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キイチゴが盛り。
栽培しているものなどの現況を並べてみる。基本的に、8号菊鉢に赤玉+腐葉土を使い、無農薬無肥料で栽培している。


エビガライチゴ
天竜スーパー林道北部では、日当たりのいい路傍によく見られる。里山では見られない。
半蔓性。白っぽい大きな棘と赤く密生した毛が特徴。3出羽状複葉で、葉裏はくも毛が密生し白い。ウラジロイチゴの別名もある。地下茎では増えず、春先に一箇所から数本の新しいシュートを伸ばす。2m近くなることもある。
昨年枝から短枝を伸ばし、その先に複数の蕾を付ける。蕾も真っ赤に見えるほど毛だらけ。萼は開くが花弁は開かない。花弁の色は白。授粉後、萼が閉じ、熟すころに再び開く。白から赤熟する。ナワシロイチゴと共通点が多い。
春先の新シュートを挿し木して栽培。今年は株が育ったおかげか、蕾がたくさん着いた。5月8日、開花。


カジイチゴ
浜名湖岸の荒れ地や、庭先の植栽によく見られる。浜名湖岸のものも、庭先からの逸出の可能性がありそう。キイチゴと呼ばれることもある。花物として扱うことがある。
木立性。3~7裂程度の艶のある大きな葉を着ける。ときに人の頭大ほどにもなる。棘はなく、春の新しいシュートは、うっすら赤い毛に覆われる。地下茎でよく増え、あちこちにワープする。踏み固められた通路などももろともせず、時に2mも彼方へ飛ぶ。飛んだ先では、とりあえず太さ1cm、高さ1m内外のシュートを出して様子を見る。このシュートが無事年を越すとそこを新たな拠点として、こんどは太さ2cm超の人の背を越えるような強烈なシュートを出すようになる。強健種だが、頑強さはない。ヤマノイモに絡まれれば、簡単にお辞儀してしまう。ツルマメに覆われると、著しく成長が落ちる。ネナシカズラに寄生されると、他の植物のように抵抗することもなく、食われるままに枯れこんでいく。
昨年枝から短枝を伸ばして、その先に複数咲く。花弁の色は白。無造作にくしゃくしゃの皺がある。授粉しても変化はなく、開きっぱなしの萼の底部がやがて盛り上がってくる。橙熟
実生を栽培してみると、播種翌々春には咲いて生るという成長の早さ。そのせいで、鉢植えでは成長がかなり制限されてしまう。花数は増えず、すぐに根が回り、やがて調子を落とす。現在は露地に下ろしている。花期は長く2月から咲いたりもするが、おおむね3~4月に開花し、5月ごろ熟す。ヒヨドリが先を争って食べに来ている今でもまだ咲き続けている。


クサイチゴ
クサイチゴの花 平地でもっともありふれた種。
木立性の低木。3~5出の羽状複葉。棘があり毛が生える。地下茎で増える。落葉樹だが、風当たりのないところでは葉を落とさない。一般に「野いちご」と呼ばれるものはこれ。
昨年枝から短枝を伸ばし、その先に複数咲く。花弁は白。おおむね4月頃に咲き、5月ごろ熟す。環境によっては、年明けから咲いている。赤熟。全体の大きさは平均的だが、個々の粒は小さいため数が多い。種子は多いが小さく、気にはなりにくい。香りにやや癖がある。
一昨年、道路わきで変わり種を見つけた。少し紅が差す花と、花弁が異様に細い花。除草剤等の影響の可能性もある。現在これら株は現存せず。


クマイチゴ
里山からスーパー林道など高地まで分布。林縁など、切り開かれた山地に多い。
木立性。3~5裂の単葉。裏表に毛が多い。全身に黒っぽい強靭な棘をもつ。地下茎で増える。背丈ほどにもなり、棘とあいまって、林業などでは迷惑種。
昨年枝から短枝を伸ばし、先に複数の花を着ける。花弁は白。花弁は小さく、正面から見ると背後の萼のほうが目立つ。クマバチがよく集っている。赤熟。
小苗を掘り取り栽培。鉢植えでは根が制限されるせいか、かなりコンパクトになる。それでいて花数は減らず比較的豊産。尖った形の粒が集まった、しっかりめの、味のよい実を着ける。適切な肥培を行えば栽培種としても良さそう。4月6日開花。


