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サントリーが遺伝子導入によって開発していた青いバラが、ついに市販されることになった模様。
遺伝子組み換え生物は、環境への影響などを検討する必要があり、カルタヘナ法によって制限がされているが、クリアになったとのこと。報道各紙によれば、2009年春にも発売されるようだ。

ちなみに種苗法によれば、登録品種を勝手に増やして売ったり配布したりすれば、それによる実害以上の損害賠償請求も認められ、また罰則として3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金が科せられる、とある。ただし、このような記述もある。
> (育成者権の効力が及ばない範囲)
> 第二十一条 育成者権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
>  一 新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用

参考

 

東海大学が新しい透明な導電材を開発した。
現在使われているITOとも研究が進む酸化亜鉛とも異なる、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を使う。
常温の低い真空中で、マグネシウムと炭素をスパッタリングで混合成膜し、それを水蒸気雰囲気下に10~15分置いておけば透明な結晶膜になる。水酸化マグネシウムは透明な絶縁体であるが、水酸化マグネシウムの結晶に炭素が入り込んだ形になることで、導電性が生まれていると考える。
現在は10-1Ωcm程度と、ITOより3桁大きい。透明度は高く、可視光域でおおむね9割。330℃で分解するが、100℃程度までなら安定。

日経BP Tech-On!ニュース-ナノテク- 東海大,インジウムを使わない新しい透明導電材料を開発(要約)

液晶などに必須な透明な導電材は、現在は酸化インジウム(In2O3)に酸化錫(SnO2)を加えたITO(Indium、Tin、Oxide)が使われており、酸化亜鉛(ZnO)系の研究も進められている。酸化亜鉛には酸化アルミニウム(Al2O3)や酸化ガリウム(Ga2O3)が添加される。
インジウムは希少な金属であり、最近はことのほか高い。低融点合金の実験をしたくても手が出ない。亜鉛は安価で豊富、透明度も高いが、まだまだ研究途上のよう。またいずれも、高温(200℃以上)での成膜になるために、基本的にガラス上に作る。
今回の新材料は、材料は豊富で安価であり、製法は平易であり、透明度も申し分ない。導電性能だけがネックだが、開発が進めば、これは主役になるやも。

 

とりあえず電気分解してみたサンポール(9.5%塩酸)。これを使って、メッキを試してみた。

まずは銅メッキ。

メッキ対象の黄銅(真鍮)はサンポールに浸けて酸化膜を除去する。塩酸は銅の酸化物は溶かすが銅自体は溶かさない。黄銅もたぶん同様。細かい泡が出なくなったら完了、しっかり水洗して、重曹で磨いたりして汚れがないようにする。
陽極に電線(アース用の銅単線)、陰極に酸洗した黄銅片、電源は単3アルカリ乾電池2直(実測へたれの2.7V)。
接続すると両極から泡が発生し、陰極の黄銅がすぐに銅メッキされる。とりあえず1分ほど施してみたが、こすっても取れない、金属光沢のある、きれいで丈夫なメッキ皮膜ができた。

そして金メッキ。

とりあえず予備知識を集めてみる。
基本的に反応しにくい物質だが、ハロゲンとは反応する。ヨードチンキ(ヨウ素およびヨウ化カリウム溶液)に溶かし、ヨウ化金による電解金メッキができる。
王水に溶かすと淡黄色の塩化金酸ができる。塩化だからこれもハロゲン。無電解金メッキ液の亜硫酸金ソーダの材料などになる。
酸素下のシアン化カリウム(青酸カリ)とも反応して、シアン化金カリウムになる。工業的な金メッキはこれを使う。シアン化合物にも溶ける。
金コロイド(微粒子が液体や固体に拡散したもの)は、赤、青、黒などさまざまな色を呈する。コロイド溶液かどうかは、レーザ光を当てると光路が見えるチンダル現象で確認できる。
塩酸は、水素よりイオン化傾向の小さい元素(金、プラチナ、パラジウム、銀、水銀、銅、ビスマス、アンチモン)とは反応しない。

