since 2007.8 by K-ichi

シルバーウィークの20日、前黒法師山まで行ってみた。昨年9月末にも麻布山までは行ったが、今回はその隣まで足を伸ばす。
さらに先には、国内最南端の2000m峰、バラ谷のかしらがある。楽勝な人もいるにはいるが、片道10km近い日帰りは自分の足では無理。

早朝、R152をひたすら北上する。天竜川沿いの温度計は14℃の表示。風が冷たい。佐久間との分岐を過ぎ、やがて水窪市街へ入る。その日は祭りだったようで、万国旗がはためき、朝から法被姿で酒盛りをしていた。それを横目に眺めつつ東へ、山住峠へ向かう。
登りきった峠の温度表示は11℃。体が冷えたのでトイレを借りる。峠を左折し、天竜スーパー林道の野鳥の森線を北上。カモシカと森の体験館、常光寺山登山口、野鳥の森などを経由して麻布山登山口にたどり着く。既に2台の先客。

麻布山登山口 登山口付近を水窪ダム側から。
右に休憩所とトイレ。奥へ行けば野鳥の森、左へ登るのが麻布山登山道。
ちなみに、西向きに停めたがこれは大失敗。直射を受け、なま物を入れたクーラーバッグが温まってしまった。

あまりに寒いので、もう一枚重ね着をして8:00スタート。

頂の祠 登山口は1270m。そこから1300m少々のピーク2つを超える。頂には小さな祠がある。

心で一礼して下る。登山口からの距離1km過ぎたあたりで、最低点1230m台の地になる。このあたりでは伐採作業をしているようで、気田川対岸の尾根が見える。植林を切り開けば、バラ谷の頭あたりも見えそう。


2km地点の東屋 ミズキ? 2kmほどのところには、左手に少し離れて東屋が建っている。ゆるやかでふかふかの森なので、こういうところで休みながらの散策もいいかもしれない。
振り返って撮ったので写真では右側。

肌がえらく荒れたミズキらしき木があった。


崩落は時間の問題? 底が抜けた道 さらに歩を進めると、西側が崩れているところへさしかかる。ミテラ沢源流付近の崩落地のてっぺん。木が踏ん張って崩落に耐えているようなところが多数。

赤リボンの右側に30cmほどの穴が開いている。この道の下はがらんどう。根っこで保っている状態。


3.5km地点の東屋 巨大ミズナラ 3kmあたりから、だんだんきつい登りになる。途中にはまた東屋があり、一息つける。

このあたりは大木も多く、目通り直径1.5mはあろうかというミズナラが鎮座している。


前黒~バラ谷 さらに登ると、コガネ沢(気田川支流)側に崩壊している場所に着く。ここからは、目指す前黒法師山やバラ谷の頭が確認できる。バラ谷は木がまばらで禿げていて、いかにも見晴らしがよさそう。サルオガセがたなびき、崖の斜面にはフジアザミが咲く。

写真中央が前黒法師山。これから麻布山を経由して、左手から稜線を登ってゆく。右奥に霞むのがバラ谷の頭。その手前は前黒の支尾根。

ガレ場を振り返る その先はガレ場。
遠目に麻布山を眺めたとき、山頂手前の禿げて茶色に見える部分。ここは木が少なく眺望が良い。近くの山は鳥瞰したようにダイナミックに、遠くの山々は薄墨で4重にも5重にも重ねて描いたように。
ただし、急斜面で表土は脆い。滑落したら止まるところがないので、擬木で作られたルートを外れるのは怖い。ちなみにこの階段は、シルバー人材派遣と言うおじさん数人が、昨秋施工していた。

振り返ってみると、先が見えないほどの急登。


麻布神社奥宮跡地 危険地帯を過ぎると再び森。やがて麻布神社奥宮跡地がある。昭和39年9月台風で大破、水窪ダム建設など諸般の事情により再建が難しくなったため、別に合祀、代わりに石碑を建てた、とある。小振りなそれは倒されたままだったが。

廃墟 ひと丘越えると、なにやら廃墟がある。表にある大きな釜は、五右衛門風呂か?