コジキイチゴ
里山林縁に生えるやや希少な種。
半蔓性。5~9出程度の羽状複葉。全身毛で覆われ、緑地の幹肌に赤黒い毛が密生する様子は特徴的。棘はしっかりして、他の樹木等に寄りかかり引っかかりながら育つ。地下茎では増えない。春に株元から1~2本の新シュートを出す。落葉樹だが、環境が許す場所では葉を保つ。
昨年枝から短枝を伸ばし、その先にたくさんの花を付ける。雌蕊が楕円形で飛び出した形状。花弁は白。花後はそのまま雌蕊が残り、熟す間際に色づきながら大きく膨らむ。橙熟。クサイチゴ程度に個々の粒は小さいながら全体は大きいため、種の数は多い。袋状になる。フクロイチゴの別名もある。コジキは甑からきたとの説もあり。
実生を栽培。鉢植えでは大きく育たず、ある年シュートを出さずに枯れてしまった。露地に下ろしたものは、2m程度まで伸びる。花数は非常に多い。4月5日開花。現在、先走った歪なものがひとつふたつ熟し始めたところ。


ナワシロイチゴ
田畑河川の土手など、水辺の日当たりによく見られる。
蔓性で、地に着いたところから発根する。3~5出の羽状複葉。棘があり、全体に白っぽい産毛で覆われ、とくに葉裏はくも毛で白い。地下茎で増える印象はない。
昨年枝より短枝を伸ばして、複数の蕾がまとまって着く。苗代を作るころに咲くとされる。サツキイチゴの別名がある。エビガライチゴと同様に花弁は開かない。花弁の色はピンク。授粉すると萼が閉じ、熟すころに再び開く。赤熟。
自然発生したところを、ときどき選択的に草取りをしてやったところ、勝手に繁茂した。4月23日開花。


ニガイチゴ
里山からスーパー林道など高地まで、路傍などにブッシュになっている。
木立性低木で、枝や葉裏が粉を吹いたように白っぽい。3裂気味の単葉。地下茎でも増えるが、比較的近場でこんもりと育つ。昨年枝の葉は丸く小ぶりなことが多く、春のシュートは大きく裂が深い。同株には見えないほど違うことがある。
昨年枝より新葉を2枚ほど出し1花着ける。個体によっては短枝を伸ばして2~3花着ける。さらには葉が大きいものはミヤマニガイチゴと分類する人もいるが、情報は錯綜しており不明。変種の範疇ということで、分ける必要性もあまりない。花弁は細長く鈍頭で、しわがある。授粉後は萼を閉じ、熟すころに再び開く。赤熟。タネが苦いことからニガイチゴの名が付いたというが、気にならない。
実生を栽培。鉢では大きくならないが、クマイチゴと同様に花数は減らない。3月15日開花。まだ熟さない。


バライチゴ(?)
昨年9月末、麻布山登山道で見つけたもの。本葉5枚ほどの苗が、あっという間にここまでに。つい先日まで10cmポットに植わっていた。


フユイチゴ
里山の湿り気のある林縁のいたるところに、這いつくばって茂る。スーパー林道へ向かうと、ある標高から上には生えない。
蔓性。まばらに小さなトゲを持つ。地下茎では増えず、地を這い、地に着いたところで根を張っていく。キイチゴ類はほとんど落葉樹だが、これは常緑。
真夏に白い花を着け、真冬に赤熟する。現在は新芽を伸ばしている最中。
適当な蔓を取ってきて植えていたが、鉢では手に負えず、どんどん逃げ出してしまって、現在は鉢置き場の下草になっている。


モミジイチゴ
細葉モミジイチゴ 栽培中のモミジイチゴ完熟 里山からスーパー林道、その周辺の山まで広く分布。もっとも繁茂している種かもしれない。野生の「キイチゴ」と呼ばれるものはこれ。
木立性。林縁など切り開かれて日当たりのいい場所に生える。3~5裂の単葉が多いが、無裂(キソイチゴ)、3裂(ナガバモミジイチゴ)、5裂(モミジイチゴ)などと呼び分けることがある。さらには魚の骨状だったりブドウの葉状だったりと、変異が大きい。棘は多い。地下茎で増える。
昨年枝より2葉程度と蕾を直接出し、下向きに咲く。短枝を伸ばして咲くもの、2花着けるものなども、まれにある。花弁は白。橙熟。
葉や花に特徴のある株を掘り取り、若しくは新シュートの挿し木で栽培。夏場の育て方で翌春の花が決まる。肥培しなくても花は着き易いが、実は生りづらい。香り、酸味、甘みが絶妙。今年の鉢植えは3月10日開花、5月2日に熟した。5月4日に登った熊伏山の登山口(約1000m)では満開過ぎ、中腹(1400m前後)では蕾が出たところだった。