金は塩酸には溶けないが、銅も塩酸には溶けない。銅は電流を流すという力技で溶かし出し、銅メッキができる。ならば金も力技で捻じ伏せられるのでは……との思惑。

陰極にする銅(生プリント基板)は、サンポールで洗って酸化膜を除去し、きれいに水洗しておく。陽極にする金は、先日購入した純金上澄10cm2(0.0193g)を折り畳んで棒状にする。メッキのための溶媒、サンポールは50ml。電源は単3アルカリ乾電池2直。実測3Vで、直結すれば100mA超、炭素棒(0.5mmシャープペンシルの芯)直結だと60mA~80mA程度の力はある。

通電してもすぐには反応がないが、しばらくすると両極から泡が発生し、金電極がもやもやと溶け始める。電流は徐々に増えて20mA台後半。溶けた金はゆるゆると沈殿する。サンポールは粘性があるためこう見えると思われる。
写真は、後述の電極間を近づけたときのもの。
沈殿した様子を上から。
サンポールは緑に着色されているので沈殿の色は不明だが、攪拌するとやや明るい色に見えることから、黄色系ではないかと想像。
攪拌すると溶解するように見えるが、チンダル現象から拡散しただけのよう。一日置くと、また沈殿が起こる。
金電極を取り出して確認すると、レモン色と黒の物質が付着してぐずぐずの状態。レモン色は塩化金酸か。
この電極を溜め水で洗ってみると、紫色が発生した。敷いたティッシュの染みも、紫がかって見える。金のコロイドか。
銅電極はあまり変化がない。金メッキもされていない。反応が鈍いので、金電極を近づけて、金電極の溶解した「もやもや」が直に触れるようにしてみたが、黒ずんで汚れるだけ。
取り出し、洗って磨いてよく見ると、光の加減か僅かに黄色っぽい色が付いているようにも見える。
これを1週間ほどおいてみると、銅は指紋がくっきりですっかり錆びているが、メッキ作業をした部分は錆びていない。極々薄くはメッキされたのかもしれない。
これをカードエッジコネクタに挿してみたところ、銅地が見えてしまった。メッキ強度云々以前に、薄すぎたためか。

金電極溶液になったとすれば陽極を炭素棒に変えても薄黄色が付くのでは、と試してみたが、変化は確認できず。塩酸が電気分解されただけのよう。チンダル現象やこのことから、やはり溶解はしておらず、単に微粒子になっているだけのようだ。

メモ

    http://www.grn.mmtr.or.jp/~noriko/GoldColloid/explanation.html
  • 塩化金酸の色は薄黄色。水に溶ける。
  • クエン酸を入れ、加熱すると還元され、赤紫色の金コロイドになる。
  • それに食塩を入れると、凝集が起こり、青くなる。
  • 金微粒子の表面にはOH-やCl-が着いてマイナスを帯びており互いに反発し会うが、Na+によってそれが弱められる。
  • さらに熱すると褐色の沈殿が起こり、それを濾過し、アクリル板などに押し付けると金色になる。

    http://www.chem.tottori-u.ac.jp/~konishi/xmorik/2001-21/text01.html
  • 塩化金酸とクエン酸ナトリウムの溶液を、静かにかき混ぜながら80℃で30分湯浴すると、黄色が青みを帯びだし青色になり赤みを帯びだし紫になり、最後に紅赤色になる。金の微粒子が成長することで色が変わる。
  • さらに5分加熱し、食塩を加えると紅赤色が青色に変わる。コロイド粒子が凝集するため。

 

目覚ましテレビMOTTOいまドキコーナーで、卓上の綿菓子製造機が出ていた。
おもちゃの綿菓子製造機など、さして珍しくもない、と思いきや、綿菓子の材料は飴玉とのこと。

