。また、どのぐらい拡大撮影できるかも調べてみた。

ちなみに、撮影焦点距離等の確認はExif Quick Viewerを利用した。
Windowsでは、ローカルにあるファイルは「プロパティ」でExif情報が見られる。ただし、数値は丸められて正確でない。ブラウザに表示された画像の情報は、直接は得られない。
EQVでは、ExplorerだけでなくInternet Explorer上の画像からも、右クリックでExifデータを得られる。なお、Google Chromeには対応してない模様。


タルタルテストは、撮像範囲横方向が36mm程度になるように位置調整し、マクロモードのAFでピント合わせをした。
CaplioR2は、ワイド端での1cmマクロを謳っている。実際は35mmより長い方でのみマクロが使える。

28mm F3.335mm F3.650mm F4.485mm F4.3135mm F4.8
マクロモードなし。合焦せず。 樽型目立つ。周辺ピント合わず。 樽型がかなり緩和。周辺のピンボケは目立つ。 合焦せず。

周辺減光のように見えるものもあるが、照明自体が一様でないため。歪みとボケだけの確認になる。
思いのほかの残念な成績。

各画像は、絞り開放の状態。絞って被写界深度を稼げば……等々も試みた。
あれこれ試すも、どうも絞りは2段階しかないらしい。光学でもっとも収差の少ない85mmと、デジタルズーム(2倍)併用の135mmも並べてみる。

85mm F4.385mm F8.4135mm 2x F4.8135mm 2x F9.3

85mm F8.4は、ピンボケは多少緩和されるものの、マスの線1本分がギリギリの分解能。線は8ピクセルぐらいある。
焦点距離は長いほど、撮像範囲の中心に近いほど、収差は少なく画質は良くなる。135mmで中心半分を切り取っている135mm 2x F4.8は、さすがに歪みは感じない。ただ、まだ周辺にボケが残る。F9.3になると、枠線を構成するデコボコも見えてくる。

このカメラは5メガピクセルだが、デジタルズームによって1.3メガピクセル程度に落ちている計算。
キタムラフジカラーのフィルムスキャンサービスは、150万画素~200万画素を謳っている。解像度だけでいえば、おおむねそのクラスに相当しそう。


画質はさておき、Caplioのウリは1cmマクロ。レンズ先端から被写体までが、1cmまでピントが合うことになっている。
寄れるのはいいが、どのぐらいの範囲が写るのかが判らない。実際に使っていると、ワイド端でのマクロより、少し長めのほうが扱い易かったりする。各焦点距離での最接写の具合をみてみた。

マニュアルフォーカスモードにし、ピントは最短合焦距離とする。液晶表示を拡大モードにして、カメラを前後させ合焦点を見出し計測、撮影をする。

28mm35mm50mm85mm135mm135mm 2x F4.8135mm 2x F9.3
撮影範囲(横)は47mm。
レンズ先から被写体までの距離は約28mm。
撮影範囲は20mm。
合焦距離は約7mm。公称1cm
撮影範囲は17mm。
合焦距離は約7mm。
もっとも拡大撮影できるモード。
撮影範囲は29mm。
合焦距離は約36mm。
撮影範囲は40.5mm。
合焦距離は約91mm。公称13cm
撮影範囲は21mm。
合焦距離は約91mm。
撮影範囲は21mm。
合焦距離は約91mm。

実はワイド端でなくても結構寄れることが判明。標準レンズ相当のときが最も拡大できる。
歪みやピントズレは、やはり大きい。


ワイド側での歪曲収差は想定していたが、周辺でのピントのズレが思いのほか大きかった。
テレ端の収差の少ないあたりを使って、簡易フィルムスキャナでも作ろうか、などと目論んでいたがちょっと難しいか……

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