雑種・カジモミジ
カジイチゴを母にモミジイチゴを父に雑種化したもの。現在2系統4株を栽培中。まもなく3年目に入る。未開花。


雑種・カジコジキ
カジイチゴを母にコジキイチゴを父に雑種化したもの。まもなく2年目に入る。両親の特徴を受け継ぎ、3出羽状複葉で、頂葉は3裂、側葉は2裂と、ボイセンベリー風の葉になっている。赤い毛が生え、棘がある。


雑種・コジキカジ
コジキイチゴを母にカジイチゴを父に雑種化したもの。一部、コジキイチゴ純粋種が出たようだが、基本的にカジコジキに同じ。


雑種・トヨラクサイチゴ
浜名湖畔の荒れ地で見つけたもの。別の湖畔路傍、三方原の松林下などでも見られる。カジイチゴとクサイチゴの雑種とされる。
木立性。まれにトゲがある。無裂~3裂の単葉、3出の羽状複葉、さらに頂葉の3出化、側葉の2出化、など変化が激しい。地下茎でよく増える。
昨年枝から短枝を伸ばして複数咲く。クサイチゴを大きくした雰囲気。花弁は白。花数は多い。実はほとんど生らず、生っても1果に数粒程度。赤熟。
浜名湖畔の吸枝を掘り取って栽培。4月8日開花。


雑種・ヒメカジイチゴ
カジモミジの花 カジモミジの実 畑の隅の植栽とも雑草とも付かない個体を見つけたもの。カジイチゴとニガイチゴの雑種とされる。
木立性。わずかに棘がある。3~5裂の単葉。葉裏は白くない。
昨年枝から短枝を伸ばし、複数の花を付ける。花弁は白。ニガイチゴの花を大きくした風。オオニガイチゴの別名がある。受粉すると萼が閉じ、熟すころに再び開く。赤橙熟。
見つけた個体の地際の折れた所から挿し木。花着き、実着きはあまりよくない。この実生に今春花が咲いた。小さいながら容姿はニガイチゴそのもの。ただ、花弁の先が割れている。
1枚目はカジモミジとして栽培していたもの(3月20日ごろ開花、後にヒメカジと断定)、2枚目は5月14日のその実。3枚目は当該株(4月12日開花)、3枚目は当該株の実生(4月8日開花)。


ブラックベリー・ソーンフリー
庭先に植えてあったらしく、草刈の残骸から拾ったものを挿し木。
株が育っておらず、木立性か蔓性かは判別できず。一般的な棘無しブラックベリーそのものの雰囲気。
花は薄ピンク。実は黒熟。今年は咲かなかった。


ブラックベリー・エバーグリーン
ネットでの頂き物。根洗い苗。キレハブラックベリー、カットリーフ・エバーグリーン・ブラックベリーなどとも。一般には、ソーンレス・エバーグリーンという棘無し種が出回る。
蔓性。非常に成長が早い。長い棘が大量。葉は鳥足状複葉で、各小葉はさらに細かく裂が入る。環境が許せば、冬季も葉が落ちない。
昨年枝より短枝を出し、薄ピンクの花を着ける。花弁にも不規則に裂が入ることがある。黒熟。5月8日開花。


ボイセンベリー
カレー屋でのもらいもの。
蔓性。成長は早くない。棘はない。葉は3出羽状複葉で、頂葉が3出羽状化、側葉が2裂することがある。
昨年枝より短枝を出し、白い花をお椀型に開く。授粉すると萼がやや閉じ気味になる。黒熟。
4月26日開花。現在未熟。


ラズベリー・インディアンサマー
ホームセンターで購入。赤実ラズベリーの銘。後にこの種であると確認を取る。
木立性。3~5出の羽状複葉。葉裏は白い。棘はほとんどないが、丈夫な毛がたくさん生える。
昨年枝より短枝を出して複数の花を付ける。花弁は白。花弁は小さく開かないが、ナワシロイチゴほど閉じてもいない。「前へ倣え」程度に開く。赤熟。2季生りで、今春のシュートの先にも秋には着く。
施肥してないせいか、大きくならない。その割には花も実もしっかり着ける。野生のキイチゴと比較して、香りが強く、種が大きい。生食では好みが分かれそう。4月中下旬に開花。


ラズベリー・ファールゴールド
インディアンサマーに同じ。赤色色素が抜けただけで、他の特徴は瓜二つ。
開花はワンテンポ遅れ、5月上旬に開花。やや病弱な感じ。橙熟。

 