綿菓子は、中央の容器でザラメを熱して溶かし、それを回転させることで容器に開いた小穴から噴出させ、冷却することで繊維状にする。原理は難しくなく、自作でやってる話もたくさんある。
そのザラメの代わりに飴玉を使う、聞いてしまえばなんてことはないが、しかしgood idea。好きな味、香りの綿菓子が楽しめる。

ネットを浚ってみると2種類ほどあるようだ。

わたあめ職人」は1万円程度。
夜店の綿菓子製造機の面影を残している。うんと小型にして、ザラメの代わりに飴玉を入れてくれ、という感じ。
あめdeわたあめ」は1万5000円程度。
中央の飴玉入れに蓋を付けるなどして、より安全に作られているようだ。目覚ましテレビで紹介されていたのはこちら。

 

液晶、プラズマに続き、薄型テレビに有機ELが加わりそう。

日経新聞(2007年10月2日朝刊11面抜粋)

ソニーは1日、世界で初めての商品化となる有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビを12月1日に20万円で発売すると発表した。画面サイズは11型で、画面表示部分の厚さはおおむね約3ミリ、重さは2キロ。月産2000台を目指す。すでに豊田自動織機との共同出資会社であるエスティ・エルシーディ(愛知県東浦町)の敷地内にソニーが所有する製造ラインを使い、パネルの量産を始めている。

プレスリリース

「技術のソニー」を売るためにはもってこいの商品。新物好きが飛びつきそう。
ただ、大画面が時流のこの時代に中途半端な11型、それにもかかわらず20万円という価格設定。商業生産には技術的に厳しいものがあるんだろう。
ELは素材寿命がネック。ソニータイマーの新製品とならないことを祈りたい。

日経新聞(2007年10月14日朝刊1面抜粋)

セイコーエプソンは次世代ディスプレーの有機EL事業に参入する。専用製造ラインを建設、年内にも受注生産を始める。有機ELの製品寿命はこれまで約3万時間が限界とされてきたが、同社は材料や構造の見直し(不要な部分に電気を流さない)で2倍近い5万時間以上を可能にし液晶ディスプレーとほぼ同等にした。
同社はすでに長野県富士見町の事業所内に専用の製造ラインを建設、顧客企業の求める仕様に応じてパネルやモニターの完成品までを生産できる体制を整備した。生産規模は年間数千枚。
まず8型の業務用モニタを生産する。最も薄い部分の厚さは2.8ミリ。店舗など商業施設、カーナビゲーションシステムなど車載用モニターでの利用を見込む。
最大で21インチまで生産でき、将来は薄型テレビの商品化も視野に入れる。

これがソニーと同レベルの話で、順調に生産が始まるようであれば、先行して独壇場を築くつもりであったろうソニーの目論見は早くも崩れることになる。アジアメーカ製の比較的安い有機ELテレビも、早晩登場するかもしれない。ソニーFH株で稼いだ金をエレクトロニクスに投入するというが、さてどうなることやら。技術陣の力の見せ所。

ちなみに、有機EL(数Vの直流で駆動)と無機EL(数10Vの交流で駆動)とは、かなり根本的に異なる技術。たとえば秋月で売っているELパネルは無機ELであるので、この話とはあまり関係がない。5年後ぐらいには、手ごろな価格で買えるようになっているだろうか。

参考

 

天竜スーパー林道(スーパー林道天竜線)は、1000m級の山々の尾根伝いに、浜松市天竜区を縦断している。
R152から雲名(うんな)橋を渡ると、東雲名から林道天竜線が始まる。秋葉山上社(800m)、天竜の森(竜頭山登山口:1250m)などを経由して山住神社(1070m)を目指す。その先は林道野鳥の森線となり、カモシカと森の体験館(1100m)、野鳥の森(麻布山登山口:1260m)などを経由し、水窪ダム(510m)へ至る。
この2つの林道をまとめてスーパー林道天竜線と呼ぶ。