麻布山頂 紅葉 さらに進むと、左手に尾根を見る形になる。尾根と等高になったあたりに麻布山山頂への案内。折り返すように曲がれば、山頂を示す看板と三角点。昔ここには大きな神社があった、などと紹介する看板も。浜北山岳会の金属板が、木にめり込んで痛そうだった。

ところどころではカエデやツタウルシの紅葉が見られる。
登山口から4km強、標高差415m(途中の最低点からおよそ450m)、登り始めてから2時間半。目安は2時間ということなので、道草を考えればこんなところか。


麻布山頂の東屋 昨年はここまでにしたが今回は東進する。まもなく、3件目の東屋が現れる。このあたりは多少日も射し、広々している。麻布山までの予定なら、この広場まで来て休むのがいい。

この東はひたすら下る。ここにはまだ階段が設置されているが、このあたりが最後。
地図にはその先の鞍部辺りに戸中山とちゅうざんとある。山頂標識はない。支尾根のピークが鞍部最低点1610mにつながっているので、そのあたりを言うのかもしれない。

要注意ポイント 最低点と思しきあたりを過ぎると、地図には出ないアップダウンのある上り坂になる。途中、谷間を歩くような場所があり、いつの間にか道が細くなり、尾根を右に見ながら登らなくなってしまった。帰りに赤リボンを確認したところ、谷間の左を歩くようになっていた。

写真中央を進みたくなるが、ルートは左端。この先で両者はクロスするものの、谷筋を道なりにいくと脇道へ入ってしまう。


ツタウルシの紅葉 整備の手が入ってないせいか、道沿いに10cmもあるツタウルシが生えていた。紅葉は7分といったところ。

黒沢山・不動岳 途中には、北側を望める場所がある。
大きく崩れた左上のピークが黒沢山、写真右隅の高いのが不動岳、中央の霞んだ遠くの山々は光岳てかりだけや聖岳と思われる。


前黒法師山頂 やがて前黒法師山山頂へ到着。麻布に負けず劣らず、眺望は皆無。三角点と看板とベンチ代わりの岩だけ。その先にも、苔むした倒木と道は見えたが、ここで折り返す。麻布山頂から1時間。登山口から6km弱、標高差512m(最低点からおよそ547m)。



昨年はキノコがかなり生えていた。薄暗い中での大きな真っ白いドクツルタケは、相当に美しかった。ほかにも、カラカサタケ、ヒラタケ、ホウキタケ類、ツキヨタケなど、判りやすいものがたくさん。打ち捨てられ、すっかり裂きイカ臭になった、巨大なヘラ状キノコもあった。

今年は雨が少なかったせいか、その手のキノコはまったく見られない。昨年は8月には雨が多く、9月も中盤以降は降っていた。今年のまともな雨は、8月は序盤に2回で、9月は1回のみ。土手のチチアワタケも今年は出ておらず、想像を裏付けている気がする。

そんな中で生えていたものたち。

ゴムタケ ゴムタケ。直径2.5cm。真っ黒ななかに黄土色、かと思ったが、写真を見るとそうではないよう。弾力がゴムそのもの。地上生。
オシロイタケ オシロイタケ。~2cm。白。歪などらやきのような、ヒレのない餃子のような形。ほんのり酸味のある滴がついていた。無臭で柔らかく僅かに繊維質、滴同様ほんのり酸味を感じる。材上生。
マイタケ マイタケ。ミズナラの株元に生える。両手で溢れる程度の株で400g弱。若菌のため管孔がまだ開いておらず、裏側はのっぺら。
オオキツネタケ オオキツネタケ。カサは5cm、褐色。ヒダは疎で色は薄い。アンモニア菌ということで、人が集まる場所に生えていた。
白いキノコ 白いキノコ。傘の直径1~2cm。ヒダは赤褐色。柄は白、10cmで地上部は半分。ツバ、ツボ無し。少し菜の花様の香りがある。地上生。
黒いキノコ 黒いキノコ。傘は4cm、真っ黒で皮革のよう。きゅっと音が鳴りそうな、つやつや感で粘性はない。ヒダは濃い灰色で疎。柄はやや紫がかった灰色。ツバ、ツボ無し。苔むした材上生。
黄色いキノコ 黄色いキノコ。傘の直径3cm、黄色、ヒダは白。ツバ、ツボ無し。地上性。
ナラタケ? の幼菌 ナラタケ? ツバ不明ツボ無し。柄には細かいだんだら模様。ツバ(カサ)内の柄は白で縦筋模様。開きかけの状態で3cm。材上生。
ミイノモミウラモドキ? ミイノモミウラモドキ? カサは褐色、4cm。ヒダはやや色が薄く、柄は濃い。繊維状の模様で捩じれる。材上生。
ヤマイグチ? ヤマイグチ? カサは暗褐色で7cm。管孔は白、変色無し。柄は繊維模様の中に黒っぽい細かい点々。ところどころ表面が剥げる。ツバ、ツボ無し。苦くない。地上性。
シロカノシタ シロカノシタ。カサは2cm。白く脆い。ヒダは針状。ヘラ状かと思いきや、崩れたカサの下には柄があった。柄は短く白。匂いは感じなかった。地上生。

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