前回は南部の秋葉山~水窪町境あたりまでをうろついたので、今回は北部と「野鳥の森」を散策してみた。

とりあえず水窪ダムへ。今朝は凪。天竜川のダム湖もここも、湖面に景色が映える。
左下に見えるような、隅に寄った木屑の中で、大きなフナらしき魚がバシャバシャと跳ねていた。産卵の季節で、浅瀬に集まってきたところだろうか。

路面はかなり荒れている。ダム湖周辺を過ぎればある程度落ち着くが、それでもこんな小崩落はごく普通に。

ヤブウツギが咲き始め。
大きな花ではあるが湿った赤紫色で、どうもパッとしないイメージ。ダム周辺から中腹へかけて、かなり目立つ。

ウツギは、蕾のものから満開のものまでさまざま。

ヤマフジは、この林道に限らず、いたるところで咲いている。満開近い。

ヤマブキは、もうピークは過ぎた模様。

ニガイチゴも終盤。6弁がいくつも咲いている株があった。

ミズナラを見上げる。黄緑の新葉が折り重なる。

おそらくイヌブナ。
ブナに比べ葉脈が多く、葉裏には葉脈に寄り添うように白い毛がたくさん。

オニグルミは、雄花がだらしなく開花。

オニグルミと並び、水窪には欠かせないトチノキも開花。

昨年9月に麻布山に登ったときから気にはなっていた「野鳥の森」。登山口そばの「ウグイスの門」から南方に山に入ると、おおむねスーパー林道に沿いながら、門桁山(かどけたやま)、五丁坂頭山(ごちょうさかとうやま)などを尾根伝いに経る。

写真の案内板には沢口山とあるが、国土地理院の地図では五丁坂頭山となっている。また門桁山は1377mとあるが、地図では1375mであり、両山の中間にあるピークが1377mになっている。門桁山山頂にある杭の表示は1377米となっている。

途中には観察小屋やスーパー林道へ下る脇道などがある。林道との接続は、北から「ウグイスの門」「ホオジロの門」「オオルリの門」「ヒバリの門」「ヤマガラの門」。初めと終わりはそれなりの上り下りだが、それ以外はおおむね広くなだらかで、とても歩きやすい。
この道とスーパー林道に挟まれた細長い天然林部分は、鳥獣保護区にも指定されている。

南端の「ヤマガラの門」から北上してみた。初めはひたすら登る。

間近でツルアジサイを見られた。低山でもよく見られるイワガラミと違って、鋸歯がとても細かい。

苔むした倒木があちこちに見られ、深く落ち葉が積もり、見慣れたバイケイソウが群れている。
標高は1300m前後。余裕で傘を差して歩けるハイキングコース。

いたるところに、大きなブナが生える。

樹木銘板があちこちに取り付けられている。ビギナーにはちょうどいい。
ただ、まだ葉の出そろってない樹種もあり、観察目的ならもう少し後の方が良さそう。

オオカメノキ(ムシカリ)の銘板あり。

尾根伝いの道で、西側は天然林、東側は植樹林になっている。この目印は死刑宣告?

ゴヨウツツジ、とあった。白い花もいいが、葉先にオレンジのアクセントのある新葉もかわいらしい。

唯一の展望。五丁坂頭山と中間ピーク間の鞍部あたりから。
門桁山山頂には展望台まで設けられているが、木に茂られて眺望無し。羽虫の襲来を受けるだけ。

尾根にまたがって根を張り、踏ん張っているツガ(?)の大木。
麻布山や熊伏山の登山道では、尾根道が根だけで保たれ、その下は崩れ落ちてすっかりがらんどう、というところがあった。それに比べればまだ緩い傾斜。

ハリギリの大木。銘板横のは500mlペットボトル。
大きくなると棘がなくなる、程度のものは見かけるが、ここまでの大木は見たことがない。樹皮は大きく縦に割れる。
信じがたい大きさだが、はるか上空の枝ぶりや芽吹きは、たしかにハリギリっぽい。

芽吹いて採り頃のハリギリやコシアブラがあちこちにあった。とても採れる高さではないが。

穴だらけのブナ。

なにやらバッサリと裂け目の入った、モミ・ツガ系の大木。

直径1m以上ありそうな巨大ブナ。
この圧倒的な存在感は、写真では表せない。

折れてなお芽吹くブナ。

展望のない門桁山周辺では、赤いミツバツツジや白いゴヨウツツジ(シロヤシオ)が咲いていた。

亜高山に生えるダケカンバ、らしい。ほとんど芽吹いていない。

「野鳥の森」だけあって、いろんな鳥の紹介看板もある。
アオバトは数日前に別の場所で初めて聞いたが、どう聞いても「ほ~~ぃ~ほ~~~」であり、ア行には聞こえない。今回も一声だけ聞くことができた。