険しい山を切り開いた林道であるので、土砂崩れや落石は日常茶飯事。特に野鳥の森線は地質が脆いようで、頻繁に大規模なものが起きている模様。

2005年6月26日
写真右手が山住神社方向。こちらから来ると急な左カーブで、アウト側の谷筋が頂付近から崩れており、舗装部分が完全に埋まっている。イン側の谷(?)が埋まっているので、ダート上の通行は可能だった。
'04の集中豪雨で崩れた、ようなことが書いてあった気がする。
崩れているその上を、麻布山登山道が通る。

2007年9月17日
最近の様子。
土砂は寄せて、舗装部分も通れるようになったが、小規模崩落は続いている模様。
水窪ダムに注ぐミテラ沢上流の、三つの谷筋に分かれた一番右手になる。

そしてこのすぐ先で、路肩が決壊していた。
道路は野鳥の森(麻布山登山口:1260m)で通行止めになっている。

間知(けんち)ブロック積みの擁壁が大きく剥がれ、谷底へダイブ。ガードレールは真下に引き伸ばされている。車両の通行はやや危険を伴いそう。

でも、通行止めの原因はこれではなかった。

道路は手前から向こうへ渡り急な左カーブ、ミテラ沢の源流は右上から左下へ流れる。実際には、太い地下パイプを通っていた。道路とその周辺は完全に崩落し、徒歩で渡ることすらできない。
公式発表によれば、2007年7月14~15日の台風4号によるものとのこと。場所は源流が3つに分かれた真ん中になる。
際では、フジアザミが着々と咲く準備を進めている。

帰りは濃霧。 天竜の森南駐車場付近。
生き物のように霧が動く。晴れたと思ったその1分後には視界20m、なんてことも珍しくない。この100m先で、霧の道路でくつろいでいた鹿の群れに突っ込みそうになった。

ググってみた道路状況の歴史

 

実装済み基板から部品を外したいことがある。
コテを片手に、もう片手で外したりするが、多ピンのものになると難しい。吸取線やスッポンなどでハンダをきれいに除去してから、と思っても、僅かに残るそれが意外と丈夫で、パターンが剥がれたりする。もっとずっと融けていてほしい。

まずはヒートガンやリフロー炉でしっかり炙る方法。道具さえあればそのまま外せるので一番のお勧め。
道具がない場合にはオーブントースターで代用したり、油で揚げてしまったり、という人もいる。いろいろ問題な問題に目をつぶれば、たいていの家で実行可能。

別の視点から、ハンダ自体を融けやすくする方法。たとえば共晶ハンダは183℃で融けるが、低温ハンダで付け直せば、普段より永くぐずぐずでいるだろう、と。
元祖の舶来ものではCHIP QUICKサンハヤトからは表面実装部品取り外しキットSMD-21が商品化されている。聞くところによれば、融点が40℃台の合金とのこと。高価なのでインジウム入りなのかもしれない。Sn18%Bi43%Pb28%Cd11%との話もあるが、いまどきCdは使わないだろう。もし後者なら融点は70℃程度か。
そこまで低くなくてよければ、模型屋のホワイトメタルで代用することもできる。たとえばモリタでは、#301低温ハンダや#500低融点合金(いずれもSn16%Bi52%Pb32%融点95℃)がある。これならかなり安上がり。
大きめのインゴットなら材料屋ドットコムにもある。数kg以上なら、ハンダや合金を扱う会社で、指定の組成で作ってもらえるらしい。より低温を実現するには、レアメタルであるインジウム(2002年初頭で3万円/kgとのこと。現在は15万円超あたりか)を使うことになるので、かなり高くなる。

2003年初頭に購入したもの。
針金状のが低温ハンダ、取説付き、フラックス無し。40cm弱、40g強。断面は、幅3mm高さ2mm程度のかまぼこ型。やや脆く簡単に折れる。
フロッピ(大きさ参考用)の上に乗っているのが低融点合金。20×30×5の角が取れた台形。天面にMORITAの刻印。25g弱。離型材(タルク)の小袋がついてくる。
いずれも表面に部分的に金属結晶が見える。

