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先月末、東京高裁は、混合診療はすべて自己負担とする厚労省の主張を認める逆転判決を下した。これについて、中央大の阿部泰隆氏(行政法専門の法学博士)が、法律の解釈論と政策論の2面から論じている(本日付日経新聞朝刊19面)。これを読んでみた。

まず法の解釈論。
法的には、混合診療を禁止した規定はない。この裁判で国は、健康保険法86条(保険外併用療養費)を論拠としている。この法は、厚労省が定める先進医療については、保険外治療でも保険相当分を国が肩代わりする、というもの。素直に読めばまっとうな法である。しかし国は、これは保険外治療を併用したときに国が肩代わりする「例外」を示したもので、その裏にある「原則」は併用治療は全額保険適用外である、と勝手な解釈を付加。高裁はこの現状を追認した。

法律以前に憲法問題も出てくる。保険料は強制徴収であり、憲法上の財産権である。国がこれを制限するのであれば、合理的な根拠を示し、適用外となる範囲など明確な線引きが必要になる。そもそも法に明文化されてないので範囲は曖昧。医師が別ならいいのか、病院を変えればいいのか、日を改めればいいのか、それとも受付で支払いを済ませておけばいいのか。
併用禁止を法に盛ろうとすれば、国会での話し合いが必要になる。併用で保険診療分まで適用外になるなど、トンデモな論は通るはずもない。法を作るより勝手解釈をするほうが簡単。本来は司法がこれを止めなければならないが、今回は逆に認めてしまった。責任者の長妻大臣も、「国の主張が認められ」云々の定型文朗読。

相変わらず国民のために働かない厚労省、現状追認だけの司法、職務にあっぷあっぷの大臣。最高裁には、ちゃんと判断してくれることを期待。

そして政策論。
混合診療は金持ち優遇、という指摘がある。金持ちなら、混合であろうがなかろうが、好きに医者を頼むことができる。そうでない人には、保険外治療を受ける道を、多少なりとも開く。
悪い医者が保険外治療をことさらに勧めることがあるかもしれない、とも言う。これは厚労省が本来すべき仕事で、お上の権威を持って目を光らせていればいい。
そもそもの保険適用をどんどん広げればいい、という意見もある。保険は、科学的に多くの人に有効であると認められる療法を対象とすべきであり、そうでなければ成り立たない。検証は迅速に行われる必要があるが、拙速に、手かざしやパワー水まで適用、でも困る。過渡的な自己負担、自己責任での次善策になる。
混合診療は、金持ちでなくても、ちょっと頑張ればより高度な治療を受けられる、その可能性が高まる制度である。禁止するのは政策として間違っている。

混合診療を禁止していれば、先端医療に興味のない、やる気のない医者には有利に働く。適用外診療が事実上できなくなるので、厚労省は保険適用審査などの権限も温存しやすくなる。
日本医師会全国保険医団体連合会は、判決は妥当としている。

この件以外にも、修復腎移植の事実上の禁止ネットでの医薬品販売の禁止など、おかしな施策は多い。そしてそれらは、法ではなく省令という勝手法によって気ままに振るわれている。
脱官僚は、こういうところまで広げなければ意味がない。

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