門桁山を越えると、九十九折でどんどん下る。そして終点の「ウグイスの門」へ到着。道草ばかりしていたせいで2時間半もかかってしまった。ここからはスーパー林道で戻る。

満開近い状態のサクラ(?)がまだあった。
だらだらと歩いて、「ヤマガラの門」まで45分ほどだった。

 

昨年7月上旬、カラタネオガタマ(別名:banana tree)の枝をもらってきて挿してみた。用土は鹿沼小粒。駄温鉢で腰水無し。
ルートンの有無、今年枝、前年枝など、少しずついろいろ組み合わせてみる。

9月上旬鉢上げ。10cmポットに「プランターの土」で植え込む。
ルートンによる明確な差は判らず。前年枝には発根能力がなく、今年枝は能力を有する。ただし先端部は、発根より萌芽に力を割く傾向が見える。今年枝の太い部分を使えば成功率が高く、ルートンのおまじないをしておけば、心の安寧に寄与する、といったところか。
カルスだけの穂木もかなり見られ、2ヶ月での鉢上げは少し早かったかもしれない。

4月22日。挿し木が開花……したのに、気付いたときは散りかけだった。まだ蕾があるのでそれに期待。

5月8日。せっかく膨らんだ蕾が、咲かずに散ってしまった模様。ちょうど咲きそうだった5日から、今日まで雨続き。鼻を近づけると、ほのかにバナナの香りの痕跡がした。写真下部に黄色い花弁の残骸が見える。この挿し穂は2つも花を着けた。

 

結実しかかった当該株 怪しい怪しいと思い続けながら開花にこぎつけたカジモミジのひと株。どうやらよろしくない結論を出さざるを得なくなった模様。

いくつか咲いてほとんどが落ちてしまったが、ひとつだけ残った。そして萼がつぼんできた。完全につぼんではいないが、カジイチゴもモミジイチゴもこういう変化は起こさない。これは明らかにニガイチゴの動きであり、別途入手したヒメカジイチゴの花後と同じ。

カジモミジ1横から ヒメカジイチゴ横から カジモミジ1上から ヒメカジイチゴ上から
今春のシュートを見比べても、色、形、大きさ、棘、ほとんどの特徴は一致する。
バックに白い格子のようなものが見えるのが当該株、そうでないのがヒメカジイチゴ。

ちなみに交配させたカジイチゴのすぐそばには、かなり小株ながらニガイチゴがある。数m離れれば、その他キイチゴ類多数に混じって鉢植えもある。媒介昆虫はいるので、自然交配が行われてしまったようだ。
この株はヒメカジイチゴと断定し、以後、カジモミジ群からは除外し、観察は終了とする。

カジイチゴ横から ニガイチゴ横から カジイチゴ上から ニガイチゴ上から
参考に、両親たるカジイチゴとニガイチゴの様子。



モミジイチゴ風のカジモミジ 小さい葉のカジモミジ
除外株を除く残り4株は、2系統に分けられる。
ひとつは細葉のモミジイチゴの大振り版。最大の葉の長さは10cm弱。細葉のモミジイチゴを父にしたせいか、特徴がよく出ている。これは3株ある。
もうひとつは、カジイチゴに近い形状ではあるものの、裂がきつく生育が著しく悪い株。交配の際にうまくいかず、染色体異常が起きているのかもしれない。もっとも大きな葉でも500円玉大。これがひと株。

この4株は、多少施肥をし、来春の開花を目指す。

ググってみるとトゲナシイチゴ相当のものがいくつか見つけられる。
トゲナシイチゴマナヅルイチゴマナズルキイチゴなどがあるが、雑種であるためか親が多様であるためか、統一感はない。

 

栽培中のモミジイチゴ完熟 個人的ハレの日に合わせてくれるように、栽培中のモミジイチゴが熟した。

写真の丸弁、および細葉株では、結実が判っていたが、確認すると細弁も数個は生っていた。いままでは、咲けども咲けども一個たりとも生らなかったことを思えば、肥培は必須でありまた効果は覿面であると結論していいだろう。

いわゆるラズベリーにあるような、お仕着せるような強い匂いではなく、ほのかで上品なキイチゴの香り。果汁に富み、種子は大きくなく、ほどよい酸味と甘みを持つ。つややかで透明感のある橙色の粒。野生種ながら一級品。


モミジイチゴは栽培母種などとしても扱われ、「ゴールデン・メイベリー(Golden mayberry)」の名も付けられているらしい。黄金色の5月のベリー、だろうか。品質についてもゴールデンの名に恥じない。

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