当時のDRAM爆安相場のときに、1000円台で128MB DIMMが買えたので剥がしてみた。
MoselVitelic製128MbitSDR-SDRAM、0.8mmピッチ54ピンTSOP(II)。
元のハンダを融かしながら低温ハンダを多めに流し込む。元のハンダと低温ハンダとが混ざるように、しっかりコテを当てる。全ピンに行い、ハンダブリッジでモリモリにする。もう一度ブリッジ全体にこてを当てまわし、全体が融けた状態にしてからコテ先でつつく。
あとは普通のフラックスをたっぷりつけて、コテを当てればピンはきれいになる。次の基板にハンダ付けする際に低温ハンダ成分が含まれると好ましくないので、きれいにしておく。
ちなみに、同じことを普通のハンダで試してみたが、すぐ固まってしまって無理だった。十分に低融点が発揮されているようだ。

ハンダ関連の参考になるページ

 

日経新聞(2007年9月21日抜粋)

奈良先端科学技術大学院大学の長谷川靖哉准教授は20日、紫外光を当てるとフルカラーで発色する透明インクを開発したと発表した。ガラスや白い壁に塗り、LEDやランプで照らして、鮮やかな広告写真や絵画を浮かび上がらせる使い方ができる。新たな印刷技術として、店内装飾や娯楽用途などに利用を見込む。紫外光のエネルギーを赤色や緑色の光に変える希土類という物質を応用した。これに以前からあった青色に光る顔料を組み合わせた。

プレスリリース 白壁がフルカラー写真や絵画へと瞬時に変化

これに耐久性があるならカードや有価券面のセキュリティなどに使えるんではないか、と思っていたら、プレスリリースには書かれていた。
従来の発光インクより耐久性が高く、LEDとの組み合わせでの次世代照明、演色性の高さからディスプレイへの応用、などが考えられるとのこと。価格的にどうなのか分からないが、プリンタでも使えるようになれば、いろいろと表現の幅が広がりそうな気もする。

 

金メッキは電気分解なので、とりあえず塩酸の電気分解をしてみた。

塩酸は劇薬なのでサンポールで代用する。
サンポールは、9.5%塩酸に界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩)を混合したもの。他に香料、着色料なども入っていると思われる(記載はない)。
電極は、三菱鉛筆のシャープペンシルの芯。HBの0.5mmを使った。端から端まで約1.5Ω。
電源は乾電池2本直列で2.6V(やる気ナシ)、および12V5AのACアダプタ。

結果は、陽極から塩素、陰極から水素が出た模様。
2.6Vでは、電極先端からごく僅かにじわじわ発生する程度。12V電源では、電極全体から満遍なく出るが、さほど勢いはない。

陰極からの気体を試験管に集めて鳴らしてみたかったが、うまくいかなかった。界面活性剤のせいか、発生した気体が細かい泡になって液面に溜まってしまう。陰極付近に直に火の点いたマッチを近づけると、「ポポッ……ポッ…」と破裂音がする。一応、水素っぽい。
陽極からの気体は、臭いが判らなかった。嗅いでも嗅いでもサンポール。pH試験紙を陰極棒にべったり着けておくと、その部分の色がほんのり抜けた。一応、塩素なんだろう。

その後数分間、電気分解をし続けておいた。pHを測ってみると1未満のようで、塩酸としては健在のよう。

よく見ると陽極が割れてきた。さらに続けると細かく裂けはじめ、ついにはちぎれてしまった。液面あたりで折れ、その付近でぶくぶく泡を立てて反応が進む。陽極棒はさらに砕けながら沈んでいく。

ふとビーカーの口を見ると微かに白煙が見える。嗅ぐと塩素臭。液中で発生した塩素は、かなりの部分が液中に溶け込んでいたのかもしれない。

シャープペンシルの芯は、黒鉛に樹脂を混ぜ、練って押出整形し、焼成し油浸して作られる。樹脂は炭化してしまうので、炭素棒に油がしみこんだ状態。陰極側はなんともないので、塩素が油に作用し、内部まで塩酸が浸透し、内部で気泡が発生して分解したのか、などと想像する。

参考

 

日経新聞2007年8月27日朝刊5面
[インタビュー領空侵犯]

「弱者こそ正義」脱却を  ソフトブレーン創業者 宋 文洲氏

清貧思想捨て活力再び

――格差社会が議論されていますが、社会主義の中国出身ながら、格差は容認すべきだとお考えだそうですが。
「格差の議論は戦後の成長時代に定着した一億総中流意識との対比で語られていると思うんです。頑張れば皆、同じ結果が得られる。復興政策で皆が豊かになったから、平等は普遍的と考えがちですが、資本主義経済は本来そういうものではありません」
――格差の議論がおかしいと感じるのはなぜですか。
「テレビのお茶の間番組はホリエモンや村上世彰被告らをヤリ玉に挙げ、格差社会の悪い印象のように取り上げます。違法行為はもちろん許せませんが、ベンチャーで成功した人へのやっかみも半分あるのではないでしょうか」
「資本主義の原動力は成長です。ベンチャーやイノベーションは欠かせません。そこで格差が生じるのは自然なことです。マルクスが富の再配分が必要と言ったのは、資本主義には格差がつきものだと見ていたからです。リスクをとった人をたたき過ぎれば、誰もとらなくなります」
――不祥事での役員報酬返上も変だと言っています。
「経営者が頭を下げる様子が連日報道される国は珍しい。報酬返上も紋切り型で、返金すれば放免されるというのも変な話です。経営責任が昔より厳しく問われる今、自覚を求める意味でも報酬はもっと増やすべきでしょう」
――なぜ日本は格差が問題になるのでしょうか。
「日本の平等は与えられたものだからです。努力しない人まで平等を主張する。さらに日本に根強い清貧の発想。正しい人は貧しくても清く生きるというのが、いつの間にか貧しい方が清く、弱者の方が正義になってしまった。役所もマスコミもそうした論調には逆らえず、まるで中国の文化大革命のようです」
「だから大事故が起きれば全国の回転ドア遊園地が止まってしまう。過剰反応です。経営者も小心になり、無難を求めた結果、日本経済の活力が失われてしまった」
「中国が社会主義をとったのは経済を底上げするのによかったから。ロシアもそう。しかし途中から修正しました。中国政府だって気付いたのに、日本はいまだに復興型経済を貫こうとしています」
「清貧でなく、“清富”を賞賛すべきです。成果が報われる社会をつくらないと優秀な人は海外へ行ってしまい、海外からも有能な人材を起用できません。格差を前向きに受けとめ、弊害は福祉など別な方法で解決すべきです」

[聞き手から]
「日本タブー多過ぎよ」と軽快な口調で日本社会の閉鎖性を次々と指摘、経営者にもファンが多い。「同じことを日本の若造が言ったら怒られるでしょ」。外国人の立場をフルに活用し、耳障りな忠告をあえて発する。自ら経営者を退き、経営指導に専念するのは、彼しか言えないことを言うためだったようだ。

[もうひと言]
中国に言論の自由はないが日本よりずっと自由に発言している。


「格差」の議論がにぎやかになったのは、先の参院選で民主が勝ったから。民主が勝ったのは、安倍政権が仲良しクラブで脳内お花畑政権であったため。選挙前である緊張感もまるでナシ。決して民主の政策が支持されたわけじゃない。「子ども」と「動物」と「人の不幸」で食ってるワイドショーは、そこらへんを意図的に勘違いしてる気がする。
そこへ来てタイミングの悪いことに、政争大好き小沢が党首になってしまった。ともかく対立軸を作らねばならない。与党を叩き、党勢拡大することが第一。世界の目なんかどうでもいい。さらに悪いことに、数がほしいからと国民新党を取り込んでしまった。いつの時代の自民党を目指す気だ。

民主に入れてよかったんだろうか……

(敬称略)

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